船選び
1つ1つ頑張って鑑定眼で船を解析していたら1つ気になる船を見つけた。
『バタフライエフェクト号
1匹の蝶の羽ばたきが巡り巡って竜巻になるという諺を冠した船、船体はストーンツリーをメインに使っており、武装はマナガトリング砲が2つ装備されている。』
名前がちょっとかっこいいなと思えてしまったし、デザインも青を基調にした色合いで、スピードが出そうな形だし、ファンタジー世界にあるまじきガトリング砲が装備されているのもユニークで、個人的に乗ってみたいと思えた。
「TTあれ乗りたい」
「おーお前好みのデザインだな………でも残念ながらその船の護衛依頼は無いみたいだぞ」
「ええー!?」
完全に乗れると思っていたので、大きな声で落胆の声をあげてしまう。
「第2候補はあるか?」
「えーそう言われてもな…」
あれ乗れないなら何でもいいやと適当に選ぼうとしていたら…。
「へえ!俺の船に目をつけるとはセンスいいな!」
バタフライエフェクト号から声が聞こえた。
「誰だ?」
「俺はバタフライエフェクト号の船長だ!」
「えーと名前は……記号が1文字…アスタリスクて呼べばいいか?」
そこに現れたのは黒いバンダナを巻いた紫髪の少し年老いた大人が居た、腰にサーベル、服装はよくある海賊の船長が着ていそうなボタンが付いていないコートを羽織っている。
「ああ!よろしく!TT、レンナ!」
あ、どうやら自分と同じプレイヤーみたいだ。
え、プレイヤーが船持てるのか?
「なあ、バタフライエフェクト号て買ったのか?作ったのか?」
「え、うーん…半分作って半分作ってもらった感じだな、苦労したぜ…ほぼ無尽蔵に動く魔力のエンジンとか作れる人に土下座して作ってもらったし…と、それよりも2人は海に出たいのかい?」
「あ、うん!初めてシックスの街に行く為に船の護衛依頼を受けるつもりだったんだけど…シックスの街まで乗せてくれませんか!少なからずのお礼はする予定です!」
ここぞとばかりに船に乗せてもらえないか交渉してみる!
「あはは!いいね!何が出来るんだ?」
「鍛冶で作れる物なら殆ど作れると思う、上級クラスの鍛冶屋です」
そう言うと、ほうとアスタリスクは声を上げる。
「なら報酬は後払いで、材料は渡すからこれを作ってくれるなら、乗せてやってもいいぞ!」
アスタリスクはそういうと、1枚のレシピを渡していた。
それを受け取りなにかなー?と覗いてみる。
『ティターニアの像のレシピ』
レシピの他にも完成想像図が乗っている、赤い宝石が目としてはめ込まれていて、首には豪華な青いネックレスをはめていて、背中に紫色の羽が生えている。
フェルほどではないが、きれいな妖精の像だ。
アスタリスクも妖精が好きなのか。
「………ほう、いいセンスだな」
「おお!お前ならばわかってくれると思ったぜ!フレンド結ぼうぜ!」
「…………類は友を呼ぶというやつか」
アスタリスクとガッシリと握手していると、TTがそんな事をいう。
フレンドを結ぶと更にパーティー申請が来たのではいのボタンを押すと、3段目に*の記号と共に視界端に3本目のHPバーが現れる、2本目はTTのHPバーだ。
更にティターニアの像のレシピと材料がプレゼントされる。
「うお、ギリギリの重量…」
「まあ、像の材料だからな…材料は後に渡せば良かったか?」
「いや、行動に支障はない程度だからこのままでいいよ」
「わかった、それならバタフライエフェクト号に乗ってくれ」
アスタリスクに誘われるようにバタフライエフェクト号に搭乗する。
バタフライエフェクトは小さめの舟だが工夫を凝らした作りなのか広く感じるし、頑丈そうだでも木製だから火光は使わないほうがいいだろう。
「ああ、ちなみにバタフライエフェクト号は木製だけど耐火処理はしっかり施しているから火の力とか使っていいからな」
「耐火なのかありがたい!」
「ふふ、それじゃあ出港だ!」
アスタリスクがそう叫ぶと、ガコンとバタフライエフェクト号は動き始めた!