ウェイターレンナ!
「ウェイターの依頼だって?お前のようなちびが?」
………どうやらこいつはかなり失礼なやつだ…。
「身長は給仕にそんなに関係ないですよね?」
「ああ、問題ない…だが仕事をするには隣の厨房と違って制服に着替えてもらうぞ、それもクリスマス仕様のだ、構わないな?」
「ああ、構わない」
流石にいま着ているカジュアルな防寒着でウェイターをするのは許されないか、そう思っていると眼の前にシステム画面が現れる。
『レンタル衣装品:ウェイR、クリスマス仕様上下が支給されました、このレンタル品は依頼終了時に消失して、所持防具で1番防御力の高い防具に変更されます。』
成る程、この依頼時のみ着れる衣装なのか…ひとまず着替える、ボタン1つでも自分の体が光り、ユリから貰ったどんな極地でも行ける服から制服になる……………なったんだが…。
「なんだこりゃあ!?」
思わず大声をだす、なぜなら身に舞った制服が赤色なのはともかく、上はお腹が出ていて、胸周りしか布がなく半袖、下も膝くらいの短パン+同じ位の長さのスカートだった。
「いや、見た目が寒すぎるわ!」
冬と夏勘違いしてねぇか!?と言いたくなるが、首の所に大きな鈴とスカートや上の端々にはクリスマスツリーについている白いふわふわがついていて、クリスマス感を出している。
しかも外にいるのに体は寒くないあたり耐寒効果はあるみたいだ。
いやそもそも真っ先にツッコミ先として、これ明らかな女性用じゃねぇーか!
「は、良いじゃねぇかちびにはお似合いだ」
「……俺ウェイターと言ったよね?俺はウェートレスじゃないぞ?」
男であることを伝えるため、あえて強調するように俺と言う、自分の知識が正しければウェイターが男、ウェートレスが女性の給仕を指す言葉だったはずだ。
「は、似合ってるから良いじゃねーか、ほら忙しいからとっとと中に入って手伝ってくれ!」
「いや、待ってくれよ!男性用のはないのか!?」
「着れて見た目的問題が無いなら、それは十分男性用だ」
こいつまさか子供に見えるからといって舐めているのか!?明らかに差別的なことされてないか?確かに自分は他のプレイヤーと違って小柄だが、別に小柄なプレイヤーは自分以外にも居るだろ…。
腹が立つがこんな奴にこれ以上言った所で話が進まない気がする…幸いスカートとはいえ中は普通に短パンだ…上はお腹出しっぱで恥ずかしいが現実と違い、お腹が冷えて下痢することはないだろう。
「あーもう、やるしかない!」
半分諦め半分ヤケクソそんな気分で自分はホールの中に入る。
リアルでレストランのバイトとかはしたことはないが、レストランの利用は何度もしている…多分なんとかなるだろう。
そう思っていたらチュートリアルの説明が出て来た、ふむふむ基本的にはNPC相手に注文を聞いてそれを厨房に通して、完成したらそれを運べばいいみたいだ、難易度が高いほど料理の数が増えて料理が運びにくくなるみたいだ、そう言えば上手い人は腕にお皿乗せてたな…リアルの体格の良い体ならともかく、今の少女の見た目をした自分では難しいから片手でしっかり運ぼう。
チュートリアルを終えると早速お客様が入ってくる。
「いらっしゃいませー!空いてる席にどうぞ〜」
頭の中で今まで見てきたレストランのスタッフをトレースというか真似て挨拶をする。
「すみません、クリスマスチキン1つとグリーンピザを1つお願いします」
「はい、ご注文の確認をしますクリスマスチキン1つとグリーンピザを1つですね、承りました!」
注文を受け取り、厨房の側に移動して注文を伝えようとすると、眼の前にもクリスマスチキンとグリーンピザが出て来た。
「おーお兄ちゃんが絶対しないような格好しているスクショスクショこんなレア姿撮らなきゃソンソン」
「似合ってますよ、レンナさん」
どうやらユリとフェルが速攻で料理してくれたみたいだ…いやそれはそれとしてユリが両手の親指と人差し指で四角を作ってこちらに向けている。
「写真取るな!?スクショて写真撮ることだよな!?」
あーそうだよな、妹ならそうするよな!?
「あのーレンナさん、料理…」
「あ、すまんフェル!すぐ運ぶ」
ユリに文句言いたいがフェルに促されて料理を運ぶことになるのだった。