石壁の村と謎の歯車
「おや、旅人さんこんにちは!」
石壁に近づいたら入口を見つけ、更に石壁の上に門番がいるのも見つけることが出来た、友好的に話しかけてきた所から頼めば普通に入れそうだ。
「こんにちは、あのーひとまず入れて欲しいんですがー」
「はい、入る前に犯罪歴の確認だけさせてもらいます、サーチカルマ!」
門番から波動が放たれる、サーチカルマ…犯罪歴を調べる魔法とかあるんだな。
「うん、問題ないね、今開けるのでお待ち下さい!」
門番がそう言うとゴゴゴと石のドアが開き中に入る、そこには石畳で作られた道や石で作られた建物があった、昨日見た村とは違いかなりしっかりしている。
「あのーすみません門番さん、少し聞きたいことがあるんですが、お話良いですか?」
「何でしょうかー!」
「えーと……近くにあった木製の建物や木製の柵があった村に関して何か知りませんか?」
なんとかわかりやすく説明しようとするが村の情報をうまく伝えられない、今の伝え方だと他にも候補があったらごっちゃになってしまう。
「え?木製の建物と木製の柵がある村…?うーん?そんな村近くには無いぞ?でも村の廃墟なら旅人さんが来た方角を歩いて…えーと西だったけ、東だったけ、ともかく1回歩く方角を変えて歩けばたどり着けるよ…確か…2年前に廃棄された村だね」
「2年前!?」
待て待て待て!頭の中の情報と矛盾している、昨日見た村は話しかけられた老人以外にも、村人が居たのは記憶している、少なくとも最低限村としての機能は昨日見た時にはあった!
「うん?知らなかったのか?あの村は日照りで土地が駄目になったから、村人皆この石の村に来たんだ」
「そ、そうなのか?」
門番の言葉に動揺しながら返答する、少なくとも1日受けなかっただけで村人全員死ぬというとんでもない状況は起きてないみたいだ。
ひとまず一安心だ…落ち着いて考えよう、1日でそんなに時間経過するのか?このフィールド?
もしくはログアウトしている間に自分以外のプレイヤーが起こした行動で時間がかなり流れたのか?
フェルと会話したいがフェルも胸ポケットの中でも意味がわからないと言わんばかりに頭を抱えている…まあ、今は門番と話しているから話しかけられないが。
「だいじょうぶかい?顔色悪いけど…」
「すまない、知っている情報と大きく差異があってビックリしただけなんだ…」
「そうか…体調が悪いならそこに宿屋があるから休むといい、お金は居るが安いからな、それじゃあいい旅を」
門番が送り出してくれた…ひとまずフェルと話す為に人が少ない所に移動する。
「どういう事なんですか?昨日見たのは2年前の幻影だったのでしょうか?」
「うーん、わからない、もうちょっとあの廃墟を調べたほうがよかったかな…?」
柵くらいしかしっかりと調べてないんだよな。
「でも今更村まで戻るのはめんどくさいですね」
「そうだな…まずはここを探索してみるか」
移動するのにも時間がかかる、それならこの石壁の村を探索したほうがいいな。
そう決めて石壁の村を探索し始めるのだった。
「うーん、パッと見平和そうだな」
ある程度見て回るが村人たちも流石に現代の服装と比べるのはだめだけど、昨日見た村人よりもいい格好をしている。
「レンナさん、あそこの噴水に石でできた歯車があります」
フェルの言葉で気付く、そこには噴水の吹き出す水によって動く大きな石の歯車があった…何だが歯車の湖と似た歯車で気になってしまうな…。
クエストでも豊穣の歯車が出てきていました…やっぱり歯車が何か重要な要素になっているのかな?
「うーん、なんかクエストを見つけたいな…」
そう思いながら石壁の村を歩き回るのだった。