怪しげな男と見覚えある少女
「なあ、今日こそオフに行こうぜ!」
「ごめんなさい、今日も用事があるんです…」
騒がしい所を見てみたら、チャラチャラした貴族ぽい身なりをした男性が自分と同じ位の体格の女性をナンパと言えばいいのかな?ともかく迫っていた。
傍からみても女性は嫌がっている。
「止めたほうが良さそうだな、いけ!レンナ!」
「お前が行かないんかよ…まあ行くけど…」
TTに言われてチャラチャラとした男に近づく。
「そこまでだ、この店に雇われたガードだ、過度な接触行為は止めてもらおう」
「うるせぇ!俺はお客様だぞ…て、おめぇ本当にガードか?見た目がガードらしくないが」
チャラチャラした男は完全にこちらを舐め腐っている。
「…見た目で判断するのは戦闘力のなさの表れですよ、自分以外にもガードが居ることもわかっているか?」
そう言っていると、背中からギュッと服を引っ張られる。
「あの、迷惑かけてごめんなさい」
服を引っ張ったのはさっきチャラチャラした男に詰め寄られた女性だった。
「いや、仕事だから気にしないで…な!?」
女性の顔を見て驚く、顔が現実のユリ…友奈の幼い頃にそっくりだったのだ。
「隙あり!」
「おら!」
ドゴォ!
こっちが少女の顔に驚いている間に、こちらを攻撃しようとしたチャラチャラした男がTTの拳によって吹き飛んだ!
「油断しすぎだ、レンナ」
「す、すまん…」
TTに謝って、火光とアースキーを構える。
…でも色んな机の上に置いてあるお酒の瓶がある為、そこで火光を使えば火事になってしまいそうだ、しまったほうが良いかもしれない?
「くそ!やるならば来い!わが召喚獣!」
TTにぶん殴られたのにあっさりと立ち上がったチャラチャラとした男が石を取り出して、それを砕くと、大きな猿が現れる!それによっては店内にいたスタッフ達が悲鳴を上げる。
「レンナ、店内を傷つけず倒す方法持っている?」
「持ってない、火光だと火事になりそうだし、アースキーだと床が大惨事になる」
やばいな、自分は狭い室内戦闘を想定した装備や戦闘スキルを身につけていない。
「ならサポート頼む」
「わかった、フェル…力を貸してくれ、オールアップ!ブレイブハート!」
シンクロの効果でフェルの補助魔法をTTに付与する。
「熊、虫、鹿、虎!」
TTが巨大な猿と取っ組み合いを始める、巨大な猿が暴れようとするが、TTの力で押し留められる。
「くそ!やれ!ヘビーモンキー!パワーアップ!」
「日暮れ斬!」
召喚した大猿を強化しようとしているチャラチャラとした男の背後に回り、アースキーで頭をゴイン!とぶん殴る!
「かは!」
チャラチャラした男が地面に倒れたと思った瞬間、男を起点に魔法陣が展開される。
「なんだ!?」
日暮れ斬の効果で元いた場所に戻ると同時にチャラチャラした男が魔法陣と共に消えていった…もしかしなくても、魔法陣の効果で撤退したのだろう!
「くそ!猿も持ち帰りやがれ!フルパワーノックアウト!」
ズガン!とTTのアッパー攻撃が巨大な猿に突き刺さる!すると巨大な猿は空中で青い電子の粒子になって消えていった…。
「…逃げたのか?」
「ああ、召喚獣は倒れると青い粒子になって送還されるから逃げたという表現でいいと思う」
TTと言葉を交わしていると、依頼主であるローブを着た女性が話しかけてくる。
「貴方達を雇って正解だったわ、店の被害は軽微で済んだわ、店の子も無事だし文句ないわ」
「ありがとう…かっこいい人…」
ローブの女性だけじゃなくて、幼い頃の友奈似の女の子もお礼を言ってくる。
「い、いや…礼を言われるほどのことはしてないよ」
うーなんか妹に似ているせいかなんか調子が狂うな。
「なんだレンナ…狼狽とはお前らしくないなんだ?浮気か?」
「何言っているんだTT…」
変なことを言うTTに呆れてしまうのだった。