緑星献上後
「すまないな、相棒が神様ロールプレイがしたいと駄々をこねた結果、変なのに付き合わされて…」
何故かリーダーさんが謝罪してくる。
「いや、大丈夫だよ、特に悪い事というわけじゃないし…」
「もしかしてナナサカさんが着ていた服はリーダーさんが仕立てたんですか?」
「ああ、威厳のある服が欲しいと高級な素材と大金を押し付けられてな…リソースは押し付けられたし、しゃあなしに作ったんだよ、見た目の割に強い防具だぞ」
リーダーさんが呆れながらフェルの質問に答える。
「というかそろそろ出てこい、バカ神、レンナさんとフェルを驚かそうとしてるんじゃない」
「おいおいバラすなよー低い隠密スキルでなんとか背後取ろうしてたのにー」
すぐ背後から声が聞こえる、ばっと振り向くと緑星を持ったナナサカさんがいた。
「まさか初の試し切りがレンナさん…?」
「いや、流石にそんな事はしませんよフェル殿!?ちょっと脅かそうとしただけだよ」
フェルのドン引き気味の言葉に慌てて否定するナナサカさん、服装がさっきの服装ではなく、普通の浴衣みたいな戦闘服に戻っている。
「まあ試し切りしたい気分はあるけど、流石に初手レンナさんで試し切りするサイコパスはしないよ…」
……初手じゃなければ斬りそうと言うが、以前決闘でオメガコアの重刀で斬られた記憶が…。
「じゃあこれからクリスマスイベントで、プレゼントボックス集めるついでに試し切りにいくぞ、ナナサカ…レンナさんも行きますか?」
「あー午後から妹とクリスマスイベントやる予定なので、2人でがんばってください」
「そうか、リオアと行くのか、イベント頑張ってな、ほらいくぞナナサカ」
「へーい」
リーダーさんとナナサカさんは移動用の魔法陣を使い、街中へ繰り出していった。
2人の事だから大暴れしそうだな…。
「どうしますかレンナさん、午後まで時間はありますけど、それまでお出かけするには少し時間が足りませんが…」
フェルに言われて時間を確認する、確かに1度お昼ご飯の為にログアウトする必要があるのだが、それまでただ待っているのには時間が長くて、出かけるには時間が短いと感じるくらいの時間だ…まあ、街周辺を歩き回る時間くらいはある。
「どの街にリーダーさん達が出かけたかわからないけど、お昼ご飯までの間、少しだけ各街の様子を見に行くか」
「はい、それなら私も行きますね」
フェルが自分の胸ポケットに入る、それを確認してから自分達は最初の街、ワンの街に移動する。
街中は雪は積もってないがクリスマスムードだ、家などがクリスマスの装飾がされている。
チラッと街を出入りする入口の方を見ると、サンタと思われる人物が立っていた、成人男性よりも大きくてふくよかな体型をしていて、サンタ特有の赤い服を着ている…。
「レンナさん、あの赤い服の人困っているように見えるんですが、話しかけないんですか?」
「あーあの人はユリと合流してから助ける予定だ…それに先行してナナサカさんとリーダーさんが助けに行ってるからな、後からでも問題ない」
「リーダーさんとナナサカさんが助けたらユリと合流する前に助け終わるんじゃ…?」
「いや、流石にそれはないから安心してくれ」
「それは安心することなんですか…?」
まあ、事が解決したらゲームの全体イベントにならなくなるから、期間が終わるまで街の入り口にいるサンタは困り続けているだろう。
しかしサンタさん周辺は人が多いな…イベントの入口だからなのかな?
そんな事を思っていると、お昼ご飯の時間を知らせるアラームが鳴る。
「さて、時間も時間だしちょっとユリと一緒にお昼ご飯を食べてに行ってくる」
「わかりましたレンナさん、お腹いっぱいになったらまた来てください」
ワンの街を見終わった自分達はユリのマイホームに戻ってからログアウトするのだった。