ユリの得意技?
「おーどうやらスリの犯人捕まえたみたいだね」
「ああ、でもプレゼントボックスを返してくれないんだ、どうすればいいかわかるか、ユリ?警察とかの組織があるなら、そういうのに突き出したら盗品帰ってくる?」
ユリと合流して解決法がないか聞いてみる、スリ犯はチィと悔しそうな表情をしている…流石に3人となると出し抜けないと悟ったのかな?
「うーん、そういう法的組織に突き出すのもありだけど、ちょっと待って…こういう時は改心させるのが一番だよ」
「改心…てどうするんだ?」
なんというか改心する余地が見当たらない、彼のバックボーンというか背景というか性格もまだ把握しきれてないのに改心なんて…。
「フォームチェンジメイクアップ!チャームアピール!」
ユリが叫ぶと同時にキラーン☆とユリの全身が光りに包まれる、何事かと思っていたら、そこには金髪のユリではなく、赤いクリスマス衣装を身にまとった青髪青目のアイドル…ユリのもう1つの姿…リオアに変身していた。
「うわ…綺麗…」
スリ犯はリオアを見てポケーとそんな言葉を発する…目にハートマークが浮かんでるのは自分の見間違えか?
「全くもう!スリは駄目だよ少年よ!」
「え、あ…はい…お返しします…」
リオアが注意すると、簡単にスリ犯はプレゼントボックスを返してくれた。
「もしかして洗脳…?」
「失礼しちゃうね妹よ、みんながよく知る心を動かして魅了して改心させているんだよ!」
「自分の知っている改心方法じゃないし、後妹言うなし…」
だがどちらにせよせっかく頑張って稼いできたプレゼントボックスが帰ってきてよかった…。
「もう悪いことしちゃ駄目だよ!リオアとの約束だよ!」
「はい!わかりました!それじゃあ盗んだもの返していきます!」
スリ犯は走り去っていった、プレゼントボックスを返してもらったので追いかけはしないが、先程とは別人と思える程度でちょっと引く。
「………えーと、取り敢えず助かった、ユリ」
「気を付けてね、また盗まれたら目も当てられないよ?あとこの時の姿はリオアと呼んでよ」
「ああ、気を付けるよ……リオア」
名前に関して指摘されて訂正する、しかし妹が魅力の力を使うてなんか複雑な気分だな…。
「というか気になるから聞くが、さっきの魅力てフェルにも効くのか…?」
「あはは、無理無理!フェルにはネタ割れてる以前に同性で普通に仲良しだからね、当たり前だけど身内のお兄ちゃんにも効かないよ」
「はい!仲良しです!」
「身内に効いたら怖いわ」
フェルも仲良しだと同意する、どうやら仲の良いキャラには効果がないようだ。
「そうか…じゃあそろそろユリに戻ってくれ、その姿だと目立つ…特に他のプレイヤーに見つかったら、アイドルだと騒がれるぞ」
まあ、今は裏路地のような人気の無い所だから見つかることはないか、仮に見つかっても数回一緒に配信した兄と居るから変な噂にはならないだろう。
「あ、それは無理、派手に変身するスキルの影響ですぐにはユリに戻れないの」
「まじか…」
「まあ、こうなったからにはちょっと派手な方法でプレゼントボックスを稼ごうかな!」
「派手な方法?」
「そりゃあクリスマスライブだよ!クリスマスライブをする依頼があるからね!プロの私がやればがっぽりだよ!」
……クリスマスボックスを集めたいなら最初からそれをやればよかったたのでは?と思ったがそれは言わないほうが良いと思い、口にはしない、効率度外視で色んなことしたかった可能性もあるからな。
「クリスマスライブて、もしかして自分も歌ったり踊ったりしなきゃいけないのか?」
「私の自慢の妹なら出来る!」
「そんな暴論通らんからな!?」
そんな感じで少し言い争っていたが…。
「レンナさんのライブ…ちょっと見てみたいです…」
「ほら、お兄ちゃんの大切な妖精も望んでるよ!」
フェルのひとことで自分はあーわかったよ!と言うしかないのだった。
仕方ないな全く、人前では歌って踊るとか苦手だけどやってみるしかないか。