理性なき乱入者?
狂乱のようにリオアの歌声にペンライトを振るう観客と急に現れた謎の亀裂に戸惑っていると、フェルがあ、という声を出す、何かに気づいたのか?
「どうしたフェル?」
「えっと…あの亀裂から見知った気配が」
「え、誰?」
フェルが答える前にドゴンと亀裂は穴になり、その気配が現れた。
「な、ナナサカさん!?」
壁に亀裂を入れて、斬り壊し、現れたのは刀神のナナサカさん、流石に壁を壊して現れた乱入者に、ニセリオアは歌うことは止める。
「あ、貴方は刀神!ライブに不法侵入は重罪よ!」
「……Nホール!!」
ニセリオアの言葉にナナサカさんは叫び声で対抗する!
Nホール!?端から見ればただの良く分からない叫びだが、この叫びは自分とフェル…本来ならリーダーさんに向けたメッセージだろう。
ナナサカさんは本物のリオアの場所を知っている事を…。
ナナサカさんが来てくれたから一安心…と言いたいが…。
「待ってください、あのリオアは超広域で色んな人を魅了していましたけど、ナナサカの天敵なのでは!?」
フェルが声をあげる、そうだ、文字通り刀神…ではなく鬼神の如くの強さを持つナナサカさんの最大の弱点は状態異常に物凄く弱い事だ、お酒1つで酔っ払いの状態異常になるんだ、リーダーさんでも抵抗出来なかったニセリオアの魅了なんてヒットしたら、確定でナナサカさんは魅了に陥るのは凄く目に見えている。
「全く、君も私に溺れちゃえ、リオアー…収束キュンキュンチャー厶♡」
「Nホール!!」
再びニセリオアが魅了の力を振るうが、なんとナナサカさんは咆哮でハートのエフェクトを弾き、魅了を防いだ!
でもなんでNホール?と叫んだ?そう思っているとフェルが気付く。
「レンナさん!ナナサカさんは既に魅了されています!オールアップ!」
え?と理解出来ない言葉に再びナナサカさんを見るとオールアップのおかげか、ナナサカさんの目がハートマークになっているのを確認出来た。
「あれ?やばくない?」
「ど、どうしましょう…」
自分の知る限りではナナサカさんとリーダーさんはこのファンタジーフリーダムの世界では多分五本指に入る強さだ、その2人共魅了されたのならもう大惨事だろう…。
でもナナサカさんはニセリオアに魅了されたわけじゃないみたいだ…どういうこと?。
「み、皆助けて!このままじゃ殺されちゃう!」
ニセリオアの声で一部のプレイヤーが観客席から飛び出してナナサカさんに攻撃を始める!
「Nホール!!」
だが巨大な刀を持ったナナサカさんの一撃によって薙ぎ払われる!プレイヤー達は赤い電子になり消えていく…。
「まって、これNPCまで飛び出したら…」
この世界のNPCは死んだら生き返らない!ナナサカさんが大量のNPC殺戮者になってしまう!
「皆ー助けてー!」
ニセリオアが媚びた声を出すと、とうとうNPCと思うキャラがステージに飛び出して、ナナサカさんに襲いかかる!
ど、どうしよう!どうとめれば!?いや、無理だ!ナナサカさんを武力で止めるなんて…妖精元素門を使えば…いや無理だ、余波で死人が出る未来が見える!
「フェル、状態異常を治す魔法はまだ覚えてなかったっけ!?」
「駄目です!その魔法は覚えてませんし、そもそも回復魔法が届く距離ではないです!」
あ、もう駄目だ、詰んだ!そう思った時、ナナサカさんに襲いかかったNPCはナナサカの一撃で吹き飛ばされ、観客席に叩きつけられた!
だが赤い電子を発さずに消えていない、叩きつけられた地点で気絶している。
「まさか殺さないように手加減している?魅了状態で!?」
どういうこと?ナナサカさんを魅了している人はナナサカさんにどんな命令をしているんだ?
………あれ?魅了されているならなんでNホールと叫んでいるんだ?あれって自分達へのメッセージと思ったんだが…?
良く分からない状態で頭を悩ましていると、ナナサカさんの前に1人の魔術師が観客席から飛び出して、ニセリオアを守るように降り立った。
…リーダーさんだ……これやばくないか?自分達以外に正気な人て居ないのか?このままじゃとんでもない事になるんじゃ…。