知り尽くされたレイドの運命
「レイドボスてなんだ?」
首を傾げていると、眼の前にシステム画面が現れる。
『レイドボス:ラージタートルアースタンクが現れました、参加しますか?
参加人数:24/100』
参加人数が一気に増えていく…さ、参加するべきか?あ、もう80人参加してる…100人も参加するなら、なんとかなるだろう!
そんな判断をして、参加ボタンを押す。
すると視界が真っ白になった後、ゲームシステムの力で転送されたのか、ツー街の近くの平原みたいな所にいた、胸ポケットにはフェルもいた…良かった置いていかれたわけじゃないみたいだ。
「何事ですか!?」
「落ち着いて、フェル…転送されて敵の所に運ばれたんだ、戦闘の時間だよ」
シャベルのアースキーを構えてレイドボスの姿を確認する。
ラージタートルアースタンク……ボロボロの甲羅、今にも死にそうな亀の表情、火の玉やら氷の塊やら雷やら光の槍など数多の攻撃魔法を使う他のPL達…。
「あの…もう戦闘終わりそうに見えるんですが…?」
「あれ?始まったばかりでは?」
困惑するフェルの声と同時に何故かレベルアップの音がする…え、もしかしてもうラージタートルアースタンク倒れた?え?自分何もやってないけど、経験値入るの?
「いやー、久しぶりの美味しいレイドだったねー攻略方法が完全に知られたボスはご飯だね」
「複数の属性の魔法で攻めれば弱いから美味いわー」
「その結果レイド発生率めっちゃ低くされたよねー経験値効率良すぎるから当たり前の結果だが」
他のPLの声が聞こえる…どうやらボスは弱点を知り尽くされていた結果、速攻で撃破されたようだ…。
構えたアースキーを突き刺す場所を失い、何もしてないので気まずい気分になっていたら、またしても視界が真っ白になったと思ったらレイドボス参加ボタンを押した場所に戻ってきた…。
システム画面にはラージタートルタンクアースを撃破しました!という表示とドロップアイテムとして、タートルタンクの甲羅を入手していた、参加賞…なのかな?
「あの、さっきのは結局何だったんですか?」
「………ただの蹂躙だった、うん」
早すぎる戦闘の変化についていけず、レイドバトルを理解できてないフェルの質問に答えつつ、ステータスを見ると14レベルになっていた…。
あのレイドに参加するだけで2レベル上がるの?自分が弱すぎるだけなのか?それとも敵が強かったけど、周りに弱点周知されすぎたのか…まあ、ほかのPL達の言葉的に高確率で後者みたいだが…。
「えーと、なにするつもりだったけ?レイドボスの出現で頭からすり抜けおちた…」
「風の渓谷に行くんじゃなかったんですか?」
「そうだった……すまん、一旦風の渓谷の情報収集する為に、ユリのマイホームに戻ってログアウトするから、フェルはユリのマイホームで待ってて欲しい」
「わかりました、ゆっくり待ちますね!」
そういって、ユリのマイホームに戻ってログアウトした。
ネットで探せば、風の渓谷の突破をさっきのレイドボスのように軽く終わらせる方法とかあるのかな?
そんな気分を抱きながら、パソコンがおいてあるテーブルに座った。