キメラの血を求めて
「はあ、はあ…フェル、ナイスだ」
MP回復薬を飲んでMPを回復してから言葉を発する。
「アイスランスで急所まで貫いてから、雷で内部を攻撃…ダブルキャストは便利です!」
胸を張るフェル、自分のダブルアーツと違ってフェルは覚えてる魔法が多いから応用が出来そうだな…。
そう思いつつ、ドロップ品が無いか確認するが…手に入れたのはキメラの牙だった…。
「血を手に入れられなかった…また戦う必要があるな…」
火光のMPタンクにMPを補給してから、MP回復薬を追加で2つ飲んで、最大までMPを回復し一息つく、お腹がタプタプする感覚がある。
「でもキメラと戦う度に妖精門使っていたらお腹がいくらあっても足りないな…」
自分の最大MPはユリが言うにはかなり多い、それ故にMPを全て使ったら、何本もMP回復薬を飲まないといけない…。
1、2本ならともかく、3本目になるとなんか体が飲みたくないのか薬を持つ手が動きにくくなる…回復不可能ではないが、少し時間がかかってしまった回復薬を乱用しないように制限されているのだろうか?
「そうですね、キメラの弱点がわかればいいんですが…」
「あっても多分自分達の力では弱点つけなさそう…」
自分では火、地面、風、斬撃…フェルは雷、氷、一通り攻撃したが有効そうなのが見つからなかった。
もしくはキメラらしく、弱点を他の動物の長所で上手く補って、明確な弱点がないのかな?
もしくは光とか闇とかが弱点なのかな?
「まあ、少なくとも倒せるのはわかったんですから、地道に倒して行きましょう」
「そうだな、何度も戦えば弱点が見えてくるかもしれないしな」
フェルと会話して改めて周囲の警戒を強くする、妖精地門で派手な音を立てたから敵などが来る可能性はゼロではない。
そう思っていたら、草むらから歯車が飛び出して来た!
「はあ!」
警戒していたお陰で火光の火の刃を叩き込む事が出来た!クリティカルな一撃だったのか、歯車は一撃で消えていった。
「ふう、なかなかの作業になりそうだな…キメラと戦っている間に乱入されない事を祈るしかないな」
一息ついてから、再び探索を始めると比較的時間がかからずにキメラと出会う…。
だが次にであったキメラは先程のキメラとは違い、小柄で8つのクモのような足、カマキリのような鎌の手、キリンのような頭と首、そしてシマウマのような胴体を持っていた、そして尻尾には蛇だった。
「アレもキメラなんですか…?キモいです」
「そうだなキモいな、キメラて確か複数の種族特徴を後天的に付与された生物の総称だからな…」
フェルに説明してから火光を構える…うう、足がキモいという気持ちに蓋をしつつ、スキルを口にする。
「エンチャントブースト!火の刃、風の刃!」
エンチャントブーストで強化された火の斬撃波で先制攻撃を試みる。
火の斬撃波はキメラに深々と大ダメージを与える!
「……もしかしてキメラて個体によって弱点変わるのか?」
さっきのキメラと違ってもう瀕死だ…さっきのキメラは妖精地門使ってやっと瀕死になったのに…。
「わかりませんが、一気に行きましょう!ライトニング!」
「地門!」
フェルの雷魔法に追撃するように地門を放ち、攻撃するとあっさりとキメラを撃破することができた。
「さっきの苦労はなんだったんだ…強さの落差が激しい感じか…?」
「そうみたいですね…そう言えばキメラの血は手に入りましたか?」
「え……あ、手に入っている、1つだけ!でも1つだけか」
1つだけ…あの少年の様子からして1つだけだと心もとないな…。
「もう少し探してみます?」
「そうだな…探してみよう…せめて10個は欲しいな…でも10体以上居るかな…?」
こうしてキメラの強さの振れ幅を感じながらも、探索を進めるのだった。