夢幻の試練の再挑戦の前に…
次の日のお昼頃、午前中は家の鍛冶手伝い(家事も含む)をした自分はファンタジーフリーダムの世界に降り立つ。
「レンナさん!1日経ちましたよね!あの夢幻の試練に再挑戦しませんか!」
フェルが出迎えてくれるが、戦意が溢れている…だが夢幻の自分達は精神論で勝てるほど甘いとは思えない。
「フェル、その前に作戦会議と行こうか」
「作戦会議てなにするんですか?」
「えーと…大雑把な戦術を決めるとか?本来はフェルは胸ポケットに入って、アースキーによる保護の中で火力支援やサポートだったけど、今回の夢幻の試練ではそれが出来なくなるから作戦を予め決めておきたい」
「そうですね、確かに今までとは違う戦況ですよね…レンナさんも夢幻の私達と同じ妖精の体格ですから、立ち回りが色々と変わってきます」
まあ、立ち回りと言っても、自分は戦術家でもないし、聞き齧った戦術もないから、まともな戦術も詳細な作戦も立てられないんだけどな…。
「フェルは後衛、自分が前衛…と言いたいんだけど…前回の戦闘を見た感じ、後方に居ても日暮れ斬で夢幻のレンナが奇襲してくるとわかったから…極力くっついて居たいんだよな…個人戦にして、夢幻の自分対自分にしても日暮れ斬でフェルの戦いに干渉されて殺られる可能性もあるし…」
日暮れ斬、一瞬で視界内の敵の背後を取れるて便利だけど、敵に使われるとここまで厄介とはな。
「レンナさん、初手妖精門を使うのはどうですか?」
「うーん、相手がこっちの実力を知らないのならアリだけど、ほぼ知っていると思われるから、初手で使っても確実に避けられる未来が見えるぞ、せめて大きな隙を晒したのならアリだな…」
妖精火門も妖精氷門も相手に知られてない状態なら火力と範囲で一気に撃破を狙えるだろうが、知られたら避けようはいくらである。
というか相手サイドも同じことしてくる可能性があるよな…流石に妖精火門等の今まで頼りになってた必殺技は喰らいたくないな。
「しかしこれだ!という作戦が思いつかないな…」
「仮に思い浮かんでも、それってこちらにも刺さる作戦となってしまいますね」
「そうなんだよな、結局の所、前回ボロボロだった立ち回りを改善して、やっと夢幻の自分達と対等に渡り合える感じになるな…後は各々のテクニック次第なのかな?」
前回一番駄目だったのは、自分がフェルを庇える距離じゃなくなる位離れ離れになる戦闘を想定してなかったからだ、今回は想定できてるし…後は…。
「後は……フェル、最初に謝っておきたい事がある」
「ふぇ!?謝る事てなんですか?」
自分の言葉に驚きの声をあげるフェル、フェルからしたらなんで謝るのかわかってないみたいだ。
「いや、最近フェルに対して過保護な対応を取っていた感じがしたからな…フェルそういうのあんまり好きじゃないだろ?」
「確かにやり過ぎなのは好きじゃありませんが…き、嫌いでもないですよ?………その大事にされているとわかるので…」
赤面しながら言われると反応に困る…。
まあ、一応今回の試練の間は極力保護しない方向でいこう。
「ふ、普通なのか…?と、ともかく今回の夢幻との戦いは殺られた所で死ぬわけではない…だから今回は結構攻撃的に行こうと思っていて、その際はあんまりフェルの助けに入れなくなるけど良いか?」
「はい!大丈夫です!逆に攻撃的なレンナさんをサポートしてみせます!」
やる気満々なフェル…まあ、今回はフェルの思うようにやってもらおう。
「それじゃあレンナさん!早速試練をしましょう!」
「そうだな…今の時間はユリは外出しているから人化解除できるな!」
「まだ隠すんですか?妖精であることを?別に妹のユリにならバレてもいいのでは?」
「まあ、アイドルである事隠されていたからね、逆に隠されてもいいというやつだよ」
ここぞという時にバラしたいからな!これで変な所でバレたら隠してた時間に比例して凹んじゃいそうだな…。
ともかく自分は人化を解除して妖精になり、フェルのベッドに腰掛けて、試練の妖精羅針盤《夢幻》をフェルといっしょに持って、夢幻の試練に挑むのだった。