メテオグラビティを求めて、後編
地図が機能不全といっても地図を見れば自分の位置が表示される…地図上では壁…いや土、岩の中にいる状態だが、一応目的地までの距離は大まかに確認出来た、あと少しだ300m位か?そんな中フェルが反応する。
「レンナさん、なにか匂いませんか?」
「なにもしないけど…毒ガスか?可燃ガスか?」
「ごめんなさい、そこまではわかりません…少なくとも今は気分悪くなったりはしてません」
まだ自分自身では知覚出来ないが、もしも毒ガスならばかなり良くない、毒ガスじゃなくて可燃ガスでも採掘時は火花が生じるので爆発の危険があるので警戒せねばならない。
取り敢えず少し来た道を戻る。
「いや、気付いてくれるだけでもありがたい…だがどうするか…識別も出来てないガスの中には進みたくないな…」
自分だけなら万が一があってもユリのマイホームで転送されてリスタート出来るので、強引に行けるが、フェルはそんな事できないので考える…。
ガスマスクなんて便利な物はない、遠くから火光の火の刃と風の刃の斬撃波で可燃ガスか試す?万が一爆発した時の被害が予測できないので試すのはよくない、生き埋めになったら笑えない。
「レンナさん、解毒薬持ってましたよね、それで強引に進んで突破してから解毒薬を飲むのはどうですか?スリップガードとリジェネレートを使えばなんとか切り抜けられると思います」
「うーん、数日前に荷物整理して解毒薬は6つあるけど…ちょっと待って欲しい、考える…」
無理して突っ込んで自分が毒になる分には問題ない、視界端に自分の生命力が棒状のバーとして表示されているのでそれがなくなるまでは絶対に死なないので管理は簡単だがフェルのHPは見れないのでそこが不安だ…。
それにそもそも毒なのか?睡眠ガスとかあり得るし、その場合は解毒薬じゃだめだ…。
鑑定眼でガスを見破ったりできないかなと試みたが、気体は鑑定出来ないようだ、こうなれば…。
「フェル、合図と伴にラビットローブを口に当ててガスを余り吸わないようにして欲しい、強行突破してみる」
「わかりました、その前にスリップガード、リジェネレート、オールアップ!」
フェルがラビットローブを取り出したフェルは更に自分に補助魔法をかけてくれた。
「サンキューフェル……すーはーすーはーすーーーいくぞ!」
安全な空気を吸い、肺いっぱいまで酸素を貯めてから息を止めてダッシュする!
この世界で呼吸止めて全力ダッシュとか初めてだけど、どうなるんだと思っていたら10秒ほどで苦しくなってきた、現実とそんな変わらないのか!
というか今更だけどどうやって有毒ガス?地帯抜けたか把握すればいいんだ!
とりあえず限界まで走ってみよう!そう思って30秒で大きなトカゲの形をした敵と遭遇したがスルーして進む1択ダッシュしてスルーする!体感40秒位から窒息の影響か視界端のHPバーが緩やかに減り始める、因みに大きなトカゲはこちらを敵と認識しても追って来なかった…。
その後60秒後…。
「ぷは!ぜーぜー!」
限界が来た、HPはまだ半分あったが、息苦しさに限界が来たのだ。
「フェル………大丈夫……か?」
「それはこっちのセリフですよ…ひとまず変な匂いはしませんね…」
心配そうなフェル…ひとまず怪しいガス地帯は突破出来たようだ…。
「そうか……はあ、はあ…良かった…うん?」
息を整えて辺りを見渡すと、黒光りする黒い鉱石が連なった鉱脈が眼の前に広がっていた。
「もしかしてメテオグラビティ鉱石の鉱脈か?」
「そうみたいですね!なんとかたどり着きましたね!」
念の為に鑑定眼を使ったが間違いなくメテオグラビティ鉱石だった。
休憩してフェルのリジェネレートでHPを回復した自分は早速鉱石の採掘を開始する。
アースキーを振って鉱石を掘り返そうとする。ガキン!
「かっった!?」
腕がビリビリする、もしかして採掘不可能!?いや行けるはずだ!
「大丈夫ですか!?レンナさん」
「ダメージは無いけど、痺れた…これは手こずりそうだな…」
「サポートします、オールアップ!スタンガード!」
「たまに思うけどオールアップて便利なだよな…ありがとう、フェル」
全てのステータスが上がるから腐らない魔法だよな。
「はあ!」
ガンガン叩くこと5分、なんとか1つメテオグラビティ鉱石を手に入れることが出来た…。
「こ、効率悪…」
もしかして採掘のレベルが低いからか…?鍛冶スキルとか修理スキルは結合進化してパワーアップしているからもしかしたらこの鉱石も採掘を何かしら結合進化してから採掘するのが本来の掘り方なのか?もしくは戦闘用のシャベル、アースキーで採掘しているからか?採掘に特化したピッケルとか作ったほうがいいのかな?
どちらにせよ今更戻ってピッケルを作る気は起きない、採掘レベルがマックスになればもう少し採掘時間が早くなるかな?そう思い採掘を進めるのだった。