全く届かぬ限界
はあ…はあ…決闘が始まって10分ほど経った、何度も何度も攻撃しているのにナナサカさんに刃が届かないどころか何時も以上に手を抜かれている…ナナサカさんが寸止めしてくるのだ…。
「なんで寸止めするんですか…?別に首をはねても死にませんよ?」
首元に突きつけられた緑星をアースキーを振るって退ける、本当の戦いだったら既に数え切れない位に首をはねられ負けていただろう。
というか今までのナナサカさんなら間違いなくはねてたし、なんで斬らないのか疑問が出てくる。
「観察の為にね…今のレンナ殿はうーん、散漫になっているから斬る価値があんまりねー…」
「散漫てどういうことですか?」
「うーん、突撃してきた際、後ろを警戒していたり、注意を払う必要がない所まで意識していてなんというか隙だらけなんだよな…双極の覇者の時より対人能力落ちてない?」
言われてドキリとする、内心夢幻のレンナ戦を想定して全体的に見るように立ち回っていたけどまさか読み取られていたのか!?
「ひ、日暮れ斬とか使ってくる可能性があるから警戒していたんだ…」
「確かに使えるけど、個人的にはあんまり使わんよ、大抵の敵は背後回らなくても真正面から斬り伏せれるし…あ、前に日暮れ斬教えたんだからそれは使って行った方が良いのか…でもなんというか…うーん」
歯切れが悪いナナサカさんに攻撃を仕掛けるがシャベルでアッサリ防がれてしまった。
「レンナ殿てシングルタスクしかできない人…ではないよな、剣とシャベルの二刀流だし…」
「二刀流出来るからダブルタスク出来るという判断はどうなんですか!」
攻撃を続ける、ナナサカさんは攻撃に意識を使わない分…いや、攻撃してても喋るか!
ともかく攻撃は全て防がれて受け流される。
「段々と分かってきた…」
「なにが!?地門!」
地門を軽やかなステップで回避して、ナナサカさんはなにか納得する
「何度か胸ポケットを攻撃しようとフェイントを入れたが、今までと違っても本能的に防ごうとしていない…このことからして…夢幻のレンナ戦ではフェルが胸ポケットに居られない感じなんだな?」
「な!?」
ナナサカさんの言葉に驚き硬直すると、あっという間に首にシャベルがグイグイと押し付けられる、呼吸器官が圧迫されて息苦しくなるが、ダメージがないのはナナサカさんの絶妙力加減をしているのだろう。
「図星か…うーん、困ったな誰かを守りながら戦うスタンスて、俺の剣坂流と相性悪いんだよな…なんも教えられることがない」
「いや、別に教わるというわけではないけど…いやまあ、決闘を通じて何かを見出そうとはしているけど…ともかくさっきナナサカさんが言っていたことは当たりだよ。
何時もはアースキーの効果でフェルを守れてたけど、夢幻のレンナ戦ではフェルを胸ポケットに入れられない戦況にされられて、アースキーは付近にいる状況じゃないと庇えず、距離を取らされた結果、フェルを守りきれずにやられちゃったんだ…本当に夢オチで無かった事になって良かったよ」
図星を肯定する、一応自分は剣坂流では無く、我流の二刀流になるのかな…シャベルと剣の二刀流て自分ながらかなりヘンテコだが。
ひとまず喉に押し付けられたシャベルを除ける。
「成る程………はあーーーー………厄介だなこれ、下手なこといえないわ」
「どういう事だ…?なんか全部把握したかのような感じだけど?」
「いや、なんというかレンナ殿の戦闘スキルが落ちた原因がハッキリと分かったからな…だがこればかりは下手な事は言えない、変に矯正したら弱点を生み出しかねないからな…あー…うー…あー!ひとまず決闘再開するぞ!結局の所地力を高めないと何も守れないぞ!こっから先は攻撃するぞ!少しでもスキルレベルを上げる手助けになると良いな!」
ナナサカさんはそう叫ぶと斬り掛かってきた!
「ああ、少しでも強くなってやる!」
その後数時間、ナナサカさんと決闘をするのだった。