布の依頼と転職神殿
「随分と花の糸を集めたんだね…ドロップしにくい、探しにくい、気持ち悪いの三重苦だったはずなのにこんなに早く20個どころか30個も集めるとは…」
次の日の午前中、リーダーさんに連絡を取ったら、すぐに工房で会って、布を作ってもらえることになった。
「虫嫌いなのにここまでされたら、優先的にやらないとユリに風穴開けられちゃうな」「なにー?風穴開けていいの?」
「うお!?隠密して背後に現れるのやめろ!?ユリ!?」
リーダーさんの背後に妹のユリが出現する…気が付かなかった…。
「まったく、フェルから話を聞いたけど、リーダーはうちの可愛い可愛い妹にとって、嫌いな芋虫処理をさせるなんて、いつそんなあくどいリーダーになったのさ」
「俺は提案しただけだ、それにレンナさんは俺と同じリアルは男でしょ、この世界での性別はリアルと同じ性別に固定されるんだから、なっても弟だろ?まあ、見た目は完全に女性だが…」
「見た目が女性なら妹だよ!!」
「なあ、レンナさん、これが本当に現実ではクールでおしとやかなの!?いや、こういうゲームでリアルの話はマナー違反だけどさ!」
「…趣味のゲーム話をしてなければ、おしとやかでクールだよ、それより布を作って欲しいという依頼の話をしたいんだが」
コントみたいなやりとりをする、ユリとリーダーさんを止める。
「ああ、そうだったな…ついでにこれはサービスなんだが過剰にある花の糸10個も布にするかい?糸の量的にもう1つ防具作れるようになるよ」
「はい、お願いします!」
別に糸のままにする理由がないし、お願いする。
「まあ、布作るのに時間かかるから…レンナさんはもしもまだなら転職神殿でもう一つのクラスを獲得してきたら?30個も糸を集めたのならレベルも20超えてるだろう」
「え、もう一つのクラスて、ユリで言うとスピードフェンサーとかのやつですよね」
自分のステータスを確認すると23レベルになっていた…ナンバークエストの敵、オオムカデが強かったからなのか、花蝶の芋虫を大量に倒したおかげなのかは分からないが、短期間でレベルの上がり幅が凄い…
風の渓谷で教えて貰ったアッシュルさんと同じレベルになってるが、アッシュルさんはあの後守れずのリッチを倒して数字のクエストをクリアしている、数字のクエストで手に入る経験値的に自分より高レベルになってそうだな。
「え、お兄ちゃんまだサブクラス取ってなかったの?ならリーダーに布作りを丸投げして、早速転職神殿にいこう!」
「お、おい引っ張るな、えっと、それじゃあ布お願いします、リーダーさん」
ユリに引っ張られる感じで魔法陣の上に立たされて、工房を後にした。
ツー街にある転職神殿に辿り着く…外見はユリが言うにはギリシャ式らしい?
中には10人くらいのプレイヤーがいて、殆どの人がシステム画面とにらめっこしている、クラスを悩んでいるのだろうか?
「人が多いのに静かですね…」
工房ではずっと胸ポケットからぼーとユリとリーダーの掛け合いを見ていたフェルが言葉を発する。
「ここはじっくりと悩めるように、クラス選択中の人の声は、他者に聞こえないようになっているの、フレンドだったり、声をかければ、聞こえるようになるよ、因みにクラス選択で悩んでる人にいたずらしたら事によっては通報されるからいたずらはだめだよ」
「しないよいたずらなんて…」
ユリの説明を聞いて、転職神殿の人…NPCに話しかける。
「あのーすみません、もう一つのクラスを得たいんですけど、どうすればいいですか?」
「あ、はい初めての方ですね…え、そのレベルで初めてですか…?」
あれ?もしかしてなんか失礼な事言われた?
「ここのNPCはPLのレベルを確実に看破してくるよ、しかし20レベル以上になっても転職神殿使わなかったら特殊セリフあるんだ」
「コホン…失礼しました、サブクラスの選択ですね、初めてならそこの鏡のまえに立ってください、鏡の力で貴方の新たなる可能性が開きますよ」
転職神殿の人案内に従って、3枚ある鏡の前に立つと鏡が光輝き、自分を映し出した。