決着!セイレーン戦!
セイレーンの方を見ると海の上を走り、仲間の遠距離攻撃を避けながら、セイレーンに白兵戦を仕掛ける人や雷を纏った矢や魔法をセイレーンに放つ人、魚人の槍を奪ってセイレーンに投げるアッシュルさんがいる。
20人以上から攻撃されてるのに、歌い続けるとは体力の化け物かよ…化け物だったわ。
「ーーーーー!!!」
セイレーンの絶叫に等しい歌が響き渡る、歌の内容が変わった…。
「次はなんだ?」
アースキーを横に薙ぎ払う形で、魚人を2体倒す。
隣にいたメイスで魚人を潰した男性神官騎士が答えてくれた。
「発狂ターンです!敵が凶暴になりますが、ボスが倒れかけの終盤戦の合図でもありますよ!共にリオアを守り、耐え凌ぎましょう!」
「分かった!」
「ラスト3曲目いっくよ!☆私の力受け取って!」
リオアが3曲目を歌うと更に音符アイコンが増える、ファンと思われるプレイヤー達のテンションも最高潮だ。
「うおおお!不屈インフィニティ!!今の俺は無限地獄すら踏破できる!」
名も知らぬ神官騎士も、テンション最大で魚人を薙ぎ払っていく…不屈無限てずっとHPが1で踏みとどまるのか?それってリオアの3曲目の効果なのか?それともメンタル的比喩なのか?
「プロテクション!」
そんな疑問は大量の音符が物理的に飛んできて、思考がキャンセルされた。
「うお、これセイレーンの歌声物理…?た、助かった」
「油断は危険ですよ!小さい農家よ!」
神官騎士のプロテクションで守られて無事だったが、他の人が音符に被弾したら、急にあらぬ方向に武器を振り始め、結果背後から魚人に刺されて倒されるシーンを見てしまった。
状態異常を引き起こす音符か…厄介だな、それに音符は魚人に影響なく、音符は魚人を貫通して飛んでくるから、魚人と戦ってたら音符に被弾したとか十分ありえそうだ。
「くう!プロテクション!」
「サポートする!」
「助かる!」
魔法の障壁で、リオアを守るの神官騎士を攻撃しようとする2体の魚人に、素早くアースキーによる連撃を叩き込んで撃破する!
「アクアシールド!パワーアップ!スピードアップ!リジェネレート!この不快な歌声は何時まで続くんですか!?」
「あと少しだ!」
フェルの補助魔法を受け取りつつ、どんだけいるんだよ!と叫びたくなる位にいる魚人を撃破していく。
「ぐう、ヒール!貴様の槍先すら我がプロテクションで防ぐ!」
男性神官騎士も槍に刺されつつも、リオアを完璧に守り通す、だがじわりじわりと押されてきた…これやばいんじゃ…そんな予感がした時。
「アトミックバスター!」
「メテオスロー!」
「マジックガトリング!」
「魔弾一閃!」
セイレーンを攻撃していたプレイヤー達が切り札とおもわれるスキルを使っていく。
オーバーキルでは?と思いたくなる位に派手なエフェクトがセイレーンを包み、見えなくなる…。
その瞬間、召喚されてた魚人達が消えていった…セイレーンが倒れたぽいな…。
「やった……みたいだな…」
「みんなーお疲れ様ー☆」
『セイレーンを撃破しました!2分後に元の場所に送還されます!』
安堵をつく自分と、周りを労うリオアにレイドの終わりを告げるシステム画面が現れる。
「おーいー無事みたいだなー?」
「ああ、無事だけど、魚人の大群は大変だったよ」
前の方で戦ってたアッシュルさんが話しかけてくる。
「しかしとんだ大物を連れてきたねーあのアイドル、君のパーティーメンバーでしょー?」
「ああ、へんな成り行きみたいなものだ…ともかくお疲れ様だ」
「ああ、お疲れ様だーまた共に戦えたらいいなー」
アッシュルさんと握手をして別れを告げる。
ちらっとリオアをみたら、共に共闘した男性神官騎士にサイン色紙を渡すリオアがいた。
「ひゃっほおー!最高の夏の思い出です!撮影許可もありがとうございます!」
「うんうん、シャベルをもったパーティーメンバー助けてくれたお礼だよー」
「パーティーメンバーてあの小さな農家か!?おお!やはり善行は、巡り巡って返ってくるものだな!!」
目に見えて幸せオーラを撒き散らす男性神官騎士。
幸せそうで何よりだ。
「あ、小さな農家の方よ、色々とかん」
次の瞬間、自分とフェル、リオアはレイドバトルに参加する前の場所に戻ってきた…2分たったのか。
多分最後に感謝を伝えたかったのは伝わったぞ。
さらば、名も知らぬ男性神官騎士、良き夏を…。