妖精の王羽を届けて
少女の人形の仮住まいが決まり、一段落した自分はもう一つの本題としてある物…妖精の王羽を取り出す…それを見たサロディアは一瞬にして目の色を変えた。
「な!?それは!?」
「アンモカと会ってきた」
「うそ、どこで!?」
掴みかかってくるんじゃないかというくらい接近してくるサロディア、冷静さを欠いている。
「落ち着いて聞いて欲しい、フェルの妖精としての限界を超える為の試練をクリアする為に、外界研究所だった遺跡に向かったんだが、そこにいたんだよ…試練の対象として」
「まさか…殺したんですか!?」
青ざめるサロディア、娘とお爺ちゃんとの戦いとかそりゃあ心臓に悪いわな。
「いや…殺したというより寿命で死んだような物だったよ、死ぬ前に孫のフルパワーが見たいと言って、ボロボロの体で妖精花門という黒色の花弁を操る必殺技をフェルに放っていたよ」
「……そ、そうですか…妖精花門で黒い花弁、間違いなく私のお父様です…あの、お父様は私に対してなにか伝言とか預かっていませんか?」
「いや、遺言も聞いたんだが、ただ羽をサロディアに渡してほしいとだけ…」
そう言って妖精の王羽をサロディアに渡すとサロディアは落胆しつつも妖精の王羽を受け取った。
「…てっきり羽に魔法がかかっていて、サロディアが触れたら遺言が流れるとか思っていたけど…そういうのはないのか?」
「……いえ、そういった力は感じません」
まじか、てっきりそういった事をしているから羽を届けるだけで良いと言ったのかと思った…。
「でも…フェルはお父様と会話出来たんですか?」
「ああ、出来ればお母さんに会わせたいと頑張っていたんですが…今は戦いで疲れて寝ています」
「そうですか……少しだけ羨ましいわ…あの、お父様は寿命で死ぬ前は何処で何をしていたか分かりますか?」
「…いや、わからない」
流石に人形になってましたーとは伝えられないのでわからないと伝えた、実際の所どうして妖精の王羽だけの状態で人形に取り付けられて、記憶があったか等の細かい経緯はわからないから、あながち嘘ではない。
「そうですか…心の何処かで再び帰ってくると思っていましたが…全く願ったようには行かないものですね……」
聞きたいことを全て聞き終わったのか、妖精の王羽をしまうサロディア、すると目の前にクエスト完了の画面が現れた。
えーと、報酬は…夢幻の鍵フェル………?
夢幻…妖精の羅針盤との関連品か?それにフェルの名前もついている所からしてフェルに強く関係していそうだ。
「レンナさん、どうかいたしましたか?」
「いや…その夢幻の鍵というものに関して知ってますか?」
「夢幻の鍵…ごめんなさい、知らないわ」
「あ、知らなかったらいいんだ」
システム画面を見ていたらサロディアに変に思われたので夢幻の鍵の事を聞いてみたが、知らないみたいだった。
「後で色々と調べるしかなさそうだな…フェルも寝てるし」
「あら、やっぱりフェルは寝てたのね」
「ああ、妖精元素門の反動でね」
「妖精元素門は四人で放つ事を前提にした技よ…フェル1人で使った!?どうやって!?」
「いや、2人で使ったんだ…そこら辺今説明する」
強く問い詰めてくるサロディアにどういう感じで妖精元素門を使ったか説明する、自分が妖精になって使う所だけはぼかして伝える。
「成る程武器に溜め込んだ魔力を使って、擬似的に2人分の魔力を確保して妖精元素門を……普通は出来ないわよそんな事…」
なんか呆れられた…?
「でも聞いた感じ反動は通常よりも重いようね、本来は眠りに落ちるほど疲れたりはしないわよ…見た感じはなにか大きな代償を払ったとかはなくて、ただ本当に疲れるだけみたいだから、使ったその日はもう戦わないようにして欲しいわ」
「わかった、MPを全部使う都合上、元から最後の最後の切り札として使っているからな、安心して欲しい」
胸ポケットで寝ているフェルの顔色を見るサロディア、その表情はまさに母親といって感じだった。
そう思っているとフェルが目を覚ました。