潜入!幽霊船!
幽霊船に乗り込むと、ギシリと足場の木が酷く軋む。
「本当に何もいないな…てっきり亡霊とかスケルトンとか来ると思っていたんだが」
辺りを見渡しつつも、火光を取り出す…あの砲撃の雨を食らっても一切燃えてない感じなので、火光を振り回しても問題ないだろう。
「と、それよりも中には入ってみよう」
もしもまた砲撃が飛んできたら巻き込まれてしまうからな…。
そう思って、船内に入れそうな扉を見つけ、そこに向かおうと足を動かすとドン!と他のプレイヤーが幽霊船に乗り込んでいる、身体は条件反射に飛び乗ってきた人を確認しようと動く。
「おや、誰かと思えばレンナじゃない!」
「う、ウランさん!?」
目の前に居たのは緑髪の腰まで行きそうなロングヘアーで青色と赤色のオッドアイの大人の女性で背中に弓を背負った…チームゼロオーダー所属のウランさんだった。
「ちょっと待ってくれ、ウランさんはユリとフェルと一緒じゃないのか!?」
「あー…2人ならもうマイホームに帰ったわよ」
ウランさんが気まずそうに答える。
「な、なんかあったのか?」
「いや特に何も、フェルはしっかりと生きているから安心して欲しいわ、ともかく今はレイドに集中しましょ…」
ウランさんは駆け足で幽霊船の船内へ続くドアに入っていった!
「ちょ!?待ってよ!?」
ウランさんは味方なのは確定しているので、慌てて追いかける。
「ウランさんはどんな船に乗っていたんだ!?」
「1人乗りの小型船よ」
あっさり答えて先に進むウランさん、もしかしてレイド戦スタート前にみた船か?
それよりもなんか急いでる?現実の方に用事でもあるのか?
「ウランさん、急いでいるなら共闘しませんか?」
「無理よ、私の攻撃は範囲攻撃が多くて、ある程度見知った前衛と組まないと誤射してしまうわ…それに今の貴方を死なせる訳には行かないのよ」
「え?なんで?」
今の自分はフェルを連れていないので、死んでも問題はないのは、ウランさんもわかっているはずだ。
「ともかくついてこないで!」
ウランさんは走り始める!結構早い!
「そんなこと言われてもレイドボスを倒すという目的が一致している以上、ついてくるしかないよ!?」
そう言って追いかけようとすると、ウランさんがキュッと立ち止まった!
その結果ドンとぶつかってしまう。
「あだ!?」
「それもそうね…ついてきていいけど、死なないでね?」
「ねぇなんで死んだら駄目なの?」
「乙女の秘密を探らない、これ以上探るなら金剛石化薬飲ませて暫く動けないようにするわよ?」
「あ、はい…」
金剛石化薬がどんな薬かはわからないが、ウランさんは薬を専門としている人だ…そんな人の自作と思われる有害効果のありそうな薬なんて怖くて飲みたくないので素直に従おう…。
「所でこのレイドボスてどこに居るの?」
「わかんないけど、こういう時は最深部に居るってものよ!」
ウランさんは周囲にあるドアの中で、1番豪華なドアを蹴破り開けた!
「ビンゴ!」
「あれがレイドボス?……みたいだな」
視界の先には宝石として高い価値がありそうな豪華なサファイヤが浮いていた。
思わず鑑定眼を使うが鑑定眼出来ないのか何もシステム画面が出て来ない。
つまり無機物ではない、生き物として扱っていいのだろう。
「構えて!」
「わかっ冷た!?」
身構えると同時に体に液体がかかる、するとダメージと多数のバフが発生するそしてダメージはすぐさま回復した。
「ユリから聞いているわ、自分とフェル以外から補助を受けたらダメージ受けるんでしょ?遅効性で多段発動する回復を混ぜてるから問題ないでしょ?」
「あ、ありがとう…」
どうやらウランさんのサポートの強化薬をかけられたらしい…しかも回復効果が多段発動するようにしてあって、完全に恋人のアルカナのデメリットを想定してくれている。
ウランさんに礼を言うと同時に巨大なサファイヤが青く輝き始めた!




