男の子だって服選びに時間がかかる時もある
「うーん、どうするか」
次の日、朝から自分とフェルはレシピを漁っていた、高いやつは特定の特殊効果がつきやすい物があるが、自分達は共鳴のスキルで特殊効果を付与しやすくなっているので、安物でいいだろうと安いレシピで探していた。
「うーん…コート、レザーアーマー、Tシャツ、ジャージ、体操服…ジャケットにメタルアーマーに鎖の帷子…な、悩むな」
今あげた物以外の防具のレシピもあり、悩んでしまう、レシピで使う素材の種類や数が違ったりするが、自作する防具の性能は素材に強くて依存するし、長時間装備する予定なら、見た目で選んだ方が良いとユリからアドバイスを貰っている為、しっかり吟味する。
自分の姿は白髮白目、小柄で華奢でかわいい少女だ、そんな少女に似合う防具なんて全身甲冑みたいな重装備以外ならなんでも似合うだろう。
「レンナさん!この執事服とかどうですか?きっとかっこいいですよ!」
「候補の1つに入れよう…」
少女の姿に執事服か、ありだな…やばいな無限に悩めるな、あ…メイド服もあるのか、着ないけどな。
「水着もあるのか…」
そういえば水着を着たPLは殆どが見ない、テレビゲームならともかく、流石にフルダイブするゲームで、水着を着てファンタジー世界を歩き回るのは精神的にハードルが高いのだろう、探せば居そうではあるが…。
「あ、ドレス…」
ドレスはフェルに似合いそうだな、うわ、ドレスと一言で言っても種類が多い…背中や胸元が大きく開いたセクシーなやつとか、露出が少なくてフリフリが多いかわいいやつとか、デザインが多い…。
「レンナさん…それにするんですか?」
「え?い、いやフェルに似合うかなと…」
「え、そ…そのドレスがですか…?」
ちょうど手に持ってたレシピが、背中も胸元も大きく開いたセクシーなドレスのレシピだった…。
似合うか似合わないかで言えば間違いなく似合う…
フェルはこの世界のレンナの体と似て、子供体型ではあるが、神秘的な雰囲気を放っているし、背中から羽が生えてるから、背中が大きく開いたセクシーなドレスは間違いなく似合うし、大きく開いた胸元の所も…似合うだろう…見てみたい…。
だがそれを馬鹿正直に言うのは変態ではないだろうか…?
「ああ、背中とか大きく開いてるから、羽とか通りやすいだろうし、フェルに似合いそうだろう?」
「なるほど、機能性が良さそうですね…でも露出が多くて恥ずかしいです…」
「そ、そうだな、似合ってても、露出が多い服は恥ずかしいよな」
機能性を強調して言って良かった、セクシーなの似合いそう!とか言ってたら確実に引かれていただろう…。
というか脱線してた、自分の防具のレシピ選ばないとな…。
1時間くらい悩みに悩んで、胸に大きなポケットのついたジャケットのレシピを買った。
「フェルは自分で着たい服の欲しいレシピあった?」
「……なら、あのレシピが欲しいです」
フェルが指さしたレシピは二つ、片方は全身を包むコート、もう一つは自分が着た姿を見てみたいと思っていた露出が多いセクシーなドレスだった。
「…分かった買おうか」
なぜセクシーなドレスのレシピが欲しいかは分からないが、下手に聞くのは良くないと思い、黙って2つのレシピを買った。
セクシードレスを着るのかな?そんな期待感が湧いてくるのは、悪い事か良い事かわからずに悩みつつ、リーダーに布を依頼する為のメールを送った。