リオアのバトルライブを守護せよ!
リオアの声の方向を見ると、そこにはどうやって出したか分からない、小さなステージに立つリオアがいた。
「うお!?リオアのゲリラバトルライブ!?実在したのか!?やったーぐぼら!?」
男性神官騎士プレイヤーが叫ぶ、あ…リオアに見とれてノーガードの所を、魅了された女性格闘家のプレイヤーに吹き飛ばされた…。
多分ファンぽいから生きてることを願う…というかあの神官騎士ウィンディーネに倒された後で補助魔法かけてくれた人だ!世間は狭いな!?死ぬなよ!?
というかスキルでの変装解いてゲリラライブて何事!?
「それじゃあ一曲目いっくよー!☆」
リーダーさんから貰ったライブで聞いたスピード感溢れるパッションな曲が流れ始め、リオアは歌い始める、するとHPバーの下に音符マークのアイコンが出てくる…どんな効果だこれ?
それに一部のプレイヤーがハイテンションになっていく…多分ファンなのだろう。
「お、セイレーンの歌声が阻害されて、動けるぞー!」
アッシュルさんが斧を振り回して、セイレーンが召喚した雑魚敵の魚人を蹴散らす。
おお、聞こえないからわかんないけど、セイレーンの魅了の歌声を相殺してるのか!
他の女性PLも魅了から開放されて、遠距離攻撃でセイレーンや雑魚敵の魚人に攻撃を始める。
こちらも負けじと、近くにいる魚人を攻撃し始める!リオアのライブのおかげで火力が上がっている気がする。
「パワーアップ!スピードアップ!」
フェルの補助魔法も一緒に乗ると一撃で雑魚魚人を倒せてしまう…これは爽快だ!
しかし魚人がリオアを狙ってるように動いてる気がするが気のせいか?
そう思った時リオアの歌声とは別の歌声が聞こえる…不快感溢れる嫌な音だ。
それにさっきまで一撃で倒せた魚人が槍や鎧を装備して再召喚されて、更にオーラみたいなものを纏っていた、勿論アースキーの一撃で倒れなくなっている。
「まさか魅了してた歌から、魚人を強化する歌に切り替えたのか…?」
そんな独り言を言ってしまうが、いや、そりゃそうだ、魅了の状態異常は解除されると耐性がついてしまうから、ずっと魅了は使えない、それなのに魅了しか使ってこないボスなんて、序盤を凌げば雑魚になってしまうよな。
「よーし、2曲目行くよ!」
「うおー!全部聞くまで死ねぬ!」
リオアが一曲目を歌い終わり、さっきの曲と違う2曲目を歌い始めるとHPバーの下にあった音符アイコンが増えた。
というか、さっき女性格闘家に吹き飛ばされた男性神官騎士のプレイヤーが、必死に魚人からリオアを守っている、たくましいが劣勢だ、助けなければ!
「あの時スピードの魔法をかけてくれた恩義、今返す!」
神官騎士に攻撃してくるの魚人をアースキーで撃破する、男性の神官騎士は驚きの表情を浮かべていた。
「な、貴方は…どうやらクエストは間に合ったみたいですね…良かったです、小さい農家よ共に戦いましょう!」
メイスを持った名も知らぬ神官騎士と並び立って武器を構える…俺はシャベル使ってるけど農家じゃないけどな…。
セイレーンを攻撃するプレイヤーは多いけど、リオアを守りに入るプレイヤーはごく少数だ。
当然だ、セイレーンを倒さないと戦いは何時までも終わらないからな…だが、リオアのライブが破壊された場合の悪影響が大きいのは間違いない、全員にかかってるバフが消えるのは痛いはずだ。
「気をつけてください、リオアのバトルライブは彼女のナンバークエストで得た力なので、バフが強力ですが…それ故に序盤に展開して、中盤以降に破壊されたら、バフがなくなった勢いで高確率で戦況が崩壊します!それに一度ライブを破壊されたら、もう再展開出来ません!全力で守りましょう、プロテクション!」
「早口の説明、サンキュー!」
男性神官騎士は投げ槍を魔法の壁で防いでリオアを守る、自分は槍を投げた魚人の頭に3回、アースキーを叩きつけて撃破する。
魚人の数が多い、レイドの参加者全員がセイレーンばかり狙っていたら、確実に数による圧殺が発生しそうだ…。
「アクアシールド!リジェネレート!」
自分に向かって飛んできた槍を、フェルが作った水のシールドが完全に防ぐ…まで行かなくとも威力を大幅に減らしてくれた、僅かに減ったHPはリジェネレートで即座に回復した。
フェルと男性神官騎士のおかげでかなり耐えられそうだな…セイレーンのHPは見えないが、後どれだけなのやら…?
色んなプレイヤーが魔法の雨を降らせてるから、セイレーンのHPも長く持たないと思いたいが…。