戦闘後、下山
「あっという間に去ったな…」
いやもしかしたら姿を眩ませただけでまだ近くに潜伏しているかもしれない。
「フェル、下山しよう」
「そ、そうですね…少し休みたいです…」
今ここで妖精元素門の強化状態が解けたらもしかしたら襲われる可能性が0とは言い難い、早めに下山を試みる。
幸い妖精元素門の効果で大幅強化された状態だと下山するのに対した時間はかからなかった。
そうして下山後、人化したら、妖精元素門の効果が切れた…時間切れか人化したからかどっちだ?
そう思っていると、フェルがくったりと自分の肩に乗ってくる。
「うう、疲れがドンと来ました…」
「大丈夫か?」
こっちは多少の疲れているが、それは戦いの疲れであって、妖精元素門の効果切れでの疲れはない…プレイヤーだからか?
「暫く休ませてください…疲れました…」
「うーん、何処か休める所探したほうがいいな」
辺りを見渡してると街…ではなく村みたいな所を見つける、そこならば休めそうだ、フェルを胸ポケットに入れて自分達はそこに移動する。
たどり着いた村は貧素な木製の柵があるが、これで守れるのだろうか?と思えるくらいに防衛設備が貧弱だ。
村人の服装も言い難いが、結構ボロボロな感じがする。
建物も木製の家しかなくて何だが古びた感じがする。
「おお、旅人ですか…ようこそわが村へ…」
高齢のおじいちゃんが話しかけてくる。
「ど、どうもちょっとゆっくり休める所はありますか?例えば…食堂とか」
「申し訳ないの…この村に食堂はないの…」
「そ、そうですか…」
うーん、一旦ユリのマイホームに帰れる魔法陣の所まで行こうかな?そう思っているとおじいちゃんの口は動き続ける。
「実は最近日照りが酷くての、歯車の湖にいる精霊が悪さをしていてのー誰かなんとかしてくれないかのー」
そんなセリフと共に目の前にシステム画面が現れる。
『クエスト
歯車の水日照り
成功条件
日照りを解決
失敗条件
クエスト放棄
成功報酬
豊穣の歯車
失敗ペナルティ
なし』
クエストが発生した…しかし報酬が詳細も分からない豊穣の歯車だけだ。
現状MPがすっからかんだ、MP回復薬を飲めば良いだけの話だが…自分はともかく、フェルはMPが自分より多いと記憶している、それ故に今持っているMP回復薬だと全快するまでフェルがたくさん飲まないないけないからMP急速回復はフェルの負担が多いのだ、それに今のフェルは疲れ切っている、これ以上戦うのは酷な事だ。
「ごめんなさい、レンナさん…今はちょっと戦いは厳しいです…」
「ああ、わかっている、悪さする精霊が居るということは必ず戦いになるだろうから…ごめんなさいだな」
「そうか残念じゃなの…」
クエストを受けないという選択肢を選ぶとおじいちゃんはガッカリする。
ガッカリされた所でこっちは消耗した状態、そんな状態で戦ってもフェルをイタズラに危険をさらすだけだ。
普通のクエストだし他の人も受けられるだろう、自分が受けなくてもなんとかなるはずだ。
「フェル、今日は帰ろう」
「はい…もう……眠たいです」
妖精元素門…強力だけど、使用後フェルが疲労…過労?状態といえばいいのか疲れ果ててしまうのが最大の欠点だな…まあ、普段の実力よりワンランク上の力が使えてMP消費ゼロで魔法使い放題て負担ない方がおかしいのかな?
そう思いながらユリのマイホームに帰るための魔法陣に向かう。
そう言えば今日は特に良いドロップ品とか無かったな…まあ、いいや妖精元素門の効果とかしれたし…また後日来れるなら来て先ほどのクエストをクリアしよう。
そう思いながら、今日はユリのマイホームに帰り、ログアウトするのだった。
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「ノーレ!このエリアのクエスト発生はどう?」
「クエストが数件発生しましたが…全て不受理されているみたいですね」
「えー!?なんで普通クエストが発生したら取り敢えず受けるんじゃないの?」
「理由は様々ありますが相棒のNPCが疲れ果てている、他でクエスト受けすぎて、受注数が最大で受けられない、1度調子にのってノーと答えた受注出来なくなったがあげれます」
「最後はバグじゃないの!?あー…今日も残業ね…しかしクエストが尽く不受理されるとは…ちょっと色々と対応変えないとね…複数人のクエストのバランスも再調整しないと…」
赤髪のお姉さんはカタカタと端末を操作して世界に干渉するのだった。
そんな中ノーレは安堵する、相棒のNPCが疲れているから不受理されたクエストのエネミーデータを確認する、完全に強さの調整がミスしている強すぎる、もしも受理されていたら大惨事だっただろう、他のクエストも確認するがそっちも一部の廃人ゲーマーなら勝てるレベルと調整ミスをしている。
ノーレは飽きれながらもご主人生をサポートする為にクエストのデータを調整するのだった。
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