迷路森に行く前に
「あ、そう言えば友奈、スリー街にたどり着いたよー」
「…早くない?お兄ちゃん?スリー街に来るまでに後2週間はかかると思ってたんだけど」
お昼ご飯を食べた後、皿洗いしながら妹の友奈と話していた。
「風の渓谷の敵に大苦戦してたけど、道中で会ったアッシュルさんという他PLのおかげで、道中かなり楽だったからね、アッシュルさんの数字クエストのボス戦に巻き込まれた際は生きた心地しなかったが」
「え、数字クエストのボスと戦ったの!?
…その反応からして、フェルちゃんは無事だったみたいだけど、良く生き残れたわね…。
風の渓谷の道中が楽勝なPLさんの数字クエストのボスなんて、お兄ちゃんなら一撃でやられちゃうと思うけど…」
驚く友奈がこちらを見る、個人的には自分の反応でフェルの無事を確信するのに驚きだよ…。
「まあ、ボスが魔法系だったのにこちらを狙う際は、殆ど魔法を使ってこなかったおかげだよ、まあフェルを欲しがって、フェルを掴もうと手を伸ばし続けてきて怖かったけど、なんとか守り通したさ」
「へーそれならもしも私が襲われたら守ってよね?お兄ちゃん」
「ファンタジーフリーダムでならユリのほうが強いし、仮に現実で友奈が犯罪者に襲われる状況なら、速攻で警察に連絡して、友奈担いで逃げるけどな」
現実の自分は、ファンタジーフリーダムのレンナと違って、男としての体格もあるし、平均男性以上に力もあるが、人としての頑丈さには限度があるし、ナイフで何度も斬られたり、銃で撃たれたら命はないし、薬で一瞬でダメージを回復出来る訳がないしな。
犯罪者とか警察に対処してもらうのが一番だ。
「あ、そうだお兄ちゃん、スリー街から体操服の防御力は力不足になってくるから、やられないように気を付けてね」
「わかった、気をつける…というか防具を新調する為にスリー街に来たからな、早く迷路森で花の糸をかき集めて体操服から卒業するさ」
「次の防具はどうするの?ゴスロリ?フルアーマー?」
「両極端だな…普通のジャケットを作る予定だよ、これ以上のヘンテコ装備は勘弁だよ…と皿洗いおしまい…」
皿洗いを終えて、グーと背伸びをする、最近ファンタジーフリーダムばかりやって、体が少しなまってるかもしれない、ログインする前に少し体を動かすべきだな…。
「本当は手伝いたいけど、今日は友だちと遊ぶ予定があるから、行ってくるね!」
「行ってらっしゃいー」
キッチンから出る友奈、その後トタトタと足音を出しながら外に出かけていった、今日は暑いのに元気なものだ。
妹を見送った自分は1時間ほど筋トレしたり、鍛冶場にあったシャベルで素振りをしたりしてから、ファンタジーフリーダムにログインした。
………シャベル素振りしている時に父親に見られた際は、説明に困ったが筋トレといって誤魔化した…は、恥ずかしい…。