何したか分からないけど何かしちゃった時は怖い
「フェルの精神世界?に来たのか?」
だがHPバーから離れた位置に現れたタイマーはなんだ?減り始めたんだが…?
分からない、メニュー画面からステータス画面を確認したらわかるかな?
そう考えた時にフェルの声が聞こえた。
「レンナー、ボーとしてどうしたの?」
「フェルちょっと困っ………………え?」
返事をしつつ振り向いたら、フェルの姿に思考回路が強制的に停止される。
そこにいたフェルはフェル何だけど、いやおかしい。
えっと…落ち着け、目の前に居たのは先程見ていたサキュバスフェアリーに進化したフェルだった、胸がとても大きくなり、極めて露出が多く下着姿なのでは?と言いたくなる感じだ…直視しにくい…しかも今の自分は妖精状態なのかフェルと同じ大きさで、フェルの体がよく見えてしまう。
混乱する頭の中を駆け巡るのはさっき手をばたつかせた時に、ピコンと押した何か…あれってもしかして自分がフェルの進化先としてサキュバスフェアリーを選んでしまったのか!?
ゾッと一気に背筋が凍る、やばい冗談抜きでサロディアさんに顔向け出来ない。
「れ、レンナ!?どうしたの!?顔が真っ青だよ!?」
サキュバスフェアリーになったフェルが心配そうに声をかけてくる、その声は純粋に優しさに満ちて、近づいてくるが正直にちょっと反応に困る。
「だ、大丈夫…ただ少し考える時間が欲しいからちょっと離れて欲しい」
「え、ええ…」
心配そうにしつつも、こちらから距離を取るフェル、その間に頭を全力で稼働させる。
落ち着け自分!もっと状況を把握しよう!まずは視界の上にある減り続けるタイマーのような物の把握だ、もしかしたら時間内に何かしら操作すればサキュバスフェアリー以外の進化先をえらべるかもしれない!
全力の速度でメニュー画面を呼び出して、タイマーの正体を探すが、ステータス画面では確認出来なかった…そうだ鑑定眼とか使えるか!?
「鑑定眼!」
「か、鑑定眼…?」
思わず口にしてフェルの頭上に?マークを浮かべるが、自分は気にせずにタイマーに意識を向けると、システム画面が現れた。
『お試しタイマー
進化先のお試しタイマー、0になるとお試し状態が終了する。』
お試しタイマー…つまりフェルは今お試しでサキュバスフェアリーになっているということ?どういう原理かはわからないがひとまず安心か。
「よかったー…問題なかった…すまんな急に離れてくれと言って…」
腰が抜けて座り込む、タイマーを改めて見ると3分程残っている。
「問題が無く良かったです!」
フェルはそう言うと抱きついてくる!
「フェル、フェル!?」
前も抱きつかれた事はあるが、前と違ってフェルから甘い匂いがすごくするし、いや匂いに関しては強くなっただけで元からか!
それに柔らかい感触が凄く押し付けられる…。
「あ、あのフェル!?出来れば離れて欲しいだけど!?」
「何でですか?嫌ですか…?」
「嫌じゃないけど、良くない感じがする!」
それに今のフェルは状況理解してないし…なんか流されるのは良くないと思う!
「むーわかった…でも」
「え、ひゃ!?」
首に温かく湿った感触がする、く、首元にキスされた…いや、キスしたことあるから動揺したらダメなんだけど、フェルの余裕感あふれる微笑みのせいで動揺してしまう、女の子みたいな声出しちゃった…。
「別にレンナになら何されてもいいよ…?」
「あ、あの!?もしかして魅了しようとしてませんか?というかちょっと離れてほしいかな?」
重ねてお願いするとやっと抱きつくのを止めて、距離を離してくれた。
「む、そんな距離のある言葉しなくても…」
プクーとほっぺたを膨らませるフェル、可愛らしいが、今はそれどころではない。
タイマーを見ると残りの時間は15秒、えっと、なんか聞いたほうがいいよな?
「フェ、フェルはもしも望む姿になれるとしたらどんな姿になりたい?」
「え…?うーん、レンナと一緒に居られて…うーん、レンナの望む姿なら何でも?レンナがメロメロになるならなお良し?」
フェルがそう答えるとタイマーは0になり、視界が真っ暗になる、どうやらお試しは終わったみたいだ…というかこれどういう扱いになるの?フェル視点では夢を見ていたという扱いなのか?わからないや…。
…というかサキュバスフェアリーのフェル、自分を呼び捨てにしてたな、あれも進化の影響なのかな?