妖精の夢幻の終わり
「おはようございますレンナさん」
「おはよう…なのか?ともかくお疲れ様だフェル」
起き上がったフェルと言葉を交わすと眼の前にシステム画面が出て来た。
『妖精の夢幻をクリアしました、称号:妖精の夢幻を超えし者を得ました』
『称号:妖精の夢幻を超えし者
自分自身を乗り越えた証、妖精状態の時かつHPが最大の時、あらゆるダメージを半減する、相棒の妖精にも適応される』
かなり強力な効果だが、妖精の時限定なので使う機会は少ないかもしれないが、個人的にはフェルにも適応されるから結構嬉しい効果だ。
「夢の中で戦ったのに、なんだが強く慣れた気がします」
「そうだな…でも今日は疲れてもう戦いたくない気分になるな」
夢から目覚めてHPは完全回復しているが、精神的にとっても疲れた、また同じ試練を今受けたら数分で倒される自信しかない。
というか2回目でよく倒せたなと自画自賛したくなる。
「そうですね…私も疲れました、私の体てあんなに動けるんですね…本当にギリギリでした…」
ポプリとベッドに体を沈めるフェル、このまま寝てしまいそうに見える、だがフェルは喋り続ける。
「そう言えばアイスメテオを落とした後なんですが…夢幻の私達が凄くパワーアップしてましたね…」
「ああ、そうだな…夢幻のレンナが庇った後めっちゃ強くなったな…どういう原理なんだろうな?多分夢幻の特殊効果だと思うけど…何なんだろうな?」
もしくは夢幻のフェルを傷つけられて夢幻のレンナがブチギレて…いや、それはないか、フェルも凄くパワーアップしていたし。
「うーん、そこら辺なにか引っかかるんですよね…」
「そうか?夢幻の自分達はコピーと言っても何かしら外付け強化が付与されてたりする可能性があるからあんまり考えた所で仕方ないと思うけどな」
今日は疲れたし、明日考えような気分になっている。
「そうですかね…?」
「そうそう今日はのんびりしようぜ!街に出て美味しいものでも食べにいこうか?」
「それなら前にユリから聞いたウィンナーコーヒーを飲んでみたいです!肉が入ったやつ!」
「ウィンナーコーヒー…?というかユリ、嘘教えてるんじゃないぞ…わかった、喫茶店に行こうか」
気分転換、話題転換を試みると、フェルに偽りの知識がユリによって植え付けられている事が発覚する…まあ、そんな致命的な嘘ではなく、可愛らしい嘘だが。
こうして自分達は何となくファイブの街へ向かう…そもそも喫茶店て何処にあるかもイマイチわかってないからね…。
そんな感じでフェルを胸ポケットに入れて、散歩に近い喫茶店探しをしていると人と人の会話が聞こえてくる。
多くは他愛もない話だったり、アイテムとかの取引といった感じで聞き流しながら歩き回って居たのだが…。
「なあなあ、聞いたか聖剣の噂」
「あー?また噂話ぃ?そんな話した所でうちらには関係ないじゃん、それより狩りに行くわよ、せっかく深海に行けるクエストが発生しているんだやらなきゃ損よ!」
聖剣か…個人的には聖剣よりもやばい神刀を見たことあるから、あんまり興味はわかない、というかなんだかんだでアースキーと火光を気に入っているから武器の話は興味がわかない。
「レンナさんレンナさん、聖剣て強いのでしょうか?」
「さあな、聖なる力が宿った剣なら探せば沢山ありそうだけどな…あ、喫茶店あった…」
フェルとそんな会話を交わしながら、個室タイプになっている喫茶店を見つけた自分は、フェルのウインナーコーヒーの誤った知識を正すのだった。
「肉じゃなくてホイップクリームが乗ったものをウインナーコーヒーと言うんですね…」
「ああ、飲むか?」
「えーと飲みたいですけど沢山は飲めないので、ある程度飲んだらレンナさんに飲んでもらうことになりますがいいですか?」
「え、いいけど…」
こうしてフェルとウインナーコーヒーをシェアして飲んで、本日のファンタジーフリーダムはのんびりと過ごすのだった。
ウインナーコーヒーを飲み終えると半日のMP持続回復(微)が発動する、そんな中何となく喫茶店の話し声に耳を傾けると気になる話が聞こえた。
「なあ、クリスマスイベントで鍵手に入れたんだけど結局鍵穴が見つからないけど、使い方というか攻略情報ないかな?」
「知らんよ、こっちはハズレだから興味ない、自分の心臓なり親しいNPCの心臓に刺したら?」
「死ぬわアホ!?」
そう言えば、自分もクリスマスイベントで鍵貰ってたな…。
てっきり転移魔法陣で使えるかなーと思っていたけど、まだ試してないや…。
まあいいや、また今度試そう…そんな事を思いながらのんびりと喫茶店での時間を過ごすのだった。