羅針盤が示した物
道中何度か戦闘をこなして光の指す方向を移動しているとたどり着いた所は草原の中に隠れた遺跡だった…大人が屈まないと通れなさそうな位にドアは小さく、更に苔が生えまくっていてる。
人気はなく、遠くでみたらただの岩や盛り上がった地面にしか見えないくらいに偽装?カモフラージュと言えばいいのか、ともかく隠れていた。
「これどうやって中に入るんだ?」
羅針盤の光的に遺跡に入れといった感じなのだが、入口が閉まってて開かない、てっきり妖精の力が有れば自動で開くとかなく、力任せで押したり引いたり、縦横にスライドを試みても力が足りないのか開かない、鍵でもかかっているのだろうか?
「はあはあ…ナナサカさんに頼めばドアを斬り開けたり出来ないかな?」
「神に頼っていたら試練になりませんよ」
冗談を言ったらフェルに呆れられた。
「自分はいいのか?」
「………レンナさんは特別な相棒だからいいんです!もう少し調べてみましょう」
フェルに促されてもう少し遺跡を調べる、じっくりと調べていると、鍵穴を見つける。
鍵穴を見つけた所で鍵なんて持ってる訳が無いから意味はない。ダメ元でアースキーや火光を差し込もうとするが、鍵穴が小さすぎて入らない。
うーん、近くに都合よく鍵が落ちてる訳はないし…。
「フェル、何か見つけた?」
「……レンナさん、さっき遺跡の周辺をぐるっと回った時に思ったんですが…さっき見たあの柱に近づいてくれませんか?」
フェルが指差した柱の近くに移動する、柱は苔に覆われていてかなり時間が経っている事が伺える。
「レンナさん、苔を取ってくれませんか?柱を傷つけないように」
「うん?わかった」
アースキーを使い、柱に纏わりついた苔を取り払っていく。
苔を取っていくとわかってくるが、黄色い柱で何と言えばいいのだろうか、魔法陣みたいな紋様が刻まれているな。
「………間違いありません、これは雷系の魔法陣です、ユキさんやリーダーさんの教わったから間違いありません!」
「そうなのか?というか魔法使いは皆魔法陣覚えるの?」
なんか難しいんだな魔法使い…そんな事を思っていたらフェルが胸ポケットから出て、ネージュフラワーを手にして雷の魔法陣に触れると同時に魔法陣が発光した。
ゴゴゴゴ!!
ドアがあった方向から音がなる、フェルと一緒にドアの前まで行くと、遺跡のドアは開いていた。
「魔法使いが居ないと開けられないとか、かなりセキュリティがしっかりしているな…他の柱も調べたほうがいいか?」
「念の為に調べて置きましょう」
他の柱を調べて、苔を取っ払って行くと、もう一つ魔法陣が刻まれた柱があり、フェルが魔力を通してみると、暫く間を置いてからドアが閉まった。
「なるほど、開け閉め出来るのか…」
「レンナさん、後は近くに文字があって読んでみたんですが、入口は開けたら必ず閉めるように…とありました」
「え?確かに今は遺跡とは言っても昔は普通の建物だからそういった注意文も残っているのか?でも遺跡の中から開けれる保証はないから開けっ放しにして中に入ろう」
「そうですね、閉じ込められるのは嫌ですね…」
やろうと思えばドアを閉じる機能がある柱に魔力を流して、ドアが閉まる前にドアを潜る事は可能だろうが中から開けられない場合、出れなくなるので開けっ放しが安定だ。
フェルにお願いして、ドアを再び開けて、中に入ると……そこには小さな空間と…閉じられたドアがあった。
「またドアか…」
再びドアや小さな空間を調べるが…開ける手段が見つからない…羅針盤の光は閉じられたドアの先を示している。
「うーん、突破口が見つかりませんね…」
「……なるほどわかった!けど…間違いだったら怖いな…」
ピコンと頭に閃きが走る、さっきフェルが言っていた入口は開けたら必ず閉めろ、もしかしてさっき柱の機能で開けたドアを閉めればこっちの方のドアが開くんじゃないか?
だが万が一違った場合は閉じ込められて詰む…。
ひとまず考えをフェルに話す。
「確かにありえるかもしれません、やってみましょう!」
「でも失敗したら閉じ込められるぞ?」
「レンナさん言ってましたよね、遺跡とは言え昔は普通の建物て、それなら閉じ込められても出れる手段があるはずです」
確かにありそうだが…まあ、最悪閉じ込められたら…少なくとも中は安全そうだし…自分が自分でHPを全部削ってユリのマイホームにリスタートして、遺跡に戻って外から開ければいいか。
一応助けを呼ぶ事も頭の中にあるが、さっきの頼るのはどうなんですかと言われたからな、その案は却下だ。
まあ、前提として自分が柱に干渉できるかどうかだな…ちょっと試してみるか。