依頼の延長
「所であの召喚士の男はよくこの店に来るのか?」
「ええ、力があるのを良いことにすごく迷惑しているのよ…お金持ちだから最初は金づるだったんだけど…段々悪質な行為とかが増えてきたのよ、出禁にしたいけど…召喚獣で暴れられた際の被害が想像できないから出来ないのよ…」
気になった事を聞くと、ローブの女性が答えてくれる。
「そうだ、貴方達、あの召喚士を懲らしめてくれないかしら?あの大猿を軽々と倒せた貴方達なら安心して頼めるわ…お礼は…1日この店の貸し切りとかどうかしら?まあ、お酒のはお出しできないけどね」
「どうするレンナ?俺は当然やる気だが」
「貸し切りはいらないよ…まあ、さっきので恨み持たれそうだから遺恨は絶つために行ったほうがいいだろう」
TTが聞いてきたので、受ける事をしめす。
するとクエスト画面が現れて、クエストが更新されました、クエスト成功目標が召喚士が撃破、失敗条件がルルの死亡に変更されました…というメッセージが現れた。
「よかったわ、ルル、彼らをあの召喚士の住処まで案内してあげて」
「わかりました…」
「二人共、この子を連れて行って、この子は戦闘は出来ないけど、諜報活動とか探し物が得意だからもしも召喚士の住処を制圧出来たのなら彼女に探索させてあげて、彼らが店に来れなくなる情報とか手に入れてくると思うわ」
友奈にそっくりな少女、ルルが紹介される。
「レンナだ、よろしく頼む…」
「TTだ……なんか見覚えあるような…気のせいか…」
「ルルです、戦いは出来ないから戦闘が起きたら助けてください」
お互いに自己紹介を終える、うーん、何度見ても友奈の幼い頃に似ている…。
「あのーなにかついていますか?」
「いや、知り合いと似ているから思わず観察していただけだ」
「うん?誰に似ているんだ…お前に小学生の友達は居ないだろ?」
TTがジーとルルの顔を見る、だが分からなかったのか、頭にハテナマークが浮かんでいる。
「ほらそろそろ行くぞ」
悩むTTを急かす、感づいたらめんどくさそうだしな。
「はい、こちらです」
ルルが先導してくれる、それについて行く…。
「なあ、TT…召喚士て強いクラスなのか?」
「まあ、死なない、再召喚可能な戦えるNPCと考えたら悪くないクラスだと思うよ、手数が力ではあるんだが…ただEXPが分散するから強くなる為の道が凄く長いのが弱点だな、強くならないと複数召喚出来ないし」
道中にTTに召喚士に関しては教えてもらう。
召喚獣が強いけど、召喚士というクラス自体は非戦闘クラス並みの脆さだから基本的に後衛クラスである程度試行錯誤が必要らしい。
「まあ、見た感じお前みたいに脆いのにガンガン前に出て戦えるタイプじゃないから、また戦闘になったらレンナは召喚士の男の撃破を優先してくれ、俺は召喚獣の相手をする」
「いいのか?」
「役割分担はしっかりとしないとな、ルルは隠れる所があるならそこに隠れて欲しい」
TTがそう指示すると、ルルは一度こちらを見てコクリと頷き、再び歩き始める。
数分歩くと、豪華な建物にたどり着く、貴族が住んでそうな屋敷だ、大きな鉄製のゲートがあり、自分達の侵入を防いでいる。
「ここがあの召喚士の家なのか?」
「うんそうだよレンナさん、毎回ここに来なと言われるんだよ…」
「…TT、ピッキングスキルはあったりするのか?それかこっそりと侵入するスキルとか」
「解錠(物理)なら出来るが…流石に正面突破はルルを連れた状態でやるのはな…」
周りに人が居ないが、解錠(物理)なんかしたら余計な騒ぎを起こしそうだ。
「ここは任せてください」
ルルは鍵を取り出してがちゃんと解錠した。
正規の鍵なのか恐ろしくスムーズに解錠された。
「………まさかあのチャラチャラした男、ルルに鍵を渡したのか!?」
「はい…」
ルルが肯定してくれる、セキュリティ管理なってないな!?
そう思いつつも自分達は屋敷の中には入っていった。