人形の名前を決めよう!
「おかあさん…?」
「おはよう、疲れは取れたかしら?」
寝ぼけたフェルに優しく微笑みかけるサロディア、それを認識するとフェルはふぁーとあくびをしてからこちらを見た。
「レンナさん、どうしてフェアリーガーデンに居るんですか?」
「少女の人形の住む所としてフェアリーガーデンを紹介したんだよ」
「そうなんですね…そう言えば人形の名前はまだ決まっていないんですか?」
そう言われて少女の人形の方を見るとまだ餌付けされていた。
「エネルギーフルです…」
あ、お腹いっぱいになったみたいだ。
「凄く食べたね!」
「どれが気に入ったー?」
「メープルのクッキーとかおすすめだよー!」
「結局なんて呼べばいいのー?」
妖精達は完全に少女の人形に夢中だ…というかその中の1人が名前気にしてるし。
「ネームのエントリー権があるのはレンナさんのみです」
「あーまあ、そうなるわな…」
少女の人形がそう言うと妖精達がこちらを見る、状況的に自分が拾って、フェアリーガーデンを紹介したし…。
「フェル、名前の相談に乗ってほしい」
「相談と言われましても…」
フェルは少し困った表情を浮かべる。
「フェル、今のうち慣れていた方がいいわよ?」
「慣れってどういうことですか、お母さん?」
「いずれ分かるわよ」
「???」
頭にハテナマークを出しつつも、考え始めるフェル、こちらも頑張って考え始める。
視界の端に花畑がある、安直な考えだが花の名前をつけるのはどうだろうか?いや流石に安直すぎるか…?
うーん、あの手帳やアンモカの事を考えると…誰かしらの生まれ変わりかもしれないよな?
輪廻転生…リィンカーネーション…結局花に繋がっちゃった…。
…もう安直でいいかな?
「…リネンとかどうですか?」
安直に走ろうとしたらフェルも似た感じだった。
「リーネとかもあり?」
「……」
フェルと自分の発言に呆れた表情をするサロディア、だが少女の人形は笑顔に顔を輝かせた。
「ならば2人の名前を組み合わせて…リンネと名乗ることにします!」
少女の人形…リンネは名前を得る、妖精達も楽しげに祝福の光る花弁のようなものをまいている。
「あ、そうだリンネ、名前をあげた代わりにというのも変な話だが、頼みたい事があるんたがちょっと内緒話を…」
「はい?なんですか?」
サロディア含む妖精達から距離を取りフェル、自分、リンネの3人だけで話す空間を作る。
「あの研究所で見せた妖精の姿は隠しているから妖精達に言わないで欲しい」
「イエス、コマンド了解しました!」
「まだ隠すんですね…」
「一応切り札の姿だからな、できる限り隠しておきたいのさ」
快諾してくれるリンネと呆れ顔のフェル。
「まあ、ユリやナナサカさんはともかくリーダーさんあたりにはバレてたりしてそうですけどね」
「いや、流石のリーダーさんの情報網でも流石に知ることは出来ないだろう…多分……?」
あの人は出来ない事の方が少なさそうだからな…まあ、バレてないと仮定していこう。
「ひとまずこれでフェルの試練の後処理はだいたい終わったかな…そう言えばフェル、試練を乗り越えて体感強くなった実感とかある?」
「え…無いですね、妖精によっては体が大きく成長したりするとお母さんが言ってたから私も大人になれると思ったんだけどな…」
フェルが自分の体をペタペタ触ったり、力んでみたりしているが…力んでいるのは魔力でも出しているのかな?というくらい変化が見られない。
「うん、何度も確認しても試練前と変わった気はしません」
「まあ、上限解放されたから修行したらぽんぽんと上級魔法とか覚えれるようになるかもな」
「あ、もしかしてフェルさんのトレーニングの手伝いとかも必要ですか?」
フェルと会話していたらリンネがフェルのトレーニング相手を買って出る。
「貴女魔法使えるの?」
「使えません!」
「それじゃあだめじゃん…どちらにせよ魔法は師匠…リーダーさんに教えてもらうからトレーニングの相手は大丈夫です」
「ええ、じゃあ私は何をすれば…」
リンネが寂しそうな顔をする、なんか指示したほうがいいようだな…えっと…えーと…。
「あー…暫くはフェアリーガーデンを探検しつつ、フェアリーガーデンに住んでいる妖精達と仲良く生活してほしい、もしも妖精達が困っていたら力になって欲しい」
「アイコピー!了解しました!」
「まあ、定期的に見に来るからなんか困った事があったら言ってくれ」
こうしていると、今日の冒険を終えないといけないことを知らせるアラームが鳴り、自分とフェルはユリのマイホームに帰るのだった。
個人的にはちょっと不安だけどね…まあ、なんとかなるだろう。