混戦海戦
「よっと、ただいまー」
1度海賊船の軍から距離を取っていると、隣に魔法陣が現れて、TTが戻って来る、全身びちゃびちゃだが、パーティーを組んでいることで見えている視界端のTTのHPバーは僅かにしか減っていない。
「おかえりー身体拭きなーアスタリスクに悪いぞー」
「気にするな、船を守ってくれた戦士には寛大だぞ!バリアの魔力を補充したら再度他の海賊船に突撃するから準備してくれ!」
そんな会話をしてから再度戦う準備をする、MP回復薬を飲みながら、マナガトリング砲にMPを注ぎ、何時でも撃てるようにする。
その途中でちらりと他の船をみる、海戦で活躍しているのは自分達はだけではない。
火力こそが正義と言わんばかりに砲弾の雨をひたすら放つ赤い船。
一番派手なのは、頑丈な性能を活かしてなのか、すごい勢いで海賊船の側面に突撃して、海賊船の大部分を粉砕していく黒い船だ。
……仮に黒い船がバタフライエフェクト号に突っ込んできたら、海賊船と同じ結末を辿ってしまいそうだ。
だが中には海賊船の攻撃で沈み始めている船がある、搭乗している人はNPC連れてなければ確実にプレイヤーのみだろうから、死んでもリスタート出来るだろうが…。
「船が船がー!!!」
船の持ち主と思われるプレイヤーの悲鳴が聞こえる…多分沈んだ船は戻って来ないのだろう…そう察するレベルでその声は悲痛に満ちていた…高いお金払って買った船なのだろう…自分は心の中で成仏しろよとてきとうに祈ることしか出来なかった…。
そう言えば開戦前にみた戦闘を想定しないよな小型船は無事なのだろうか?沈んでなきゃいいが…。
そんな事をMP回復薬を飲みながら考えていたら、アスタリスクの声が響き渡る
「よし!シールド機能万全!2人共第2戦目!準備はいいか!」
「遊撃員TTいけるぞ!」
「……マナガトリング砲員レンナ行けるよ」
TTのノリに合わせて返事をすると、再びバタフライエフェクト号は海賊船の1つに急接近する、そんな中自分達と同じように海賊船に近づく1つの船があった、先程海賊船を突撃で粉砕していた頑丈さが凄い黒い船だ!
「アスタリスク、あの黒い船多分突撃すると思うから距離を取ったほうがいい!」
「そんな急に言われても船は急に進路変更は出来ないぞ!やべ、衝撃がくるぞ、掴まれ!」
アスタリスクがそう叫んだ瞬間、頑丈な黒い船は急加速して海賊船に突っ込む、その海賊船の近くに自分達が乗るバタフライエフェクト号があってもお構いなしだ。
次の瞬間、メキメキと木々が、海賊船が粉砕される音が響き渡ると共にバタフライエフェクト号がグラグラと揺れる、頑丈な黒い船の突撃で生じた海の波がバタフライエフェクト号を激しく揺らしたのだ。
「やば!?魚!」
自分はマナガトリング砲を握っていたので船から落ちず済んだが、TTは海に落ちてしまった。
でも落ちる直前にTTの足が魚になっていたけど…大丈夫ぽい?まあ、多分さっき渡したビーコンの効果で戻ってくるだろう。
「あ、危ねえ、転覆するかと思った…おーい、黒船、気をつけてくれ!」
アスタリスクが黒い船に向かって叫ぶと、ごめーん!と軽い声が返ってきた。
「知り合いか?」
「顔見知り程度だ、それよりもTTは戻ってこれるか!?」
「TTは後で何らかの力で戻るだろうから気にせず船を操作してくれ!」
「わかった、さっきの海賊船は粉砕されたし、他を狙うよ、遠隔魔法陣起動、ブーストウィング!」
ギュン!とバタフライエフェクト号は加速して新たな海賊船に近付く、その海賊船には大砲をたくさん積んだ、赤い船からの砲弾の雨が降り注いでいる!船に備え付けられているバリアを上空に集中的に展開して防いでいるがみたいだが、側面が何も守られていない。
「レンナ、海賊を狙えるだけ狙って撃てぇ!」
「了解、薙ぎ払う!」
指示に従い、トリガーを握ると、再びマナガトリング砲が回転して海賊船の甲板に魔力の弾丸が飛び込み、甲板にいた海賊を貫いていく、海賊たちは反撃と言わんばかりに魔法を使い、氷の塊を撃ってくるが、マナガトリング砲で撃ち落とす!砲弾を撃とうとする海賊も居たが、撃たれる前にマナガトリング砲で撃ち抜いて阻害する!
するとこっちに戦力を割いた影響か、はたまた赤い船の砲弾の雨が凄いのか、海賊船のバリアが機能しなくなり、そのまま赤い船の砲弾の雨を浴びて、沈んでいった。
「圧倒的だなこっち…」
「まあ、味方サイドにレッドレインと黒船の2隻がいるらね…あとこっちの目で見た感じ、小型船1隻が暴れまわっている…前者2隻は知ってるけど小型船は誰だ?飛び跳ねながら戦っているように見えるが」
どうやら赤い船はレッドレイン、黒い船は黒船として海では有名なプレイヤーみたいだ…小型船て開戦前に見た船の事か…?
「ただいま…海に魚人が沢山いてきつかった、というか俺以外に水中動けるプレイヤーがいないのかよ…」
「あ、おかえり」
再びTTが船の上に戻ってくる、TTのHPバーは半分くらいまで減っていて、そこそこ苦戦していたみたいだ。
「お、TTが戻ってきたか、そろそろボス船が出てくるだろうから気を引き締めてくれ」
アスタリスクがそういうと同時にカーンカーンと鐘の音が鳴り響いた。




