夢幻の自分達!
「ちい!攻撃は黒くないんだな!」
「アイスランス!」
自分達も武器を取り出して、火の斬撃波とアイスランスを撃ち出して相殺する。
威力は互角…だけど不味いな、今の自分はフェルと同じ妖精状態、距離感を間違えたらアースキーの効果でフェルを守れなくなる!
「人化!」
人化を使い、人に戻ろうとするがブブ!となにか否定される音がなるだけで体に変化はない。
「な、なんで!?使用不可!?」
「レンナさん来ますよ!オールアップ!」
「ふ、フェルは自分の背後で火力支援をお願い!」
動揺していても相手は止まってくれない、自分の影?夢幻?が斬り掛かってくる!
こちらもアースキーと火光で迎え撃つが、敵側の火光から火が吹き出し、こちらの肌をじわじわ焼いて、こちらのHPを削ってくる。
「くう!あっついな!」
「レンナさん!リジェネレーきゃ!?」
フェルが魔法を使おうとするが、敵側のフェルがフェルに杖による近接攻撃を仕掛けられて妨害される!フェルは避ける為にバックステップするが、その結果自分との距離が離れてしまう。
「この夢幻の自分、強いです!レンナさん!」
「ああ、もう取り敢えず敵の名前は夢幻のレンナとフェルと定めるぞ、くう!だりゃあ!」
全力を出してなんとか夢幻のレンナを押し返して、フェルを守る為に、夢幻のフェルに向かって火の斬撃波を放つ!
すると夢幻のレンナの眼の前に火柱が立ったと思ったら、フェルの背後に夢幻のレンナが現れて、フェルを斬りつけてからフェルを蹴り飛ばした!その蹴り飛ばされた所はさっき自分が放った火の斬撃波の射線!
「フェル!!」
悲鳴を上げた次の瞬間、まるで夢が覚めたのように視界が切り替わり、ユリのマイホームにいた。
「う、うーん…わ、私生きてます…?」
自分の側でフェルが苦しそうな声をあげる、声の方を見ると凄くだるそうにフェルがベッドから起き上がってきた。
「ふ、フェル!無事か!?」
「はい、なんだか寝起きが最悪な事を除けば体はどこも痛くないです…」
良かった、本当に夢オチとして終わったんだ…だが…。
というかフェルの防具の1日1回ファイナルターミナルの効果が発揮されなかったけど、死ぬわけじゃなくて夢オチだからか?
「あー……凄くアッサリ終わったな…」
フェルの生命力…HPでは火光の攻撃2発とキックでHPが尽きるのか…いや、フェルは火が苦手と言っていたから弱点である火の攻撃を2回直撃して生きている方がおかしいか…。
「ごめんない、アッサリやられてしまって…」
「いや、フェルは悪くない、こっちも夢幻の自分自身相手に手玉に取られてたし…」
まさか日暮れ斬で攻撃&吹き飛ばしをしてフェルを守る為に敵である自分達を吹き飛ばすとは…フェルを守りたいという動きは根本的な所は同じなのかな?それはそれとして自分のフェルを斬ったあげく蹴飛ばして盾にしたのは絶対に許さないが…。
「レンナさん!もう1回しましょう!」
「あ、ああ!このまま負けっぱなしは嫌だよな!」
ベッドの上に転がっていた、試練の妖精羅針盤《夢幻》を2人で再び持ってみると、眼の前にシステム画面が現れた。
『2人での《夢幻》の試練は1日1回です』
…駄目だった、試練は1日1回というのをフェルに伝えるとフェルは試練の妖精羅針盤《夢幻》をしまって、ベッドの上に転がった。
「悔しいです…せっかくレンナさんと肩を並べて戦えたのに…」
「夢幻の自分達の方が連携を取れているというか…立ち回りがわかっていたな…」
今思い返して見ると夢幻の自分はフェルと自分の距離が遠くなるように、されど火の斬撃波に当たるようにフェルを吹き飛ばしていた、完全にアースキーの庇う能力を把握していたように…。
「……レンナさん、ちょっとこっちに手を伸ばしてください」
「え?いいけど…」
フェルに手を伸ばすと、ぐいっと引っ張られる、引っ張られる勢いのままベッドに引っ張られるとフェルと一緒に寝ているような姿勢になる。
「フェ、フェル?急にどうした?」
普段とは違うフェルと同じ身長だから凄く間近に感じる。
「レンナさん、私が倒された時、凄い悲鳴を上げてましたよね?」
「う、あれは万が一が頭をよぎって本能的に声が出たんだよ…あの時はゾッとしたよ…」
「その感情がレンナさんが死ぬたびに私が感じている感情です、ですから出来る限り死なないでくださいね…いくら死んでも生き返ると言ってもあんまりそういうのは見たくないです」
ぎゅっとフェルは手を強く握ってくる、出来ればフェルの望みは叶えたいが…。
「もしそうだったらナナサカさんやリーダーさんとの決闘でフェルの心臓もたないんじゃ…」
「あ、あれは……まあ、割り切りました…神様やその半身との決闘ですし…」
あ、フェルが達観したような目をしている。
「ともかく…ふぁ…生存……重視でお願いします…」
フェルが急に眠たそうにする、疲れたのかな?
「わかったよ…ともかく寝たいのなら寝な?」
「……うん…………」
こうしてフェルは眠りに落ちた…。
手を強く握られていたせいで手を解いて人化するのに手間取ったが、なんとか人化してログアウトすることが出来た。
しかしあの夢幻の試練どうするかな…多分新しいスキルを得て強くなっても、敵もコピーして強くなりそうだよな…。
どうするべきか…。