神託て良い事しかない時て貴重な気もする
「うーん、随分とやな神託ね…」
「ごめんなさい…いい神託が出来なくて」
「気にしなくてもいいわ、神託があっても無くても、生きている限り悪い事も良い事も必ず突き当たるんだから、予め悪いことがしれたのなら対策になるし」
どうやらあんまり良い神託ではなかったみたいだ。
リオアは気難しそうな顔をしつつ、ミュルズは今にも泣きそうだが、リオアが気にしないでと慰めている。
「どんな神託だったんだ?」
「…いずれくる偽りの偶像が人や神、魔を魅了する、放置すれば全てのファンが奪われる、解決出来る者は魅了されぬ耳と惑わされぬ目を持つ者のみ……という神託だったわ、偽りの偶像て私の偽物?それとも別のアイドル?でもそれなら他の偶像ていいそうだし…それに解決できる者が誰を指すかもわからない…」
リオアは神託を教えてくれたが考え始める。
個人的には神を魅了するという神託、もしかしてナナサカさんが魅了されているんじゃ…という展開が見えてちょっと怖い神託だ。
いや、プレイヤーの行動も神託で定められているのはおかしいか…流石にプレイヤーの行動までも組み込むとは思えないが…ナナサカさんて状態異常に超弱いみたいだからあっさり魅了されそうだけど!
「あ!レンナさんレンナさん!偽りを見破るならリオアに真実の鏡を渡すのはどうですか?」
フェルが名案と言わんばかりに口にする、確かに天使長ワンストの堕天を見破った真実の鏡ならリオアの助けになるはず。
「成る程、確かまだアイテム一覧にあったよな…あったあった、リオア持っていきな」
「あ、ありがとう…でもいいのかな?この鏡が偽りを覆す眼になるのかな?神託的に自力の眼が必要そうにも感じるけど」
真実の鏡を取り出してリオアに渡す、だがリオアは少し不安げだ。
「まあ、持ってて損はないはずだ、味方に見せれば精神の状態異常を治せるみたいだから確実に魅了されないと思うリオアが持っていれば万が一、誰かが魅了されたらそれで助けられると思う」
「状態異常回復なら私も出来るけど…まあ、偽りの偶像の魅了が私の回復方法より強い可能性があるから使わせてもらうよ」
リオアはそう言って真実の鏡をしまった。
「でも偽りの偶像ていつ出てくるんでしょうか?」
「神託は少なくとも近い未来だよ…妖精さん」
フェルの疑問にリオアの影に隠れながらもミュルズは答えてくれた…別にそこまで警戒しなくても…いくら神殺しをした刀神の信者とはいえ過剰すぎるとちょっと悲しいぞ。
「ミュルズ様、そろそろ時間です、そろそろ仕事を進めないと悲しみを背負う者が増えてしまいわ」
「わ、わかった最後に…エイ!」
ミュルズはリオアにギューと抱きつく体格差がある為抱きつくと言うか引っ付いていると言ったほうが正しいか。
「親愛なる信者に祝福を!」
ピカッとリオアの体が光る、何か強化魔法でもかけたのかな?
「これでもしも神託に出くわしたとしてもリオアならなんとか出来るからね!」
「ありがとう、ミュルズ」
ミュルズはリオアから離れて書類の束が重ねっているデスクに戻る。
「さて、それでは送り返そう」
ずっと黙って見ていたプラティアが指をぱちんと鳴らすと視界は真っ白になり、その視界が戻れば、ミュルズの神社の中にいた。
「しかし見た目が洋風の女神様なのに神社とかあるんだな」
「お兄ちゃん、細かい所気にしたら駄目だよ」
神社を改めて見て浮かび上がった疑問を口にするとリオアに突っ込まれた。
「まあ、ともかく私は新たな戦いがありそうだから対策しないと…」
「助けてほしいことがあったら言ってくれよ?まあ、助けられる事と言ったら武器の強化位しか出来ないけど」
「ありがとうお兄ちゃん、まあ歌でファンを奪ってくるなら同じ土俵で勝ちたいからね、武器は必要……あ、マイク作れる?」
「いや、流石にそれは無理」
鍛冶で水着とか作れたとしても流石にマイクは世界観が違いすぎる。
「だよねー…うん、それなら大丈夫、仮にお兄ちゃん達が偽りの偶像に魅了されても私の歌で魅了しなおしてあげるからね」
「…それは大丈夫なんですか…?」
フェルの心配そうな声が響きながらも初詣過ぎていった。