スリ犯を追い詰めろ!
スリ犯と追いかけっこが始まり数分、かなりきつくなってきた、というか現実ではここまで走ることは体育位でしかないから、そろそろ限界が近い…。
「フェル、走った……疲れはリジェネ…レートで回復出来ない……?」
「無理ですね…ファイトですよ!」
走った疲れはフェルの回復魔法では回復不可能みたいなので相手がバテることを願って走っていると、とうとう相手の行き先が行き止まりになった!
横にも移動は出来ずスリ犯が逃げるには自分を通り抜けて来た道を戻るしかない、どうやら追い詰めることが出来たみたいだ…当然だが逃がす気はない。
「はあ……はあ…そろそろプレゼントボックスを返してもらうぞ…」
立ち止まり、息を整える…頭の片隅でリアルで持久力あれば息切れしないのかな?と思っているとスリ犯が口を開いた!
「しつこい子供でヤンス、ガキは家でマンマのミルクでも飲んでるでヤンス」
今日は見た目で判断されること多いな…クリスマスだからか?
まあ未成年の学生だから子供なのは間違いないけど、すごく腹が立つ。
「お前にスられた物を取り返さないと、のんびり牛乳も飲んでられねーよ!」
アースキーと火光を取り出す、相手から攻撃してきたら上手いことカウンターで無力化とか出来るかもしれない…だが下手に攻撃すれば、回避と同時に横を通り過ぎて、逃げられる…。
そうなったらまた長い追いかけっこをする羽目になって、逃げられる可能性が高い、ひとまず攻撃してきたらカウンターで攻撃出来るように構える。
「………」
「………」
「………」
相手の考えはわからないが、カウンターしようとしていたみたいで、お互いに無言の時間が進む。
このままだと良くない…ならば!
「フェル!」
「ライトニング!」
胸ポケット内でフェルはこちらの意図を理解して攻撃魔法を放つ!
「ちい!」
スリ犯は雷を回避する為に横に飛ぶようにサイドステップする、そこが攻め時!
「だりゃ!」
一気に踏み込んでアースキーで攻撃する!
シャベルとしての平べったい所がスリ犯の腹部に直撃して、スリ犯を吹き飛ばして壁に叩きつけてダメージを与える。
距離を少しでも開くと逃げられると思ったので、再び白兵戦が出来る距離に詰め寄る、首の側に火光を突き立てて、逃げられないようにする。
「返せ!プレゼントボックスを!」
「返さなかったらどうする?」
「…………」
スリ犯の顔が見える、男性だ、体格からして小学生か?どちらにせよスリ犯は確信を持った表情で返さなかったらどうするか聞いてくる…偽善者だから殺せないだろ?と言わんばかりだ。
「うーん、雪を食わせるぞ?知っているか?雪て凄くバッチィだぜ?大量摂取したら暫くトイレから出られなくなるぞ?」
考えた中で暴力的ではなく、されど脅威的な脅しをしてみる。
「え?ばっちいんですか?」
「もしくは雪に埋める、死にそうになったら助けてやるが返すまではずっと極寒地獄だ」
フェルが知らなかった的な声を出す中、スリ犯がなにするかわからないので警戒を解かずに何時でもトドメが出来る状態のままもう1度脅す。
出来れば拘束したいが、片方でも武器をしまえば逃げ出す行動に移りそうな感じがして、今は武器を首元に添えて下手に動いたらざっくりいく可能性があると認識させて行動を抑制させなきゃいけない。
「へ、やっぱり殺せないだな!」
「まあ、盗みで死刑はいくらなんでもな…」
いやファンタジーな世界だと割とあり得るのかな?法が殆ど定まってない状態で偉い人の物を盗むとか殺されそうだし…。
しかしどうしよう…このままだとプレゼントボックス返してくれなさそうだ、どうしようと思っていたらおーい!とユリの声が聞こえた。
こうなったらユリに助けを求めてみるか。