未知の素材を求めて
魔本の図書館にある転移魔法陣から地底に転移すると、真っ暗な世界にたどり着く。
「ライト!」
早速フェルが自分の頭上に光の玉を作り出して、辺りを照らしてくれる。
「サンキューフェル、フェルが居ないと松明とか持つ必要が出てくるからありがたい」
「どういたしまして…でもどうしますか?ナナサカさんが全力出しても壊れない素材てなんですかね?」
「うーん、ひとまずドワーフが住む街に行ってみるか、ドワーフならここらへんの鉱石とかの素材に詳しくても変じゃないし」
「そうですね、こういうのは現地の人に聞くのが一番ですね」
フェルと相談をしてドワーフの街へ向かう。
特になにかに襲われること無くドワーフの街へたどり着く、相変わらず暗いが要所要所に明かりがあり、ライトがなくても歩き回れる小さな街だ。
ドワーフ達が珍妙な物を見るかのような目つきでこちらを見てくる。
まあ、ドワーフの街で人間がいたら何事かと見てくるよな…。
「取り敢えずエアデに会いに行くか?最初から知らない人に聞くのはハードルが高いからな」
「そうですね…エアデさんに会いに行きましょう」
そそくさとエアデの家に行こうとすると、とあるドワーフに呼び止められた。
「お前は妖精と鍛冶屋ではないか」
「貴方は………あ!バトルエンチャントを教えてくれた鍛冶屋のドワーフ!」
ヤバい、名前が思い出せない!
「レンナさんどうしましょう、私達この人の名前聞いてません…」
フェルが小声で言う、そりゃあ名前聞いてないなら思い出せないわ!
「ふむ…少しは修理の腕が立つようになったみたいだな…だが肝心の鍛冶は頭打ちか?」
鍛冶屋のドワーフはこちらを品定めするかのように見つめてくる。
鍛冶が頭打ち…そういえば呪血鍛冶がレベル10になったけど何かしら上位になってないんだよな…多分他のスキルが育ってないせいだろう…。
「まあ、今は頭打ちかもしれないけど、いずれ限界を超えるよ」
ひとまずそう返事した…そうだ、この鍛冶屋のドワーフならばとにかく頑丈な素材を知っているかもしれない!
「あの!すみません、知り合いから凄く頑丈な刀を作って欲しいと言われたんですが…頑丈な刀…刃物が作れる素材に心当たりはありませんか?」
「頑丈な刀……それならメテオグラビティ鉱石を使うといい、地図はあるか?」
「いや持ってないです」
「ならすこし待っていろ」
鍛冶屋のドワーフはそう言うとゴソゴソとなにかを取り出した。
「これをやる、古いが地底はあんまり変わってないはずだ」
そう言って鍛冶屋のドワーフから地図を貰った…開けば自分の位置も表示されるファンタジーな地図だ、しっかりメテオグラビティ鉱石の採掘場所も書かれている。
「いいのか?お金とか…」
「前に良い物見せて貰ったからいらん、それに古いしこんな物で金を取るのは俺のプライドが許さん、頑張りなよ」
鍛冶屋のドワーフはそう言うとスタスタと去っていった。
「…あ、名前!」
「そ、そうだ!名前聞いてない!」
フェルと同時に声をあげる、聞きそこねた…。
だが声を上げた頃には鍛冶屋のドワーフは闇の中に消えていた…。
「つ、次会えたら今度こそ名前を聞き出そう」
「そ、そうですね…」
一先ず構成の情報は手に入った、このまま採掘場所に向かってもいいんだが…。
「せっかくだし、エアデに会いに行くか」
「そうですね、挨拶しにいきましょう」
エアデの家に向けて歩く…するとドワーフの行列を見つけた。
「なにこれ?」
「レンナさん、いい匂いがします」
言われて気付く、甘い匂いがする。
行列の先を見てみるとそこには屋台があり、そこから甘い匂いがする、屋台の看板には料理のマークが書かれており、そこにはエアデが料理を作っていた。
楽しそうに料理を作っているが…行列が出来ている辺り忙しそうだ…。
「後で来たほうが良いかな?」
「そうですね、鉱石を取りに行きましょう」
こうして自分達は鉱石を掘りにドワーフの街から出るのだった。




