海の中の魚人と二人の来客
次の日の朝、自分達は海の中を泳いでいた。
眼の前にはレイドで散々戦った槍をもった魚人がいる、勿論敵対状態で、槍を突き刺しにくる。
「はあ!」
アースキーを振るい、槍を弾いて魚人を突き刺そうとするが、魚人は凄い勢いで横に避けて再び突き刺そうとしてくる!
「アクアシールド!」
フェルの発動した海中でも効果のある水のシールドが槍を大きく鈍らせる…。
それを片手で受け止めて、もう片方の手でアースキーを握りしめて魚人に突き刺す、しかし片手で殴ってるのと、海中にいる結果、足の踏ん張りがつかないせいで、あまりダメージを与えられない。
「ぐう、海中だとこんな苦戦するとは!」
ガンガン何度も叩いてダメージを与えたら、魚人は槍を捨てて、距離を取った…残された槍を鑑定眼でみたらゴミ性能だったので捨てる。
「依頼で海中で魚人10体討伐…かなり厳しいですね」
「そうだな!」
自分達は海中で魚人を10体討伐する依頼を受けて、海中で戦っている…これ完全に遠距離攻撃出来る魔法の使用を前提にしたやつだ!
「まずは1体!」
槍を再召喚している魚人に、両手でアースキーを3回叩きつけて撃破する。
「はあ、はあ…なかなかきついな…」
「1対1でなんとかですね…後9体頑張りましょう」
「ああ、頑張る…」
幸い敵が湧かないエリアに逃げ込めば、敵は戦闘をやめて去っていく…まあ、去っていく敵は攻撃をすり抜け、撃破不能になるから、ズルには使えないが、ピンチの際の逃げ込みには使えるので有効活用しよう。
1時間後…
「やっと終わったー!」
「お疲れ様です、レンナさん」
「フェルも所々で補助魔法ありがとう」
魚人2体以上と戦闘になる度に逃げてたせいで、依頼達成に時間がかかってしまった…レイドであれだけガンガン倒せてたのに海中だとこんなに厄介になるんだな…。
「ほほーやるのー海の中でなおかつ近接武器だけで依頼を達成するとはの…」
依頼を報告したら、依頼してきたおじいちゃんのNPCが褒め称えてくれる…というか近接武器だけで戦ってる所見ていたのか?
「お主ほどの実力者ならば海の底を目指せるかものー」
「勘弁してくれ…」
イベントポイントを受け取りつつそんな返事をする。
1対1以外はガン逃げしてやっと達成できた状態なのに、今の状態で海の底なんて未知の所なんて行ってられない…。
多分凄いクエストとかありそうだけど、海中で戦わされるとしたら確実に手が余る案件になるだろう。
「うーん、後なにしよう…」
「やっほーレンナさんフェルさん」
「え?リーダーさん?」
後ろから声が聞こえたから振り向いたら、水色のプレートアーマーを着たリーダーさんがいた。
「それ水着ですか?」
「ああ、かなり苦労して水着属性を付与したプレートアーマーだよ」
「プレートアーマー好きなんだな」
リーダーさんの普段の装備もプレートアーマーだ。
「ああ、フルダイブゲームなんだから現実で出来ない装備をしたいんだよ」
「そうなんだな…所でどうやって自分の居場所を?」
「工房の鍵にGPSつけてるんだよ」
「………GPS?なんだっけ?まあ、居場所を隠してるわけじゃないからいいけどね」
…GPSて何だっけ?やばいド忘れしてしまった。
「…すまない、冗談だ、ユリから居場所を聞いて会いに来たんだよ」
「ユリはこっちの居場所わかるの?」
「あー…ハイフレンドはフレンド一覧から、居場所とかわかるようになってるんだよ」
リーダーさんの言葉を聞いてフレンド一覧からユリの所を見てみると、ユリが夏のイベントフィールドに居る事と入力した乱数値も書いてあった…というか乱数値同じじゃないか…。
まさか…と思った時には後ろから抱きつかれた!
「やっほーお兄ちゃん!」
「ふお!?」「ひゃあ!?」
抱き着いてきたのはユリだ、急な衝撃にフェルと共に変な声を上げてしまう。
抱き着きから開放されて、ユリの姿を確認したら、赤い三角ビキニの水着を着たユリがいた。
「おい!?ユリ!?なにやってる!?」
「え、驚くかなーと思っててね」
「なあ、本当にユリは現実でおしとやかでクールなのか?」
リーダーさんの言葉に、最近否定できなくなってくる…少なくとも知り合いの評価がそうだったはずだ…。