死者の贈り物
ファンタジーフリーダムにログインして、ユリのマイホームにいたフェルと合流する。
そしてスリー街の入口に自分達は立っていた。
「それで早速迷路森に行くんですか?」
「行きたいけど…強さが不安だな…」
ステータスを確認する、レベルは19になっていた。
15レベルの時にアッシュルさんと出会って、一緒に風の渓谷を攻略したが時間に反してレベルの上昇量が凄いのは数字クエストのボスとやりあった影響なのだろう。
「えーと、確か20レベルになったらもう一つのクラスが取れるんだよな?スリー街の周辺ダンジョンの敵は強いだろうし、鍛冶で武器作ってレベルを上げるべきか…」
「すまない、そこのトパーズのペアリングをつけた、妖精を守護する鍛冶屋よ…」
そんな事を考えていると、声をかけられる…フェルの事も知ってるかの口ぶりだったので、びっくりして辺りを見渡すが、自分達に話しかけたと思われる人の姿は見当たらない…?
「どうかしましたか?レンナさん?」
「フェル、誰かが自分達の事を呼ばなかったか?」
「いえ、誰も私達の事は呼んでませんでしたよ?」
フェルが頭を傾げるので幻聴か?と思っていると再び声が聞こえた。
「一度しか伝えられないから、しっかり聞いて欲しい…今日中に二人で迷路森に行きなさい、そこにセカンドクエストがあります」
「な!?誰だ、何故それを知っている!?」
セカンドクエスト!?数字のクエストの事だよな…セカンドということは多分フェルに関係あるクエストだよな…?
いや、誰だよ!?凄い間近で言ってきてるぽいのに、手が届く範囲にはフェルしかいない!?
「これで君達に迷惑をかけた分の慰謝料は払えたかな…久しぶりの未来視が上手くいってよかった…君は大切な者を守り通しなさい…俺みたいにはなるなよ…妖精と鍛冶屋よ…」
「未来視て、待て!?」
一方的にそんな言葉を言われたと思ったら、ブツンとテレビが切れたかのような音が鳴り、もう声が聞こえなくなっていた…え?未来視で慰謝料?
未来視と迷惑かけた人で思いつく人って…あの風の渓谷で襲ってきた、守れずのリッチだったシガドしか居ないよな…?
いや、でもシガドは既に成仏してるよな?
……まさか呪われた?と思ってしまうが、慰謝料と言ってるので多分呪われてないはず?そう結論付けた。
それよりもセカンドクエストの情報の衝撃極めて大きい…まだレベルが今日中に迷路森に行けというのはかなり辛い無茶だが…。
「あの、なにがあったんですか?」
「えーと、死者からアドバイスというか情報の贈り物が飛んできて、今日中に迷路森に行けばセカンドクエスト…大きなイベントがあるらしい…」
「そうなのですか?でも危険じゃないですか?死者からの贈り物て…?」
まあ、個人的にもホラーは苦手なので、幻聴で片付けたいけど…。
シガドの声を思い出す、直感だけどあの声に悪意は感じなかった…。
「危険かもしれないけど、回復薬を買い込んで行ってみよう…どちらにせよ迷路森には行く予定だったんだ…確認したいんだ、今日の迷路森になにがあるのか…」
「分かりました、それなら私はどこまでもついていきますよ!レンナさん!」
本当はアッシュルさんとかに頼りたかったが、二人…自分とフェルだけで迷路森にいけという指示だったから、多分他の人を連れて行くと、セカンドクエストが発生しなくなる可能性が高い…。
レベル上げる余裕もない、セカンドクエストの内容がわからないから、時間に余裕を持っておきたい。
…フェルと出会った時みたいに、逃げるしか無いセカンドクエストじゃない事を願うぞ…。
そんな考えが頭の中をぐるぐる回りながらも、薬を買い込み、フェルと二人で迷路森に向かうのであった。