限定フィールドの時は…
年の終わりが近づく次の日、朝は勉強や両親の手伝いをしてお昼ご飯を食べた後に、ファンタジーフリーダムの世界にログインする。
そこには少し疲れた様子のフェルがいた、両手にはネージュフラワーを持っている。
「どうしたの?」
「えっと…ユリからレンナさんはお昼にログインすると聞いて、それを待つついでに、魔法の練習していました…」
そう言えば友奈が朝から部屋から出てきてなかったが、ファンタジーフリーダムの世界にログインしていたのか。
「やっぱりリーダーさんの教えがあっても、上位魔法は難しいですね…」
「魔法に関してあんまり詳しくないけど、フェルて魔法使いとしての実力はどのくらいなんだ?」
そう聞くとフェルは少し悩んでから言葉を口にする。
「………リーダーさんが言うには攻撃面は杖と持って中級、補助の面はあと少しで上級という感じらしいです…因みにリーダーさんみたいになれますかと聞いたら、流石に無理と言われました」
「まあ、リーダーさん並となると運命というか運や才能が絡みそうだからな…」
それに情報網の差もあるだろうからな…そんな事を思っているとフェルが杖を振って魔法を唱える。
「リジェネレート、よしこれで疲労は大丈夫です!昨日出来なかった事をやりに行きましょう!その後時間があったら夢幻の試練を受けましょう!」
「そうだな、まずは水銀の歯車を使ってみるか、夢幻の試練らまあ、行けたらで…」
フェルが胸ポケットの中に入ってくる。
夢幻の試練は難易度が高くて結構二の足を踏むと言うか躊躇ってしまうんだよな…夢の中とはいえフェルがやられてしまうこともあるし…。
そんな中、鍵を使い限定フィールドに降り立つ…すると少し肌寒い事に気付いた。
「おかしいな昨日は寒くはなかったんだが…」
「もしかしてまた時間が経っているんでしょうか?」
「どうだろう?また年単位で時間が立ってないと良いんだが…」
石壁がある村に向かって歩き出す、すると空から雪が振り始める。
少し肌寒いが、防寒効果のある極地装備を着るほどではない。
「雪ですね…」
「ああ、雪山みたいにガッツリ降らないといいが…」
寒すぎると体が動かしにくくなるからな…。
そんな事を思いつつ村にたどり着くと、防寒着を着た門番さんが出迎えてくれた。
「うん?あんたは…ああ、そうだ、半年前に来た人だ、子どもの旅人なんて珍しいから思い出せた」
門番さんがとんでもない事を言う、昨日とは違い半年ほど時間が経過している、何が要因で時間が流れているんだ?歯車か?
「あんたは大丈夫だな今門をあける」
ゴゴゴと門が開く、覚えてもらっているからあっさりと通して貰えた。
「あ、あとペタンが旅人が来たら教えて欲しいと言ってたから道具屋にいくといいぞ」
「あ、教えてくれてありがとうございます、後ほど行ってみます」
門番さんに礼を言う。
ペタンからしたら色々と助けて貰ったけど、母親の説教されている間に旅立った感じだろうから別れをいえずじまいだったな。
まあ、ペタンに会うのは後ででもいいだろう。
ひとまず昨日ウェルダンさんが歯車を捧げた噴水がある場所で行く、その噴水には昨日ウェルダンが捧げた歯車以外にももう1つ歯車別の歯車が浮かんでいた、他のプレイヤーが捧げたのかな?もしくはウェルダンさん?
「レンナさん、早速歯車を使ってみましょう」
「ああ…」
気になるがフェルに促されて、水銀の歯車をアイテム一覧から取り出すと、使用しますか?と確認するシステム画面が現れた。
はい、と押すと歯車が自分の手を離れ、水銀の歯車は噴水の上に飛んでいった。
カチリと何かがハマる音と共に噴水の歯車達が光り輝き始めた!
「2回目だけど眩し!?」
光が収まり、咄嗟に当たりを見渡す…。
ぱっと見変化はない?と思っていたがフェルは異常を見つけたみたいだ。
「レンナさん!あそこさっきまで食べ物屋さんがあったはずなのになくなっています!変わりに隣の民家が何か売っているお店屋さんになっています!」
「……よう見ているな、フェル…だがなるほど……なんとなくわかってきた」
フェルの気付きでこちらも気付く…これ歯車が村の中心地で使われる度に時が飛ぶんだな…多分…確信はないけど…この効果は限定フィールドだけなんだろうな。
前回はウェルダンさんに意識が向いていたから店とか民家とか殆ど意識して見てなかったよ…。
だけど仮にこの考えが当たっているとしたら、今のでどれだけの時が流れたんだ?
ペタン生きているかな…いや流石に数十年も流れないか…そう思いつつ、ひとまずペタンがいるはずの道具屋に向かおう…そう思った時、目の前にシステム画面が現れた。
それは歯車を使ったことに対する報酬だった。