乗りかかった船ならぬ一度乗った船
TTのマイホームからでて、シックスの街の港に降り立つ。
「なあTT、さっきは裏路地とか治安が悪い所でクエスト受けたから普通の所でクエスト受けないか?」
「いいけど、シックスの街は人口多いからそんなにクエストないかもよ?」
「まあそうなったらそうなったで?」
TTとそんなことを会話しながら歩き出す、まあクエストがないなら無いで、シックスの街を観光すれば良いので個人的には問題はない。
まあ、TTはつまらんとは思うけど…。
「所でレンナは何レベルになったんだ?」
「42…いや、ニセリオア戦で43になったな」
「……なあ、レベル下がってないか?なんかとんでもない禁術に手を出したのか?」
「禁術ではないけど、レベルはリソースとして使ったよ」
そういえばレベルは下がったが動きにくくなったとかの体感はあんまりしてないな…。
「リソースてなんのだ?」
「相棒の進化」
「え、彼女進化したのか!?」
「言ってなかったけ?」
そんな他愛もない会話をしていたらドゴーン!と遠くから爆発音が聞こえた!
「な、なんだ?」
「誰かがやらかしたか?レイドかな?」
戸惑う自分とやる気満々に構えるTT、周囲に居たプレイヤーの多くも戦闘か?と言わんばかりに身構えていたり、武器に手をかけていたりしている。
そんな中、目の前にシステム画面が現れる。
『レイドイベント:海賊の大群が発生、参加しますか?
参加条件:船の上に乗っていること
参加人数:0/100』
「レイドイベント…でも船が必要なのか…無理だな」
参加条件が条件なだけに参加人数の増えが遅い…。
「おいおいこういう時こそフレンドを」
「あ、幸運クリティカル!お~い!2人共!!」
TTが何か言う前にザパーンと津波の音と共に今日聞いたばかりの声が聞こえる。
声のする方を向くとバタフライエフェクト号があった!
「アスタリスク!」
「飛び乗れ!」
「わかった!鹿!」
「ちょっと、TT!?」
TTが自分を担いでとても大きく跳躍する、スタッとTTが着地したが、自分跳ぶわけじゃないので結構怖かった…。
「おい、TT!急に担ぐな!びっくりするわ!」
「え、でもレンナの機動力では飛び乗れんだろう?」
文句を言っていると、アスタリスクからパーティー申請がくる。
「レイドに行くんだろ?乗っていきな!海上戦したかったんだろ?」
「ありがとう!」
船を操る輪っかを握っているアスタリスクに礼を言ってからパーティーを組む。
「それじゃあ行くぞ!」
船に乗った事でレイドに参加できるようになったのでシステム画面を操作してレイドに参加すると視界が真っ白になったと思ったら、沖側まで船ごとワープする。
辺りを見渡すと色んな船があった、黒くて頑丈そうな船や大砲が大量に積まれた攻撃的な赤い船、遠くにはとても戦闘用には見えない小型船までもがある…どうやって戦うんだろうか?
「レンナ、マナガトリング砲の銃座に座っておきな」
「TTはどうするんだ?」
「うーん、遠距離攻撃は殆どないからな…レイドとなると飛んで泳いで敵の船に乗り込んでいると他の味方の船の砲撃でやられかねないからな…ちょっと戦況見て動く」
TTは臨機応変に動くみたいだ、アスタリスクは船操作だろうが…船の操作以外にも何かするのかな?
『レイド参加受付時間が終わりました、レイドイベントを開始します。』
どうやらレイドが始まるみたいだ、話はわからないがレイドイベントのタイトルからして海賊がシックスの街に襲撃してきたから迎撃しようと言う感じだろう。
まあ、丁度いい、このバタフライエフェクト号のマナガトリング砲を撃ってみたかったんだ、海賊が何者かは知らないけど船を沈没させてもらおう。
そう思いながらマナガトリング砲のハンドルを強く握るのだった。




