修羅場というやつです?
「え、もしかしてレンナに一目惚れしたの?ウィンディーネ?」
「ええ、ヘドロの川を誰よりも早く掃除する自然愛、小さな体にヘドロを払うパワフルな力…とても魅力的な方ですわ」
引き気味なリオアさんの質問に答えるウィンディーネ…一目惚れ!?急展開過ぎない!?
「駄目です!それは駄目です!」
胸ポケットから出て、自分とウィンディーネの間に飛び立ち、重ねて否定するフェル…待って話が見えない。
「えーと、話が全く理解できないんだけど、何が駄目なの?霊薬は貰っていいんだよね?フェル?」
「霊薬はいいけど、加護と契りは駄目です!」
「レンナ…契りの意味わかる?」
「わ、わかんない、契約のこと?でも俺は召喚スキルは持ってないぞ?加護はフェルから貰った妖精加護と同じやつ?」
リオアさんの質問に素直に答える、するとリオアさんは知識不足…と呟いた。
いや、一目惚れした云々から恋人になって欲しいという可能性も考えたけど…ちょっといくらなんでも急すぎる…。
取り敢えず霊薬は入手しておく。
「あらー無垢な人なのね、いいわ…ぜひ私の物にしたいわ…私の加護は強力よ?」
「駄目です!加護は一つしか持てませんし!上書きしたら駄目です!そ、それにレンナさんにはもう好きな人が居るんです!告白だってしてくれました!」
「えええええ!?!?もうそこまで行ったの!?」
まて、なんでリオアさんが叫ぶの!?というか言い方からして自分の好きな人がわかってる前提てどういう事!?
あ、告白してくれたて…あ、水着着替えた時に魅了になった時の事を言ってるのか!?
まって、処理しきれない…。
少なくともフェルからもらった妖精加護はフェルとの絆の一つだから捨てたくない。
「ふーん、ねえ、貴方は小さな妖精よりも大いなる水の精霊の方を選ばない?」
ウィンディーネが抱き着いて体を押し付けてくる…ちょっと待って!?なにこのイベント!?強引すぎでちょっと嫌なんだけど!?
混乱しているとバチンと小さな魔力の塊がウィンディーネを軽く突き飛ばす、おかげでウィンディーネからの拘束から開放された。
…魔力の塊を撃ち出したのはフェルだった。
「フェル、攻撃魔法使えたの!?助かった」
「攻撃と言えるほど強い魔法じゃないですよ…ただの相手を軽く突き飛ばしただけですよ…」
「構えて!その突き飛ばしでもう敵対状態よ!」
リオアさんの叫び声と同時に水の弾丸がフェルを貫いた…。
「しまっ…」
視界が暗くなる、視界端にある自分のHPが高速で減っていく…あ、駄目だこれ…アースキーの効果でフェルのダメージを肩代わりしてHPバーがなくなる…フェルを見るがフェルは無傷だ…。
「リオア!フェルをま…!」
最後の願いをリオアさんに託した瞬間、視界は真っ暗になり、気が付けば最初泳いでたビーチに立っていた…。
「やばい!」
勿論フェルは側に居ない…全力でウィンディーネのいる泉に向かって走り出す!
唯一のフェルサイドの情報は視界端にある自分のHPバーの下にあるパーティーメンバーのリオアさんのHPバーのみ…。
イマイチ素性がわからないリオアさんにもう祈るしかない。
頼むリオアさん!フェルを守ってくれ!
■■■
「あら、妖精に攻撃を当てたのになんで彼が倒れちゃったのかしら?」
「レンナさん!!!」
レンナのHPが全損して消えた後、フェルは涙を流す。
「フェル、私の後ろに下って、レンナのガードを無駄にしないためにも…全く突き飛ばされただけで殺しにくるとは随分殺意が高いわね…」
「あら、ちっぽけな妖精を庇うなら助けてくれた貴女も倒すわよ?」
フェルを庇うように立つリオア、ウィンディーネは完全に戦闘態勢だ。
「ごめんなさい、リオアさん…私が攻撃したせいでこんな事になってしまって…」
「仕方ないわ、正直レンナにベタベタ触るウィンディーネに、私も嫌な気分を抱いていたし…レンナも嫌がってたから、状況によっては私が先に殴ってたから、ちょうどいいわ」
深呼吸をして身構えるリオア。
「フェル、今から出す物、見た事はレンナに秘密でお願いね…レンナに明かすなら…チャンネル登録者…ファンを100万にして驚かすと決めてるんだから…」
「え?わ…わかりました…」
持っていた剣をしまい、システム画面を高速でタッチして新たな剣を…お気に入りの剣を出すリオア。
その剣を見て驚くフェル。
水の塊を生成し始めるウィンディーネ。
「そ、その剣は!?」
「さあ、死ぬ覚悟はいいかしら?」
「それはこっちのセリフ、レンナを倒した落とし前…つけさせてもらうよ!」