ドワーフの街への帰宅
「疲れたー!」
1時間位ひたすらアースキーを振るい、なんとか10個のメテオグラビティ鉱石を手に入れる事ができた…はっきり言って苦行に近い作業だった…。
メテオグラビティ鉱石以外にも鉱石が手に入るのだが…鑑定眼で見た所鍛冶には使えず、それなのに採掘に時間がメテオグラビティ鉱石と同じなので数を集めるのに時間がかかるのだ。
ちなみに途中から重量過多で実質持てなくなり、フェルに少しだけ鉱石を持ってもらった。
フェルが応援してくれたから頑張れたが、フェルが居なければ2個目で諦めて帰った気がする、まあ頑張ったお陰で採掘終わりに採掘スキルは最大のレベル10になった。
『レンナのスキル採掘と鑑定眼がレベル10になりました、結合進化が可能です』
それに伴って結合進化の案内も出て来た、早速結合進化先をみる、結合進化先は採掘時に鉱脈の弱点がみえて採掘が簡単になる採掘眼、もう一つは採掘した鉱石や宝石を鑑定時、売上価値を高める効果を付与する採掘鑑定士だった。
因みに結合進化しても鑑定眼でアイテムの詳細を調べることは出来るみたいだ。
少し考えたが採掘眼にした、採掘した鉱石や宝石を売ることはあんまり考えてないし、それなら今回みたいに長時間採掘作業する必要がなくなるようにしたい。
『スキル:採掘眼を習得しました』
「お疲れ様です、レンナさん」
スキルを結合進化した後、フェルがねぎらってくれた。
「ああ、本当に疲れたよ…フェルも定期的に補助魔法かけてくれてありがとう」
特にスタンガードがありがたかった、腕が痺れにくくなって作業効率が上がったからな。
「さて帰る時は…来た道戻るよりかは…」
地図を見る、回り道になるだろうが地図に従うルートは見た感じ使えそうだ。
「地図に従った方が安全かもしれませんね…レンナさん疲れてますし、危険なルートは避けるべきだと思います」
「そうだな、今戦闘になったら万全に戦える気はしない…地図に従って移動しよう」
ステータス画面には表示されてないが長時間の採掘作業で心身疲れている。
ファンタジーフリーダムをやって心はともかく体が疲れるのは変な感覚だよな…ログアウトすれば体の疲れは消えるし…精神的な疲れはそのままだけど。
そんな事を考えながらひとまず地図に従いドワーフ達の街へ向かう。
道中コウモリやトカゲが出てきたが、襲われない限りはスルーしたり逃げたりした。
襲って来たのはコウモリだけで、コウモリに関しては格下だったので疲れていても余裕で撃破することが出来た。
「…うん、地図に従って行ったほうが安全な道筋だったな……」
「そうですね」
コウモリに襲われる以外は特にトラブルなくドワーフの街へたどり着いた。
「このまま帰る事も出来るけど…今度こそエアデに挨拶するか」
「そうですね、地底に来たのに挨拶無しに帰るのは寂しいですからね」
フェルと言葉を交わしながらエアデが料理していた屋台へ移動する。
するともうそこには行列は無く、数人のドワーフがご飯を食べているだけだった…ご飯時が終わったのかな?
「あ!?あの時の!貴方達も食べに来たの?」
そんな事を考えていると、エアデに声をかけられた。
「いや、食べに来た訳じゃなくて挨拶に来たんだよ、地底で鉱石を採掘しに来たついでにね」
「うん?おお、妖精と鍛冶屋じゃないか」
声のする方向を見るとそこにはさっきメテオグラビティ鉱石を教えてくれた謎の鍛冶ドワーフがいた、どうやら食事中みたいだ。
「その顔からしてメテオグラビティ鉱石は手に入れたみたいだな、それはインゴットに精錬するのが大変だが頑張れよ」
そう言って謎の鍛冶ドワーフはシチューと思われる料理を食べていく。
インゴットに精錬…。
「インゴットに精錬てどうするんだ?」
そう独り言をボソリと呟いたら謎の鍛冶ドワーフはブッ!と少量の料理を吹き出し、苦しそうに水を飲んで、落ち着きを取り戻す。
「タタンさん!?大丈夫!?」
「だ、大丈夫だ…それよりもインゴットへ加工をしたことないのか!?」
エアデの心配を他所にこっちに詰め寄ってくる謎の鍛冶ドワーフ…いやタタンさん…。
「あ、ああ…今までは知り合いから貰ったインゴットや鉱石のままでなんとかやっていけたからな…」
「はーまさか腕利きだと思っていたが…箱入りだった?いや基礎の基礎を知らずここまではある意味すごいのか…ともかく、エアデちゃん、これお代、来い、インゴットの作り方教えてやる」
エアデに料理の代金を払ったと思えば自分の腕を掴み何処か…いや何処かは薄々わかるけど、ともかく自分を連れて行こうとするタタンさん。
「ま、まいど…」
エアデはお金を受け取り見送るのだった…。
まあ、インゴットの作り方を教えてくれるなら今はなすがままに連れて行かれよう…エアデと殆ど話せなかったが、まあまた今度でいいだろう。