変人病の薬…?
「キメラの血10個集まったぞー!」
「や、やりましたねレンナさん!」
血を1つゲットしてから約1時間ほどでキメラの血を10個集めることが出来た…。
「まじで苦行だったな」
「そうですね…頭ドラゴン、胴体熊、手足が虎、尻尾が蜂のようなキメラの時はやばかったですね…ゲートルーラーが当たらなければ危険でしたね…」
「ああ、あれはやばかったな、本当に強さのばらつきが酷いな…中には体ナメクジ、手足タコ、頭イカのような何かで何も補助もない地門の一撃で倒れるキメラもいたし…」
お互いにキメラとの戦いの感想を言い合う。
しかしあんなにバラバラなのにキメラ同士は出会うと敵対せずに協力し合うてどうゆうことなんだ…キメラという生物には姿が違う云々の差別とかないのかな?
「ひとまず帰りませんか?結構MP回復薬飲んだのでお腹いっぱいです…」
「そうだな…村に帰るか」
ちらっとフェルのお腹を見る、防具でほぼわからないとはいえじっくり見ればわかるフェルのお腹がMP回復薬でみたされまくって若干膨れているのを…まあ、それを言ったら自分もだが…キメラ退治で何本MP回復薬を飲んだのやら…ちょっと暫く飲みたくない…味は悪くないけど、飲みすぎてちょっと怖くなってくる。
この水っ腹て時間経過で治るのかな?そんな事を考えながら村に帰ると門番さんが出迎えてくれた。
「おかえりなさい、旅人さん、生きていたようで何よりです、今門を開けますね!」
1回審査を通り抜けた事があるからか、あっさりと門が開く、自分達は門番さんに礼を言って、村の中に入っていった。
向かう先は道具屋さん、軽い足取りで向かい、道具屋のドアを開けようとしたら…耳に聞こえてきたのは怒声だった。
「お父さん!いい加減にしてよ!そんな薬じゃお母さんは治らないよ!」
「でもよ!今回こそ本当に何とかなるかもしれねぇだろ!」
薬師モドキの少年の声と大人の男性の声だ。
「今日は待ってよ!物好きな少女がキメラの血を取ってきてくれると言ってくれたんだよ!」
「あのな!仮に血を手に入れてもお前の腕じゃ調合出来ないだろ!なんだ?その少女が調合してくれるのか!?夢見すぎだ!」
怯みたくなる怒声に硬直したくなるが、聞こえる喧嘩に仲裁に入れるのは関係者である自分だけだろう、意を決して中に入る。
「すみませーん!キメラの血を納品しに来ました!」
「な!?」
「あ、あの時の女の子!」
驚く少年の父親と思われる大人と名前を言ってないせいか、あやふやな声をあげる薬師モドキの少年。
「因みにだけど、こっちは鍛冶屋だから調合は期待しないでくれよ?」
さっきまでの話を聞いていたぞ?大声で良く聞こえているぞ?と伝える為にそういう風に言う。
「調合はこっちがやる!だからキメラの血を渡して欲しい!」
薬師モドキの声と共にキメラの血を納品しますか?というシステム画面が現れる。
はい、と押そうとしたら、少年の父親に止められた。
「待ってくれ!キメラの血を払える金はない!」
「いや、金はいらないよ…というか期待してないから」
個人的に欲しいのは歯車のレシピだし…まあ、それを言った所で彼らは頭に?を浮かべるだけだからな…ゲームだからで済ましているけど、クエストの報酬て何処から生まれているんだろうな?
ひとまずはいを選択して、少年にキメラの血を全て渡す。
「こ、こんなにあるの!?こ、これだけあればいける!必ずなんとかしてみせる!」
少年は叫ぶと隣の部屋に入っていった。
「ああ、す、すみません、あいつお礼も言わずに」
そう言って頭を下げる少年の父親…ふと父親の手に持っていた薬を鑑定眼で見てみる…確か怒鳴り声の内容からして母親の薬だったよな?
『偽装された鎮痛薬
魔術で偽装されたただの痛み止め、中級レベルの鑑定系のスキルがなければ変人病治療薬に見えてしまう。』
「……うわ…」
思わず声が出る、明らかに父親は偽の薬を掴まされている…それに中級レベルの鑑定系のスキルということは、結合進化した採掘眼がなければ自分も変人病治療薬にみえたのかな?
「どうかしましたか?」
「い、いや…なんでもない…」
下手に指摘すると激怒してしまう可能性が高い…少なくとも毒じゃなくて、ただの鎮痛剤なら何でも問題ない…はずだ。
もしかしたらあの少年も自分と同レベルの鑑定スキルを持っているから父親と言い争っていた?
うーん、今母親に会わせて欲しいて言うのはありなのかな?怒りそうな気もするが…いや、言うだけ言ってみるか…。