リオアの切り札
はあ、しくじったな、最後の最後で妹のバフで死ぬとは…まあ、リオアが切り札を使えば何とかなると言っていたから、リーダーさんやナナサカさんが洗脳を振り切って、なんとかしてくれるだろう…。
妹の手前こんな情けない倒れ方はしたくなかったが、仕方ない。
「お兄ちゃん立って!リレイズしたからまだ戦えるよ!」
………え?
リオアの叫び声が聞こえる、まだ戦えるてもうHPバーが全部なくなって…。
そう思って視界端のHPバーを確認するとHPバーが半分まで回復していた!
「おお、なにこれ!?」
「プレイヤー限定の心肺蘇生よ!1回しか効果ないからね!」
再び立ち上がり、武器を構える。
更に自分のHPバーの下には大量の強化を示すアイコンが浮かんでいた。
「ふう、やっと解放された…」
リーダーさんの声が聞こえてくる、声のする方を向くとごくごくと回復薬を飲んでいるリーダーさんがいた。
「ぷは、すまないな2人共…知らない間にチケットがすり替えられていた…不意打ちでガッツリ魅了されたから、なかなか振りほどけなかった…」
回復したリーダーさんが謝ってくる。
「気にしないでくださいリーダーさん、自分も知らない間にチケットすり替えられていたし…」
「リダと呼んでくれないのか…」
「リーダー!へこんでないで戦闘準備して!後はよろしく!」
リオアはそう言うと再び歌うことに専念する。
ごめんリーダーさん、クセでいつものように言っちゃった。
「はあ!今日は魅了されっぱなしだな…すまんな状態異常には勝てないんだ」
ナナサカさんも正気に戻ったみたいだ、でも大丈夫か?また魅了されない?
「く、まだよ!例え魅了が解けても何度でも!大好きになーれメロメロキュン!」
そう思った矢先、ニセリオアは再び魅了ぽい技を使う!
「2度目は食らわない!リバースボディ!」
「うげ!?」
ハートの波動が迸る中、リーダーさんの声でナナサカさんの体がグルンと180度回転する…気のせいかな?最初首だけ回ったように見えるんだが、生きてる?ナナサカさん?
「気をつけろよナナサカ、お前は同じ相手に魅了耐性得られないんだから」
「ありがとうと言いたいけどさっきの魔法で瀕死なんだが…?」
どうやら生きているみたいだ。
そういえばこっちは全然魅了されていない、初回の頃はくらっと来たけど、今はもう何も変哲もないハートのエフェクトを浴びただけだ。
それでも周りを見たらまた魅了されて暴れ出すプレイヤーがちらほらいる。
でも今はリーダーさんとナナサカさんがいるからどうとにでもなる!
「さて、ナナサカ…今回は露払い、サポートに徹するでいいよな?ボス戦はリオアとレンナさん譲る感じで」
「異議なし、魅了されないように徹しないといけないし…散々魅了された俺がいいとこ取りする訳にはいかないからね」
「まって、一緒に戦ってくれないの!?」
リオアの歌の力でMPが常時回復中だから戦えるけど、1人はきついよ!?
でも今はリオアにフェルを預けているから万が一殺られても問題ないか…。
「…わかったやるだけやってみる」
「ほい、本来は条件ある刀神の加護を発動させたから頑張れ、刀神の加護とか歌神の加護という滅多にない2重加護だ、全力でやっちゃいな」
歌神の加護?もしかしてリオアの歌の強化の事を指しているのか?
というか神様2人がかりの加護とかなんか大事になってないか?いやほかプレイヤーを巻き込んでいるからかなりの大事か…。
「くう!まだ終わらない!終わらないわ!」
「いや、終わりだよ、仮に自分を倒してもリーダーさんとナナサカさんが控えてるんだぞ、うちの妹を模倣した以上、2人の強さは既に調査しているだろ?というか調査したからガッツリと厳重に魅了にかけたんだろ?降参したら?今ならまだ命は助かるかもよ?」
「うるさいうるさいうるさい!まだ終わってないんだから!かかれ皆!」
怒り狂って魅了したプレイヤーを消しかけるニセリオア…。
駄目だこれ、説得じゃ止まらないな…。