うたた寝ログアウト
「なるほどなー…あの時に何故か発動したゲートルーラーはそういう事か…」
フェルの話を聞いて、納得した…どうやらウランさんがユリに連絡して、フェルに妖精氷門を自分の妖精火門に合わせるように撃たせたみたいだな…それで良くゲートルーラーが発動したな…どういう原理だ…?
「どういうことですか?」
「あー今説明する」
フェルに船に乗ったレイドの出来事を説明する。
「私とユリが料理している間にレンナさんは船の上で色々と戦っていたんですね」
「ああ、なかなか楽しかったぜ、男の船乗りのアスタリスクとも仲良くなれたしな」
フェルは特に幽霊船のサファイヤとの戦いが気に入ったみたいだ。
「それにしても妖精氷門がレンナさんの所までワープしているとは思いませんでした」
「そうだな…これもシンクロの効果なのか?」
タイミングを合わせる必要がある以上、使い道は殆どないとは思うが、上手く使いこなせるようになればかっこいいかもしれない。
「でもウランさんはなんで私達が離れ離れでもゲートルーラーを使えることを知っていたんでしょうか?」
「なんでだろうか?ウランさんもシンクロとか持っているのかな?」
考えた所で答えはでず、睡魔が増すばかりだった。
「レンナさん、眠いんですか?」
「ああ、少し疲れが溜まっているみたいだ…ログアウトするか…」
「………ここで寝ていかないんですか?」
フェルがそんな事を言ってくる。
確かにユリのマイホームにはフェル用のベッド以外にも人間サイズのベッドがあるが、このゲームの世界で値落ちした場合……どうなるんだっけ…?
やばい、ちょっと眠たさで思い出せない………そうだ、ファンタジーフリーダムの世界でリアルで眠りに落ちたら、安全の都合上ログアウトするんだった。
ユリが言うにはログアウト後、ずっとVR装置を付けっぱで寝てしまって、後日首とか頭が痛くなると言っていたな…。
「あーここで寝たら首を痛めてしまうかもしれないから別所で寝るよ…」
「そ、それなら私が膝枕しますよ!」
「膝枕?それならしてもらおうかな…」
なんだかフェルが積極的だ、しかし膝枕か…ユリの入れ知恵なのだろうか…?膝枕なら問題ないか…。
睡魔でまともな判断力を失った自分はフェルに膝枕して貰う事になった。
フェルがフェルの為に作られたベッドに座り、自分はその膝に頭を乗せる…。
「ど、どうですか?」
「気持ちいい……」
「えへへ、それならよかったです!」
フェルが自分の頭を撫でてくれる。
なんというかこれが極楽というやつか…。
これならユリの言ってた朝になったら首や頭が痛くなるというデメリットを受け入れていい気がしてきた。
別にユリのマイホームで眠りにおいてログアウトしてもファンタジーフリーダム内でのデメリットは無いし、フェルが何かに襲われる訳では無いし、安心して眠れる。
「あ、フェルーもし寝て消えたとしても気にしないでね、眠りに落ちて消えるだけで起きたら後日戻って来るからー」
「はい、ユリから聞いていますので気にせずに寝てください」
優しく囁かれて、夢心地な自分はそのまま瞼を閉じて眠る姿勢になる…すると。
『眠りに落ちた事を感知しました、ログアウトします』
目の前にそんな文字が現れると同時に、自分は眠りに落ちた。
「う、うーん……」
アラームの音が聞こえる、そうだ今日も学校があるんだった…。
「あ、頭が重い…」
目を開けて辺りを見渡すが、何も見えない。
「…あ、VR装置身に着けたままだった…」
装置に手をかけて脱ぐと、肩と首が凝り固まったように痛い…。
「あはは…やってしまったな」
暫くはこの痛みは引きそうにないけど、フェルに膝枕してもらった事を考えたらまあいいかと思えてきた。
さて今日も1日頑張るか。




