リオア、リオア
魅力状態のナナサカさんとリーダーさんが相対する、自分はこれから起こる惨劇を想像してオロオロしてしまう。
「なあ、これどうなっているんだ?」
「さ、さあ?特殊演出かなと思ったけど違うよな?」
「でもなんかおかしくないか?」
「…まあ、あの刀のやべーやつはともかくあの魔術リーダーはライブにはでたがらないよな」
どうやらごく一部だが、魅了が溶けたプレイヤーがでてきたみたいだ、でも肝心のリーダーさんは魅力状態だ。
逃げるべきだとわかっていても今逃げたら良くない気がする、でもフェルの命最優先で動いたほうがいいよな!?
「レンナさん、わかりました!ナナサカさんを魅了した人が!」
「え、そうなの!?誰?」
こっちはリーダーさんが魅了された時点でフェルの安全確保を考えてて、そこら辺思考が回らない!
「リーダーさんから聞いたことがあります、魅了や洗脳等の相手の主導権を奪う魔法にかかった際は、味方の手でより強い魔法や力による魅了や洗脳で上書きすれば、実質的に敵サイドにコントロールされずに済むて…多分ナナサカさんは相手に魅了されない為に味方の魅了にあえてかかったんです!
そしてアイドルのリオアレベルの強力な魅了を使える人は限られています!」
「ま、まさか!?」
「Nホール!!」
フェルの言葉でナナサカさんを魅了状態にしている存在が頭の中に浮かぶと同時に、ナナサカさんが自分が出て来た亀裂に刀による一撃でより大きな穴を開ける、人が1人入れる穴が開いた亀裂がより大きくなり、亀裂の向こう側が見えるようになる…そしてそこには…もう1人のリオアが立っていた。
「え?どういうこと?リオアが2人!?」
「亀裂の向こう側て別のホールだよな…?どういう事だ!?」
「どっちが本物のなんだ!?」
魅了状態が解けたプレイヤーは混乱している。
こっちはどっちが本物か分かるが、それでもちょっと状況把握が大変だ。
「まさか自分のライブの隣で偽物がライブしているとは思わなかったわ…お兄ちゃんとナナサカさんが気付かなければ、気付かずにファンがごっそりと持っていかれてたわ…」
本物のリオアが口を開く、その声は怒りが宿っていた、その時、こちらと目が合った…距離は遠く、人も多いのでリオア良く見つけたなと驚く。
『なんで偽物の所に居るの!?』
『知らん!!こっちも訳わかんないよ!』
『まあ、魅了されてなくて良かった。』
そんな兄妹だから出来るアイコンタクトを交わす、結構距離があるのに意外と分かるものだ、リオアは安堵のため息をついてからレンフェルソードを取り出して構えようとしたら、ニセリオアが言葉を発する。
「へーアイドルなのに偽物を見たらすぐに暴力で解決しようとするなんて野蛮ー♡」
「私のファンを魅了しようしている偽物の泥棒に言われたくないわ、というか私はそんな媚びた声は出さないわ」
「そうかしら?アイドルなら誰でもやると思うわよ?こんな風に…戦える人、私の偽物を倒して、キュンキュンリオアチャー厶♡」
再びニセリオアが広域な魅了を放つ、だが自分は特に悪影響はなかった…。
「フェル、大丈夫か?」
「はい、初回不意打ちならともかく、偽物から来るとわかっているなら特に問題はないですが…他の人が……」
フェルが辺りを見渡す、自分も見渡すと周囲のプレイヤーが再び魅了状態になっていた。
だが初回の不意打ちで魅了状態になっていた時とは違い、動きがぎこちない…抵抗しようとしている感じがする…。
やっぱり初回の魅了状態は本人が元からライブ目的で来ていて、魅了の内容もライブを楽しむだから魅了状態になってもほぼ行動阻害されずに気付かずに魅了の状態になっていたのかな?
そう考えている間にも魅了された数多のプレイヤーがステージに降り立ち、ナナサカさんとリオアに武器を向ける。
ステージに残っているプレイヤーはちらほらいるが、見た目からして多分自分と同じ鍛冶屋、薬師等の非戦闘職なのかな?あとは戦えないNPCと思われるキャラも観客席でニセリオアを応援している。
「そうだ、リオアはリフレッシュエールていう状態異常を回復する技を持っていたよな、使わないのか?」
「リオアさんが使わないと言うことは何か理由があると思いますよ?」
リフレッシュエールでリーダーさんの魅了を解除すればリーダーさんなら2度目は魅了されないだろうし、リーダーさんが味方に付くだろうから一気に戦況を覆せるはずだ。
それとも魅了系には使えないのか?
そんな事を考えていたら、魅了されたプレイヤーはナナサカさんとリオアに襲いかかって来た!




