レイド戦後
「お帰りだ2人ともTTはMVPおめでとう」
バタフライエフェクト号、アスタリスクが出迎えてくれる。
「なあ、色々と聞きたいことがあるんだけど聞いていいか?」
「うん、なんだ?あ、その前にビーコン返して、あれ高いんだよ」
ビーコンを返したら、TTが聞いてくれる姿勢に入ったので、TTに質問を開始する。
「幽霊船のサファイヤが攻撃をしてないのに壊れて、ウランさんが他のプレイヤーの攻撃と言っていたけど、なんか知っている?」
「ああ、あの部屋狭かっただろ?それなのにレイド戦の参加者はさっきのリザルトを見ればわかると思うけど50人以上がいた、それが全員さっきの部屋に入れば、鮨詰めの如くギューギューになって、戦闘にならない…だからそれを避けるために同じ形の部屋だけど、別のチャンネルに飛ばされて、ボスのHPだけ共有している状態でパーティー単位でそれぞれあの熱湯サファイヤと戦闘をしていたんだよ」
「えーと、その別チャンネルに飛ばされたから他の赤い船や黒い船が消えたのか?」
「…まあ、そんな感じだな」
「あれ?ならなんでウランさんと一緒にレイド戦闘出来たんだ?別パーティーだぞ?」
というかなんでウランさんが居たかも気になるが、それはTTに聞いても仕方のない話だ。
「まあ、そこら辺は2人しか居ない状態でレイドボスの部屋に入ったからじゃないか?後知人状態なら別パーティーでも同じチャンネルに入れられるということもある」
「なるほど…因みにMVPになったみたいだけどなんか貰えたのか?」
「うん?あーそんなレア物じゃないよ、換金用の大粒のサファイヤが貰えただけだよ」
TTが手のひら大のサファイヤを取り出す、現実なら数百万は軽く行きそうな物だけど、ファンタジーフリーダムの世界だからそんなに高くは売れないのだろう。
因みに自分の報酬も換金アイテムだった、MP回復ポーション沢山使ったし、ありがたい。
「話している所悪いけど、そろそろ港に帰るけどいいよな?」
TTと会話をしていたらアスタリスクが声をかけてくる。
「あ、シックスの街までよろしくお願いします」
「はいよ、それじゃあ取り舵いっぱーい!」
こうして自分達を乗せたバタフライエフェクト号はシックスの街まで海の上を進むのだった。
「しかし生身でマナガトリング砲を使いこなせる人が居るとは思わなかったよ」
「え?どういうことアスタリスク」
アスタリスクの側でアスタリスクの運転を見ていたら急にそんな事を言われた。
「だってマナガトリング砲は基本的にMP沢山喰うから生身で使う場合、魔法使いクラスじゃなきゃ装填にポーションを何度も飲む必要があって、時間がかかってしまうんだ、でも魔法使いのクラスだと反動を抑えきれずに集弾性が最悪になって、使いにくい…だから基本的に銃座に座って使うんじゃなくて、船経由で操作して船のエンジンでMPの装填や射撃をするのが本来の使用用途なんだよ」
「……そうなのか?というかそこからマナガトリング砲操作できるの?」
確かにフェルの補助魔法をシンクロ効果で持ってこなければ、振り回されてマトモに攻撃出来そうになかったが…。
「ああ、というかそもそも1人で乗ることが多いんだ、それなのに1人でマナガトリング砲を使えなきゃ攻撃手段がなくてあっという間に船の藻屑だぜ?」
アスタリスクがそういって、近くのレバーを操作すると、誰も座ってないマナガトリング砲が動くし、数発だけ弾が発射される。
「あれ?もしかして自分がマナガトリング砲操作する必要なかった?」
「いや、操作してくれたおかげで守りや移動にエンジンのMPリソースを注ぐ事が出来たし、かなりありがたかったぞ、またレイド戦があれば呼びたいくらいだ」
「それならよかった…」
そう言葉を交わしていたら、シックスの街にたどり着くのだった。