ネットの情報と風の渓谷
「えーと…ファンタジーフリーダム…風の渓谷…攻略……エンター」
カタカタと、検索の言葉を入力して調べてみる。
調べた結果、ファンタジーフリーダムの攻略情報ベースというサイトを見つけた。
「風の渓谷、推奨レベル20、マップ情報はリーダーさんから貰ったのがあるから、エネミー情報と…巨大魚やトカゲ…泥の手、ゾンビ…弱点属性がバラバラ故に多彩な属性攻撃が得意な魔法使いは必須、またボスのリッチは雷属性が弱点?」
情報を口にしながらサイトを見る、あれ?ボスの弱点は火が弱点てリーダーさんが言ってたけど、どっちが正しいんだ?それとも両方弱点か?
まあ、フェルと力を合わせれば、シャベルに色んな属性を乗せられるから魔法使いはいなくて平気かな?
「ボスのリッチは遠距離まで届く魔法が脅威だが、近接戦闘は雑魚なので、ひたすら近寄って、近接攻撃を叩き込めば簡単に沈むので、道中をクリアする為の多彩な属性攻撃を持っているなら15レベルでも攻略は容易いだろう…?」
ボスは近接戦闘が弱いのか…?まあ魔法使い型のボスならそうなるのかな?リッチは確か魔法使いのゾンビだよな…?
15レベルで行けるなら、一度行ってみようかな、ボス戦じゃなければ、危なくなったら逃げればいいし…とそんな事を、考えながらほかの情報を見てみる。
風の渓谷の情報以外にも、街は現在ワン街、ツー街、スリー街、フォー街(全て通称)まで開放されていてファイブ街(仮名)に繋がるダンジョンを最前線組が攻略中という情報と現在の最大レベルが最近45レベルに開放されたという情報を拾った…探せばまだまだ情報が出てきそうだが、ネットの情報に頼りすぎるな、鵜呑みするなと友奈と高田に怒られた経験があるのでネットでの情報収集はここまでにする。
変なパソコンをサクサク動けるようにできます!という広告踏んで、ウイルスインストールからのパソコン買い直しなんてもう勘弁だ…プログラムが得意からといって、高田に助けを求めた際にパソコンを見せた時は、高田のガチの怒りと呆れの混ざった声と表情は、記憶にしっかり残るくらいに怖かった。
サイトで見た情報を頭の中で思い返しつつ、再びファンタジーフリーダムの世界にログインする。
「おかえりなさい、レンナさん情報集まりました?」
「ああ、情報を確かめる為にも回復アイテムとかしっかり買い揃えて、一度風の渓谷に行ってみよう、ヤバそうになったら撤退する」
「はい、安全第一ですね!回復薬沢山買いましょう…出来ればレンナさんが回復薬を使わないのが一番なんですけどね…」
今は潤沢な資金がある、それを生かして90個くらい回復薬を買い込んだ、これだけあれば使い切ることはないだろう。
大量の回復薬という安心出来る命綱を手に入れた自分は、少しの安心感を抱きながら風の渓谷に向かった。
「ここが風の渓谷…」
ビュウビュウ風の音が鳴り響き、全身に風が吹き付けられる…スカートとか装備している人がいたら移動大変じゃないかと、どうでもいい事を考えてしまう。
「レンナさん、風が強いですね…胸ポケットから出たら、吹き飛ばされてしまいそうです…」
「そうなのか…胸ポケットにしっかり捕まってくれ、吹っ飛んだら瞬時にキャッチ出来る自信がないからな」
シャベル、アースキーを構えて辺りを見渡す、マップを見た感じ基本的に流れる川を目印に下流に向かうように移動すればいいみたいだ。
寄り道をすれば素材を採取したり、発掘したりが可能かもしれないが…今は下流に向かおう。
「レンナさん!川からなにか来ます!」
「あれは魚か…フェル、雷の力を祈って欲しい!」
「「雷の祈り!」」
フェルが先に敵を見つけてくれたので、アースキーに共鳴の効果で雷を宿して戦闘の準備を整える。
「ーーーー!!!」
「うわ、複数いるのか!?」
謎の鳴き声をあげて魚が出てきたと思えば、魚以外にもトカゲ、地面から泥の手が湧き上がってきた。
……えーとトカゲは氷が弱点で、泥の手は火属性が弱点…。
ええい!取り敢えず魚を倒さねば!
魚に向かって突撃からの突きを放つ、アースキーは魚に深々と突き刺さり、雷を迸らせて一撃で吹き飛ばす。
そのまま横薙ぎで泥の手に攻撃するが、ドロドロした体がアースキーの威力と雷を殺して、受け止められる。
「フェル、火のぐう!?」
「え?きゃあ!?」
アースキーに宿る属性を変える為にフェルに声をかけていたら隙を突かれ、トカゲに吹き飛ばされて地面に転がされる。
吹き飛ばされたせいか、考えに差異が生じた影響かアースキーに宿っていた共鳴の雷が消えてしまった。
「くう、フェル氷の力だ!」
「わ、分かりました!」
フェルと言葉を交わしつつ、起き上がる…すると泥の手が体を伸ばし、殴りかかってくる、それを回避して殴りかかる…氷れ!。
しかし振り下ろされたアースキーには、氷の属性が宿ってない一撃だった…
「硬ぐう!」
再びトカゲのタックルを食らって、遠く吹き飛ぶ…やばい、もうHPが危険域だ…。
「回復します、リジェネレート!」
「すまん!心配かけた!」
リジェネレートを受けつつも、回復薬で回復してアースキーを構え直す。
泥の手硬くないか…?それに氷の属性を宿ってなかったのはなんでだ?もしかして火属性が弱点と知ってたから無意識で火の力を欲していて、フェルと共鳴出来なかったのか!?ならば先にトカゲを倒す!
「フェル!今は属性の祈りは使わないで、バフに専念して欲しい!」
「パワーアップ!スピードアップ!」
フェルの補助魔法を受けてから、トカゲに向かってシャベルを全力で振り下ろす。
グシャ!とトカゲを3回ほど叩いたら、トカゲが赤いエフェクトを纏って消える。
しかしトカゲに集中攻撃をしてた結果、泥の手がパンチの形になって殴りかかってくるのに対応出来ずに、殴られ吹き飛ばされて、大ダメージを喰らう…。
攻撃が遅いから連続攻撃で殺される事はないが、通常攻撃が効いてないのが一番厄介だ。
回復薬を飲んでHPを回復して、フェルと言葉をかわす。
「はあ、はあ…結構痛いな…フェル、この泥の手は火が有効なんだ!あと少し力を貸してくれ!」
「火ですね!分かりました!」
フェルの返事と共にアースキーに赤い火が宿る、それを突き刺すように泥の手に攻撃すると、体から水分がなくなったかのように、ボロボロ崩れてから赤いエフェクトを纏って消えた。
物理攻撃にはかなり強いが、属性攻撃にかなり弱いのが泥の手の特徴か…。
「なんとか凌いだが…くそ、なにが15レベルで楽勝だ…全然違うじゃないか…」
「レンナさん、撤退しましょう、ここは予想以上に危険地帯だと思います」
膝をついて息を整える…フェルが撤退の提案をするが…。
どうするか…確かに危険だが、戦えなくもない…。
今回は数的不利があったから苦戦したが、次は違うかもしれない…。
「大丈夫、回復薬もまだあるし、もう少し進んでみよう、危なくなったら直ぐに撤退しよう」
そう判断して、風の渓谷の先へ歩き始めた。