死者の祈りと未来視の守護者だった狂気
ボロボロのペンダントに向かって、何度か言葉を発するアッシュルさん、最後にさようならと言葉を口にして目を閉じて祈る…目を開けたと思ったらこちらに近付いた。
「まずはー…フェルさんを危険に晒してしまって、ごめんなさい」
アッシュルさんが土下座する。
「ちょっとそこまでしなくていいよ!?結果的にフェルも無事だったし…数字クエストをクリア出来たんでしょ?」
「顔を上げてください!」
フェルと一緒に慌てて、顔を上げさせ、立たせる。
「ええ、お陰様でイオとシガドを会わせることが出来たわ」
「確認なんだが、さっきリッチがシガドでその妻がイオという名前なのか?」
巻き込まれた身だ、少なからず知っておいたほうがいいだろう。
「ええ、シガドは未来見る特殊な力…未来視を持った魔術師だったの、最愛の妻であるイオを守護しながら愛して…幸せに暮らしていたけど…ある日、イオが犯罪者の手によって死ぬ未来を見て、全力でその未来を変える為に頑張っていた…だけど…。
僅かな油断の結果、犯罪者によってイオは口にもしたくないほど無惨に殺されて…その結果シガドは狂ったわ…未来視の力も失い、イオの姿もわからなくなる位になって、最後にはリッチになってしまった…。
シガドがフェルを狙ってたのは、守るべき存在…イオと誤認してたか…ただ本能的な行動なのかは、もうわからないわ…」
ボロボロのペンダントをこちらに見せてくる。
「今はもう居ないけど、この中にいた幽霊のイオにお願いされてずっとシガドを探してたの…イオがシガドに殺された人から情報収集した結果、呪われたりして大変だったわ…まあ、今となっては楽しい思い出ね…」
呪われるとかあるのか、怖い…。
「そういえば、シガドが他の女の子に手を出してたってどういう事?」
「え?そりゃあフェルに手を出そうとしてたし、犠牲者は女性が多かったからね…今頃イオに怒られてるだろうねー」
怒られるのかな?というかこの世界の死後の世界てどうなってるのやら…?
「何はともあれ、これで私のやってた数字のクエスト、死者の祈りと未来視の守護者だった狂気はおしまい…もしも人手が欲しいなら連絡して欲しいわ、今回迷惑かけた分、必ずレンナさんとフェルちゃんの力になるわー!」
「道中でかなり助けて貰ったけど…もしもフェルがピンチになった際は頼らせて貰うよ」
アッシュルが手を差し出してきたので、握手する。
こうして風の渓谷をクリアしたのであった…。
風の渓谷をクリア後、アッシュルさんと一緒にスリー街にたどり着く。
『魔法陣の登録が完了しました、今後は以前行った事のある街と行き来可能になりました。』
魔法陣に触れて、他の街やユリのマイホームに行けるようにする。
「うん………あーそろそろ私ログアウトしないと行けなくなってしまったわー…それではまたね、ふたりともー!」
「そうなのか?今日はありがとうな、また一緒に冒険できる事を願うよ」
「さようならです、アッシュルさん」
こうして、アッシュルさんとの冒険は終わった。
その後、自分もご飯を食べる為にログアウトした。