ニセリオア第二形態?
「はあ!」
ニセリオアが気合を入れて叫ぶとニセリオアから波動が迸り、大地の杭を破壊する。
それと同時にニセリオアの服装が豪華になる。
「はあ、はあ…まさかレンナが天井から降ってくるとは思わなかったわ…あんた本当にただの鍛冶屋?」
胴体を大地の杭で貫かれたのに既に塞がっていたニセリオアは恨みの視線をこちらを飛ばしてくる。
妹を模倣する以上こっちの情報はある程度筒抜けなのかな?
「…そろそろ妹の模倣は止めてもらおうか」
「それは出来ない相談ね、そんなことしたら私は死ぬし…それにまだ負けたわけじゃないよ」
…相手サイドには満身創痍とはいえ魅了されたリーダーさんとナナサカさんがいる、こちらはフェルが妖精元素門の反動で満足に動けないし、自分のMPがゼロだ、戦力になれるかかなり怪しい。
「お兄ちゃん、無茶振りしていい?」
「なに?」
リオアがジリジリと自分の耳元で囁く。
「1人であの2人の食い止められる?」
「……まじか」
あの2人とは言わずもがなナナサカさんとリーダーさんだ、遠巻きに肉壁になって死ねといわれているような物だ。
「…ちょっときつい」
フェルをリオアに預けて突っ込んだとしても持って数秒だろう。
「10秒時間を稼げば全体の洗脳をなんとか出来ると思う…」
「じゃあ今から使って」
「多分スキルやアイテムを使った瞬間襲われるよ、今は作戦会議タイムだからニセリオアが魅了されたプレイヤーを消しかけてこないだけ」
「……わかったやる、代わりにフェルを預かってほしい」
「ありがとうお兄ちゃん、後余裕があればリーダーさんを挑発して、刀神は無理だと思うけど、リーダーさんはある程度魅了されて時間経ってるし、強い感情を引き出せれば魅了から解放できるかも…」
リオアに接触して、手早くこっそりとレッド・ガードでフェルを包んでリオアに託す、多分これで他の人には見られてないはず…フェルがしんどそうな顔をしつつと不安そうな眼差しで見てくる、小声で大丈夫だよと伝えてからニセリオアと相対する。
「あら、死ぬ覚悟は良いかしら?」
「無いよ、妹を置いて死ぬなんてカッコ悪い事は出来ないからね」
「なら死んじゃえ!お願い最強の2人、鍛冶屋を倒しちゃって!他の人は私を守って!」
ニセリオアの声でナナサカさんとリーダーさんがこちらに向かって覆いかかってくる!
「無魔技手!」
MP0で使える強化技を使い、まずはナナサカさんの攻撃を受け流す、更に立て続けに襲いかかってくるリーダーさんが撃ち出した氷や火や雷の球体を弾く…。
「……?」
僅かに感じる違和感、攻撃に過激さがない…いや、夢幻の試練で体験した時みたいに広域攻撃されたらほぼ回避できないしありがたいが…。
もしかして他の魅了されたプレイヤーに流れ弾いかないようになっているのか?
「ほら頑張れ頑張れ、ハイパーエール、バトルエール!」
ニセリオアが2人に強化を付与する、MPがあればリーダーさんに一発でも地門を当てれば、既にファイナルターミナルを発動して死にかけのリーダーさんを倒せる…いや、リーダーさんならHP自動回復する装備とか身につけてそうだからMPあっても無理か…ともかくリーダーさんに声をかけてみよう!
「リーダー…リーダーさん!このまま操られっぱなしでいいんですか!万能の魔術師の称号が泣いてますよ!」
声をかけてみたが、返答は頭上から雷だった、無言だったが、雷を纏った杖を天に掲げるという予備動作があったから、アースキーで防げた。
「無駄無駄、彼と刀神には全力で魅了をかけたからね…」
「えっと、えっとリーダーさん!いま正気に戻ったらリダと呼ぶよ!」
「…く……」
ギシリとリーダーさんが目に見えて動きが止まる。
「え!?なんでそれだけで魅了に抵抗が発生するの!?ただ伸ばし棒なくなるだけよ!?」
それを見て驚愕するニセリオア…自分もちょっと驚いていると、ナナサカさんが攻撃してきた!
「やば!?」
刀による攻撃を受け流そうとするが、火光は完全にスカして、太ももをバッサリと切られてしまう。
「くぐぐ…不屈……」
HPバーが一撃で1ミリになる、不屈が発動したが、もう一撃もくらえない。
「お待たせお兄ちゃん!行くよ私の切り札!味方に数多なる力を!不浄を払う歌を歌わん!ソングオブイマジンディーヴァ!」
「え、あ」
リオアが歌い始めると同時に……自分のHPバーがなくなった…。
数多なる力て…リオアの切り札バフ系なのか…恋人のアルカナの効果を思い出しながらも自分は地に伏せた。