運営スタッフと制御AIノーレの高速業務
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「ああもう、なんでもうβ版のフィールドにプレイヤーが来ているの!?明日じゃなかったの!?」
レンナと別れた赤髪のお姉さん……ゲームの管理者の1人であるお姉さんは頭をかきながら、周囲に数多のシステム画面を呼び出し、高速で両手で操作をしていました。
「え…なんで曜日がずれているの…曜日で把握していたのに…」
赤髪のお姉さんの目の前にはメールのやり取りが記録されたログがあり、そこには今お姉さんがいるβ版の新エリアと新イベントを先行して開放したいという上層部からのメッセージとそれに了解しましたという自分が出した返事が1週間前になされていました。
そこまでは問題なかったけれど問題は上層部からのメールで書かれていた曜日が1日分ずれていたのです、曜日で覚えていた赤髪のお姉さんは見事に1日ずれて動いていました。
「…どちらにせよやらかしたわ…」
普段ログや連絡の見返しをしなかった、赤髪のお姉さんの落ち度でした。
このままでは敵も味方も居らず、イベントもなにもないフィールドをプレイヤーが歩き回るというへんてこなイベントになってしまいます。
「……他のエリアにもプレイヤーがぞろぞろと来ているわね…幸い鍵の数が少ないからかプレイヤーの数も少ないわ、他のエリアは担当者が別だからその人に任せればいいし、私は私のエリアだけに集中すれば良いわ…。
幸い今エリアにいるのはさっきの少年1人だけみたいだから…取り敢えず敵と味方を設置!げ、メール!今やっていますわ!と!」
独り言を言いつつも、カタカタカタと今いるフィールドに干渉かける赤髪のお姉さん。
異常な状況に気づいたのか、他のエリアを担当している人からの連絡に今なんとかしていると返事をしつつ、作業を高速で進めます。
どれくらいやばいと言うとお客さんが来てから開店準備をするという、お客さんであるプレイヤーにバレたら炎上確定の事態です、更に上からの説教もセットでしょう。
「えーと、取り敢えず今からこのエリアは先行イベント中は入る際はソロ限定にして、イベントクエストの一括実装!複数人のイベントクエストのエネミーデータもあるけどソロなら発生しないし、取り敢えず実装よ!頼んだわよ制御AI!ノーレ!」
彼女は今日複数人のクエスト難易度調整をする予定でしたが、日のズレによって調整所じゃ無くなりました、故にソロだけを呼んでソロクエストのみをやらせようとしています、これなら一括で実装しても、先行イベント後から本実装の前に調整出来るという考えでした。
『こうならないようにカレンダーシステムはしっかり使ってください』
「う、一応メモは残してあったわ!」
『カレンダーに記しておけば曜日のズレに気づけてたのに…』
「あーもう!過ぎた事突っつかないで!」
サポート制御AIノーレからの小言を受けながら作業を進める。
『後…』
「あーもう、小言はいいから取り敢えず他のサポートに専念して欲しいわ!管理者権限!」
『………了解しました、マスターAIにクエスト用のデータを送ります、自動シナリオ構築の依頼…完了』
赤髪のお姉さんは全力で操作を続けます、実装してもどうしても他の所の管理や調整などやること多いのです、特に今日する仕事と明日する予定だった仕事が同時に来て忙しさは普段の2倍です。
「ひとまず最低ラインの準備オッケー!これでクレームが来ることはないはずよ!後はメールのやり取りと…」
こうして赤髪のお姉さん…職業システムエンジニア兼運営スタッフは仕事をこなして行きました。
サポート制御AIノーレは慌てて仕事する相棒に呆れながらも、サポートをするのでした…内心先ほどあった2人組の心配もありますが、管理者権限でお小言を禁止された為、サポート制御AIはそこら辺の事を考えるのをやめた。
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