姿を見破り、奇襲をかけろ!
「だいたいはわかったね、行くよ、フェル…人化解除」
作戦をなんとか伝え終え、観客席に隠れつつも防具のレッド・ガードを脱いでから、人化解除をすると、赤いコート以外は小さくなる。
フェルには防具のレッド・ガードの中で隠れて貰う、端から見たらただの脱げたコートだ、この状態なら魅了されたプレイヤーは干渉してこないだろう。
そしてもう一つの防具、エレメント·アールヴを着てから、観客席の椅子の間を通り抜けて、壁際に移動…辺りを見渡しても皆ステージに目線が行っているので正反対の壁際を見ている人はいない。
壁を伝うように妖精状態の時に生えた白銀の羽で飛行して天井に移動する。
「くっ…やばいわね……」
「うふふ、最強の2人を引き入れた以上私の勝ちね」
「私はうふふとか言わないわよ…それに油断していると背中から刺されるわよ?」
勝ち誇ったニセリオアにまだ余裕を崩さないリオア、そのリオアにニセリオアはイラつきを示す。
「随分余裕ね、今の貴女は周囲のファンがいないからアイドルの力も満足に発動できない、逆に私はパワー全開よ、皆手を出さないでね、私が倒しちゃう!」
ニセリオアはレンフェルソードと全く同じ剣を取り出してリオアを攻撃をしてくる…そしてお互いに交戦が開始する。
あ、やば…今リオアとニセリオアが戦うとどっちが本物か咄嗟に把握出来なくなる!
これだと天井から奇襲が出来ない………と思ったか!
フェルにサインを送り、アースキーと火光を取り出す。
「「ダブルアーツ」キャスト」
「妖精火門、妖精地門」
「妖精氷門、妖精風門」
「「アクティベーション」」
小声でフェルと一緒に妖精元素門を開き、全力のバフを得る、更にフェルが小声で補助魔法を使ったのか、HPバーの下に沢山のバフアイコンが増える。
準備している間に、2人のリオアが高速でレンフェルソードでの攻防を繰り広げてもうどっちが本物かわからない!
だけど…ここで妹を見抜けなければ兄じゃねぇ!
「ヒートウィング!」
羽を燃やし、全力で天井を蹴り、2人のリオアが戦っている所に飛んでいく!全力全開の速度、瞬きする間も無く、敵に接敵する!
「フォールキー!」
咄嗟に思いついた言葉を口にして1人のリオアの背中を全速力の速度を乗せたアースキーでぶった斬る!
「エレメント…いや、地門!」
全力の一撃で土煙が舞い上がっている内にフィニッシュスキルを使おうとしたが、流石にこの状態でまだ一度も使ってない奴を混戦の中使って味方やNPCを巻き込むのはやばいので地門で追撃を挟む。
「人化!」
土煙が消える前に人化をして人に戻る、それと同時に、妖精元素門の効果が消滅した。
土煙が消えるとそこには地門に貫かれたリオアとポカーンとしているリオアがいた。
「お、お兄ちゃん…な、ナイス!」
「まあ、ご注文通り奇襲したよ」
「流石お姉ちゃん!よくあんな状況で偽物の私を見破ったね!どうやったの!?」
リオアがそんな事を聞いてくる。
「どうやったて…頭上だとわかりやすかったぞ、お前何度かあっちに見てただろと!」
妖精元素門は消えたが、まだ残っている補助魔法の効果を活かしつつあっちの方向…フェルが居る方向に跳躍して、観客席に戻る、そこで防具のレッド・ガードにくるまって疲れ切っているフェルを回収して、フェルを胸ポケットに移動させて、リオアの所に戻る。
「成る程…ありがとうお兄ちゃん…お陰で第二形態戦まで行けそうだよ」
「へ?」
第2形態?第2形態てあのゲームの魔王とかがよくなるあの第2形態?
「まって、ニセリオアは地門で串刺し………てあれ?」
そう言えばまだ周りの魅力が解除されていない…つまりまだ戦闘は続いているのか!?