山の頂上付近にある教会
山の頂上に近づいてくるとだんだん寒くなってきた、地面が少し雪化粧され始める…というか雪が積もり始めている。
「まだ防寒装備は不要みたいだけど寒いな…」
「ユリから貰った服は着ないんですか?」
「あれは防御力低めだからな…それを着た状態でここの敵と戦いたくない」
フェルとそんな会話をしていたら1つの建物を見つけた。
「なにあれ?教会?」
ボロボロだが屋根の天辺についている十字架が教会だということを示している。
「なんで山の頂上付近に教会が…?」
フェルも不思議そうに頭をかしげている。
「ひとまず入ってみるか…」
探索したいという気持ちが湧き上がり、フェルと一緒に教会に入る、中に人は当然のように居らず、荒れ果てている、当然だがお宝を期待できるような状態ではない。
いや、お宝期待して教会に入るという思考自体おかしな感じか…そう思っているとフェルが大きな声をあげた。
「レンナさん、あそこにキラキラした箱がありますよ」
フェルの指差す方向には人が片手でギリギリ持てそうな位の大きさの木箱があった、妖精の体格では大きな宝箱位の大きさだ。
木箱には1つだけガラス細工の宝石がはめ込まれていて、光を反射してキラキラと光っている。
「レンナさん、開けてみはませんか?」
「まあ、そうだな開けてみるか」
教会の荒れた状況からして持ち主なんて居ないと思って良いだろう、そう思い開けてみる…すると中にはメインが白色で所々に高級感と言えばいいか、上品さを出す為に白銀の刺繍というか装飾がはいった豪華で小さな純白ドレスが入っていた。
性能は…鑑定眼使う必要もないな、ただのドレスで戦闘用ではないのは簡単にわかった。
多分本来はお人形に着せるタイプのドレスだろう、見た目は良くても作り込みがちょっと甘いように見えた。
「綺麗なドレスですね……」
フェルが目を煌めかせてドレスを見ている……フェルの体格ならもしかしたら装備出来そうだな。
「実際に着てみたらどうだ?」
「え!?良いんでしょうか…?」
「この荒れた状況、持ち主はもう居ないと見て良いはずだ」
何度辺りを見渡すが、最低限建物として機能しているだけでかなりホコリなどが積もっている。
もう持ち主が帰ってくる方はないだろうと確信が持てる。
「それなら…ちょっと着てみます」
フェルがそう言うと光を纏って一回転したと思ったら、防具からドレスに着替えたのだった。
純白なドレスを着たフェルの姿を見て思う、あれ?これってウェディングドレスでは…。
いや落ち着け自分、純白なドレス=ウェディングドレスは安直すぎる…普通のダンス用のドレスかもしれないじゃないか…。
しかしこう見てみるとフェルの着ている純白なドレス、結構肩とか出ていて結構セクシー感を感じてしまう…。
妖精状態だとフェルの服装などがよく見える。
「えへへ、どうですか?レンナさん…似合ってますか?」
「あ、ああ…」
楽しげにくるくる回って、こちらに見せつけるフェル、自分は魅了されたように見とれてしまう……水着の時みたいに実際に魅了された訳じゃないけど…うん、見れてよかった。
「レンナさん、このまま着ていて良いでしょうか?」
「え…えーと…」
流石に防御性能がほぼ無いドレスで動き回るのはどうなんだと思ったが……着替える時間はごくわずかなら自分が頑張ればいい話だし…防寒装備が必要になればその時また着替えるだろう、すぐに着替えられるゲームの世界バンザイ。
「うん、いいよ気に入ったんだな」
「はい!気に入りました!」
いいよと言ったら喜ぶフェル、気に入ったんだな。
「そんなに気に入ったのならリーダーさんにお願いして強化してもらうか?」
「レンナさんがやってはくれないんですか?」
「不可能じゃないけど、専門外だからな…可能なら専門家に任せたい」
せっかくフェルが気に入ったドレスを中途半端に強化したくない。
「リーダーさんは別に裁縫の専門家ではないと言ってましたよ?」
「そうだけど、自分が知っている中では一番裁縫が得意な人だからな…」
ユリが言うには確かリーダーさんは生産技術は消耗品や道具以外…装備関連は作れるようにしているみたいで、消耗品や道具はウランさんが一手に引き受けているみたいだ。
「まあ、実際にどう強化するかは帰ってからにしましょう、今は山頂まで飛んでいきましょう!」
「ああ、でも戦闘になったらすぐに着替えなよ」
「はい!もちろんです!」
他に教会で掘り出し物がなかったので自分はフェルの手に引っ張られて、教会の外にでて、再び山の頂上に飛んで向かうのだった。