お買い物と観光
キメラの血を稼ぐにあたって手に入れた素材を売払い、新たな薬を大量に購入する、買ったのは飲めばMPが600も回復する上級MP回復薬だ。
欠点は相変わらず飲まなきゃいけない量が多く、戦闘中に飲むには明確な隙が必要な点だ、少量でMPが600回復する薬もあったが常用するには財布に厳しいから断念した。
今では同じ量でMP200回復だったからかなり飲む量が減るな。
「しかし素材が高く売れたな…」
特にキメラの牙等の素材だ、血を集める際に結構な数が集まったが、それが纏まったお金になった。
強さの振れ幅が酷かったが、その分の報酬がいい感じなのかな?
「キメラの素材は錬金術で何かと使い道が多いのよ、結果的に需要に供給不足で高くなっているのよ」
こちらの疑問に答えてくれるペタンの母親、そういう事か、錬金術は詳しくないから知らなかった。
買い物が終わり一段落するとペタンが話しかけてくる。
「うーん、何度見ても成長していないな…普通僕みたいに大きくならない?」
「ペタン!女の子に失礼でしょ!そういう体質かもしれないでしょ!」
まだ気にしていたペタンを怒るペタンの母親。
「まあ、そういう体質とだけ言っておくよ、所でなにか依頼とかあるか?」
「え?頼み事?無いよ」
なんとなく頼み事…クエストがないか聞いてみるが平和らしい。
「今の所どこも平和で依頼は無いと思うよ、色んな旅人が色んな人の依頼をこなしていったからね」
色んな旅人…自分みたいなプレイヤーの事を指しているのか?
じゃあ依頼は早い者勝ちだったのか?
他の依頼も気にはなるが…まあ、今までも季節のイベントで発生するクエストを全部やってきたわけじゃないのですぐに気にならなくなった。
「そうか…まあ、久しぶりここに来たしちょっとこの村を見て回ってみるよ」
「あ、俺もい」
「あんたは仕事があるでしょ!ほら会話も終わったのなら行くよ!」
「ええ、今日はもういいだろー!?」
村を観て回る事に決め、ペタンはそれについて行こうとしたら、母親に止められてしまった。
なんか子どもの頃の自分を思い出すな…一度だけ色んな事情が重なり、父親の手伝いが嫌で逃げ出そうとしたけど、子どもの力じゃあっさり捕まるよな…。
内心ペタンに同情しつつも自分達は道具屋の外に出た。
「不思議な所ですね…わかってはいますけど、ここに長居していたら、ユリのマイホームに帰った時に数年経ったユリが出てきそうで、ちょっと怖いです」
「そういうことはないから安心して欲しいフェル」
流石に急に時間が大幅に流れるのは、この限定フィールドだけだ、ご飯時に友奈と話をして確認したし間違いない。
というか友奈がいうには現代技術ではプレイヤーの時間を操作するは不可能らしい、時止め魔法もあるみたいだけど、実際は体感時間を極限まで遅くなって止まっている感覚になるらしい?良く分からんが…まあ、上手く理解できなかったが簡単にまとめると、プレイヤーは基本的に時には干渉できないらしい。
「この後村を観光するんですか?」
「ああ、観光してから帰って…特に依頼とかトラブルに巻き込まれなければ夢幻の試練でもやるか」
フェルと言葉を交わしつつ村を観光する。
特にクエストも見つからず、石造りが多い村を観て回る。
焼きそばを売っている屋台が出ていたので、購入してフェルとシェアして食べる。
「寒いなか食べる焼きそばは美味しいですね」
「そうだな…」
特にクエストが発生する事もトラブルもなく観光を終えた後、村から出る。
うーん、新しいクエストを受けるなら別の村とか探したほうがいいのかな?まあ、別に絶対にクエストしたいわけじゃないから深く考えることではないか。
帰って夢幻の試練でもやるかと歩き始めて、ユリのマイホームに戻るのだった。