サロディアとの再会
今日もフェアリーガーデンはそよそよと心地よい風が吹いて、穏やかな気候をしている、そんな中自分は悪路で苦戦しつつも運んだ台車で運んでいた木箱に声をかける。
「到着だ、出て来て良いぞ」
「分かりましたー!」
木箱がパカーンと開き、中から現れたのは少女の人形だ、他者に見られたらヤバいのなら箱に隠して運んでしまおうというやつだな、あっさり上手く運べてよかった。
「ウッドボックスの隙間からウォッチしてましたが、すごいですね!広い!」
少女の人形は大興奮だ……今更だが彼女は結構独特な言葉遣いをしているな…。
「まあ、ここなら君が見られてもそんな騒ぎになることはないだろう…」
自分達が連れてきたと妖精達に説明すればだいたい納得してくれるだろう。
「うーん、この匂い…フェアリーガーデン?」
胸ポケットからフェルの声が聞こえる、胸ポケットを見るとぼんやりと寝起きのフェルがとろんとした眼でこちらを見ていた。
「そうだけど、まだ疲れているなら寝てて良いぞ?」
「わか…た…」
優しくそういうと、フェルは再び眠りに落ちた。
「…ボイススモールしたほうがいい?」
「ああ、一応頼む」
少女の人形が気にかけてくれた。
ひとまずフェルのお母さんに話を通しておかないとな…そう思い城へ向かっていると妖精達と遭遇した。
「メシアだー!」
「こんにちは」
「なんか面白い話ないー?」
「遊ぼう遊ぼう?」
妖精達は遊び相手が来たかのようにテンションを高めに話しかけてくる。
「遊ぶのはまた今度な、所でフェルのお母さん…サロディアさんは何処にいるかわかるか?」
「それならそっちに居るよ!」
「その子誰?」
「人じゃないー?」
「フェルは寝てるー?」
妖精達はフェルのお母さんの居場所を教えてくれた。
「わお、ここはフェアリーのサンチュクアリ?」
「まあ、妖精達の楽園だな…一応ここに住んでもらおうかと思っているよ、まあ、フェルのお母さんの許可がもらえたらだけど」
「ぜひ住んでみたいです!」
そんなノリノリの少女の人形を連れて、フェルのお母さんの所まで行くと、フェルのお母さんを見つける事が出来た…というかフェルのお母さんの居場所を教えてくれた妖精達もついてきている。
「あら?レンナさんこんにちは、今日遊びに来てくれたのですね」
「こんにちはサロディアさん」
「あら?フェルから私の名前を教えて貰ったのかしら?」
サロディアさんは自分達を見て楽しげに話しかけてくる、そんな中少女の人形に視線を向けてからこちらに問いかけた。
「所でこの子は新しい仲間かしら?」
少しだけサロディアさんの目が鋭くなったのは気のせいか?
「いや、新しい仲間というよりかは移住希望者?」
「イエス!ここに住まわせてください!」
少女の人形は元気にお願いする…だがサロディアの表情が余り良くない感じ…というか困った顔になった。
「レンナさん、彼女は何を食べて生きるのですか?」
「え…?えーと…何食べてたの?」
「マジックパワーです」
少女の人形が元気に答えてくれるが、マジックパワーてなんだ?
「レンナさん、住処と衣服の提供ならば問題ない無いのですが…食の提供が上手くできる可能性が不確定なので考えなしに良いよと答えられません…ここは人間が永住するにも不向きなので…」
「そうなのか?」
「ここは人間の主食が手に入らない所なので、どうしても定期的な鍵を使った遠出が必要なのです」
人間の主食て、米や肉、魚かな?確かに花ばかりのフェアリーガーデンにそういった物が手に入る感じがしない。
うーん、そういった衣食住を考えてなかった、ただ他のプレイヤーの眼に晒されない場所として選んだからな…。
困ったな…と思っていたら背後で妖精達と少女の人形の会話が聞こえた。
「ねえねえこれ食べてみて!ラベンダーのクッキー!」
「デリシャスです!」
「次はマナフラワーティー!」
「エネルギーが満ちていますー!」
「なら次はこれだー!フルーツタルト!」
「サイコーです!」
……あれ?もしかして食そんな問題ないのか?
というかめっちゃ餌付けされてる…。
「えーと、ひとまず仮で住まわせる事は可能ですか?」
「…まあ、食も一応問題なさそうで、皆ともの仲も問題なさそうですしいいですよ」
餌付けされて美味しそうに食べている少女の人形を見てサロディアさんは問題ないと判断したのか少女の人形の仮住まいを認めてくれた。