フェルの進化先と…
「はーどうすればいいんだろう」
再び真っ暗な空間に放り込まれて、フェルの進化先を示すシステム画面とのにらめっこが始まる。
思考の片隅にユリやリーダーさん、TTと相談するとか浮かび上がったが、それはしないことにする…フェルの大事な進化を他者に相談するのはフェルに失礼だろう、まあ実際に出来るかも試してないからね。
「……ずっと悩み続ける訳にも行かないよな」
例えここに居ても時間は経過する、ユリのマイホーム内ではきっと自分が床に倒れ伏しているだろう、ユリに見られたらびっくりさせてしまう。
「………………ピュアフェアリーでいこう」
何分くらい悩んだだろうか、ずーとぐるぐる悩んで悩んで選択する。
選択した決定的な理由は普段と変わらない見た目もあるのだが、性格も見た目に引っ張られる ように結構変わっているのをサキュバスフェアリー状態のフェルと話して、なんとなく理解した、その為ピュアフェアリーが1番フェルの性格に変化がないと思って選んだ。
お試しを使えば各進化状態のフェルと交流出来るだろうが、あんまり時間はかけたくないし…変に沢山交流したら余計に悩んでしまいそうだ、だからこれ以上のお試しはしないようにした。
『ピュアフェアリーに進化しますか?
選択したら以後後戻りができません』
ボタンを操作すると後半が赤文字で書かれた確認画面が出てくる。
「全く、結構意地悪な仕様だよな、フェルに選択させず、相棒の自分に選択させるとは…」
そう愚痴に近い独り言を口にしてポチリと押した。
『シンクロスキルを検知しました、カスタム進化が実行可能です、実行しますか?』
お?なんか特殊なコマンドと思われる物が出て来た、カスタム進化?訳がわからないが、はいと選択した。
『カスタム進化では貴方のレベル、スキルのレベルを対価にフェルの進化に強化や変化を持たせられます』
え、自分のレベルが対価なの!?自分が驚いている間に色々と情報の量が押し寄せてくる。
『フェンサースキルを5消費して、フェアリーピアシングを獲得。
道具妖精スキルを5消費して妖精花門を習得。
呪血鍛冶スキルを5消費してオベロンチアを習得。
逃走術スキルを9消費して緊急テレポートを獲得。
即死耐性スキルを5消費して、ピクシードッジ獲得。』
『レベルを消費して各種魔法の習得』
『レベルを消費して汎用スキルの獲得』
多い多い、目の前に出て来たシステム画面が多くて、目の前がまともに見えない。
「うへー…これ全部見ていたら何時間かかるんだ…」
それに対価が自分の強さの都合上、沢山フェルを強くしたら、その分自分が弱くなってしまう、それで自分が死んでしまえば、フェルを守れなくなる本末転倒が起こる…。
ひとまず数が少ないスキルのレベルを犠牲に覚える物を確認しよう。
フェアリーピアシングと妖精花門はフェルのお爺ちゃん、アンモカが使っていたものだ。
妖精花門は凄く有用そうだが、道具妖精は妖精の羅針盤で自分が強くなる為にレベルを上げないといけないスキルなので、自分の成長にダイレクトに影響してくる。
フェアリーピアシングは高速突撃+魔力がこもった武器での強烈な突き攻撃(素手でも可)だ…でもフェルはナナサカさんから教わった剣術戦技を持っているのでそこまで重要性が低いが…フェアリーピアシングか妖精花門、どっちか覚えさせてあげたいな…。
オベロンチアはフェルを除いた味方の妖精を大幅強化するスキルだ…一応補助魔法と重複するらしい、自分が妖精状態なら使い道があるな。
緊急テレポートは10秒という長い予備動作と1日1回という制限があるが、一瞬でユリのマイホームに戻ってこれる魔法だった…だがフェルだけしか逃げられないのが中々マイナスだ、それだと状況によってはフェルが自分を置いて逃げる事を躊躇う可能性がある。
ピクシードッジはフェルがめちゃくちゃ回避が上手くなる常時発動型スキルみたいだ、状態異常と即死攻撃にも強くなる為、かなり有りだな。
……さて、どうしようかな…。